August 21, 2024
最近あまり話題にならなくなったSHOD系オーバードライブを試してみた
個人的な体感としては10年ぐらい前にギター用エフェクトペダルと言えば、Mad Professorの「Sweet Honey Overdrive(略してSHOD)」が洋邦問わず人気のあるモデルの一つだった。でも最近はあまり騒がれなくなったように感じる。まぁ古くなったので当然もっと新しいモデルが注目されるというのはあるだろうけれど、SHODよりずっと古くさいTSとかはいまだにやたら人気があるのは不思議。
それはともかく、あまり皆が使わないからかえって自分にとっては新鮮な気もして、でも正規のSHODは量産モデルでもそれなりに高価なので、クローン系で手が出しやすいJOYOの「Sweet Baby」を中古で探して手に入れてみた。このペダルが発売された当時は新品でも3000円台だったのに、今は中古でも4000円台中〜後半で、とにかく楽器の値段は上がるばかりだなとしみじみするばかり…。
実際に使ってみると、シングルコイルでもハムバッカーでも使いやすくて驚いた。ピッキングのニュアンスそのままにクリーントーンからちょっと歪んだぐらいまでを自由に行き来できるし、ギター側のボリュームやトーンのつまみに対して面白いように追随してくれる。自分の苦手なアンプのJCにつないでも真空管アンプぽい鳴り方をさせることができたのも良い感じ。
ちなみに上の画像のSweet Babyのツマミ位置は、シングルコイルピックアップでガツンと鳴らすときに割と良い感じだったセッティング。もしかしたらDriveはもう少し下げて3時ぐらいが良いかも。
実は過去に何度かMad Professorの本物や某日本製メーカーのクローン等々を試奏したことあるけれど、どれもいまいちピンと来なかったのは何だったのだろう。もしかしてJOYOの作り具合が今の自分の演奏に一番マッチしているということなのか?
ここまで良い感じだと改めて本物を試してみたい気もするけれど、今が丁度良い感じなのだから、わざわざ無駄なことする必要もないだろうし、足りることを知るべきだろうと自分の物欲を戒める今日この頃(笑)。
それはともかく、あまり皆が使わないからかえって自分にとっては新鮮な気もして、でも正規のSHODは量産モデルでもそれなりに高価なので、クローン系で手が出しやすいJOYOの「Sweet Baby」を中古で探して手に入れてみた。このペダルが発売された当時は新品でも3000円台だったのに、今は中古でも4000円台中〜後半で、とにかく楽器の値段は上がるばかりだなとしみじみするばかり…。
実際に使ってみると、シングルコイルでもハムバッカーでも使いやすくて驚いた。ピッキングのニュアンスそのままにクリーントーンからちょっと歪んだぐらいまでを自由に行き来できるし、ギター側のボリュームやトーンのつまみに対して面白いように追随してくれる。自分の苦手なアンプのJCにつないでも真空管アンプぽい鳴り方をさせることができたのも良い感じ。
ちなみに上の画像のSweet Babyのツマミ位置は、シングルコイルピックアップでガツンと鳴らすときに割と良い感じだったセッティング。もしかしたらDriveはもう少し下げて3時ぐらいが良いかも。
実は過去に何度かMad Professorの本物や某日本製メーカーのクローン等々を試奏したことあるけれど、どれもいまいちピンと来なかったのは何だったのだろう。もしかしてJOYOの作り具合が今の自分の演奏に一番マッチしているということなのか?
ここまで良い感じだと改めて本物を試してみたい気もするけれど、今が丁度良い感じなのだから、わざわざ無駄なことする必要もないだろうし、足りることを知るべきだろうと自分の物欲を戒める今日この頃(笑)。
August 08, 2023
JCを真空管アンプのように鳴らすためのオーバードライブペダル探しの現在地
自分はJC(ジャズコーラス)というアンプがすごく苦手だ。正直に言うと嫌いという感情に近い。
なぜか日本国内の練習スタジオやアマチュアも利用できるような小さいライブスペースにはローランド製のJCシリーズギターアンプが常備されている。昔から流通しているのと丈夫で壊れにくいという条件から普及しているのは間違いないけれど、ギターアンプとしては音質に色気が無いし、やたらにクリーンでドライな音は自分の演奏がいかに下手くそなのかを情け容赦なく聞かせてくれる仕様なので、できれば使いたくない。けれどこれしか置いてないところは少なくない。
なので、いかに嫌いでもJCを使うしかない機会は限りなく多い。仕方がないのでそういうJCの無情な音を誤魔化せるようなオーバードライブペダルをずっと探してきたエレキギター弾き人生でもある。
で、長年あれこれとオーバードライブペダルを手に入れてみては、JCで使ってみるとほとんど意味無かったねみたいなことを繰り返してきた。これまで手に入れて試してきたペダルとしては、Xotic AC Booster、Behringer TO800(TS808クローン)、One Control Sonic Blue Twanger、Snouse BlackBox(Marshall BluesBreakerクローン)、Rippers KENTA(Klon Centaurクローン)、Caline Pure Sky(Timmyクローン)、BOSS OD-3、Nobels ODR-1、Way Huge Conspiracy Theory(Klon Centaurクローン)、BOSS BD-2、BOSS JB-2、等々。それぞれ個性があり特に真空管アンプ等で使う分には素晴らしいのだけれど、どれも単体でJCにつないで楽しいと感じたことはまず無かった。それだけJCというギターアンプはシビアということなんだろうけれど、ギタープレイが上手い人には自分のこういう気持ちは理解不能なんだろうと思ったり…。
で、ダメ元で試した次のペダルはWay Huge STO Drive。音の志向としてはNobels ODR-1らしいのだけれど、ODR-1よりもエッジが丸くてちょっとダークな音ということらしい。海外のフォーラムでは音がダーク過ぎて使えねーよというコメントもあったけれど、音がパキパキでクリーン過ぎるJCにはもしかしたら丁度良いのじゃないかという勘が働いて手にれてみた。で、その勘が割と当たったようで、JCにつなげるとJCの個性とSTO Driveというペダルの個性が相殺されて、割といなたい真空管アンプ的なトーンが得られた。もしかしたらこれが自分にとってのJC用オーバードライブペダル探しの終着駅なのかもしれない。
もっとも、この手の歪み系ペダルは個人によって好き嫌いが激しく分かれるので、自分が良いと感じている音が必ずしも万人に共感されることはないのが難しいところ。とりあえずしばらくはこれでやっていこうかと思う。もっとも、JCじゃないアンプだとSTO Driveはちょっと自分の好みと微妙に違うかもしれないし、全然オールマイティな感じではなさそうなのも悩ましいところ。
なぜか最近になって新しい公式デモ動画がYouTubeに公開されていたのでリンクしておくことに。
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なぜか日本国内の練習スタジオやアマチュアも利用できるような小さいライブスペースにはローランド製のJCシリーズギターアンプが常備されている。昔から流通しているのと丈夫で壊れにくいという条件から普及しているのは間違いないけれど、ギターアンプとしては音質に色気が無いし、やたらにクリーンでドライな音は自分の演奏がいかに下手くそなのかを情け容赦なく聞かせてくれる仕様なので、できれば使いたくない。けれどこれしか置いてないところは少なくない。
なので、いかに嫌いでもJCを使うしかない機会は限りなく多い。仕方がないのでそういうJCの無情な音を誤魔化せるようなオーバードライブペダルをずっと探してきたエレキギター弾き人生でもある。
で、長年あれこれとオーバードライブペダルを手に入れてみては、JCで使ってみるとほとんど意味無かったねみたいなことを繰り返してきた。これまで手に入れて試してきたペダルとしては、Xotic AC Booster、Behringer TO800(TS808クローン)、One Control Sonic Blue Twanger、Snouse BlackBox(Marshall BluesBreakerクローン)、Rippers KENTA(Klon Centaurクローン)、Caline Pure Sky(Timmyクローン)、BOSS OD-3、Nobels ODR-1、Way Huge Conspiracy Theory(Klon Centaurクローン)、BOSS BD-2、BOSS JB-2、等々。それぞれ個性があり特に真空管アンプ等で使う分には素晴らしいのだけれど、どれも単体でJCにつないで楽しいと感じたことはまず無かった。それだけJCというギターアンプはシビアということなんだろうけれど、ギタープレイが上手い人には自分のこういう気持ちは理解不能なんだろうと思ったり…。
で、ダメ元で試した次のペダルはWay Huge STO Drive。音の志向としてはNobels ODR-1らしいのだけれど、ODR-1よりもエッジが丸くてちょっとダークな音ということらしい。海外のフォーラムでは音がダーク過ぎて使えねーよというコメントもあったけれど、音がパキパキでクリーン過ぎるJCにはもしかしたら丁度良いのじゃないかという勘が働いて手にれてみた。で、その勘が割と当たったようで、JCにつなげるとJCの個性とSTO Driveというペダルの個性が相殺されて、割といなたい真空管アンプ的なトーンが得られた。もしかしたらこれが自分にとってのJC用オーバードライブペダル探しの終着駅なのかもしれない。
もっとも、この手の歪み系ペダルは個人によって好き嫌いが激しく分かれるので、自分が良いと感じている音が必ずしも万人に共感されることはないのが難しいところ。とりあえずしばらくはこれでやっていこうかと思う。もっとも、JCじゃないアンプだとSTO Driveはちょっと自分の好みと微妙に違うかもしれないし、全然オールマイティな感じではなさそうなのも悩ましいところ。
なぜか最近になって新しい公式デモ動画がYouTubeに公開されていたのでリンクしておくことに。
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WAY HUGE STO OVERDRIVE WM25 STOオーバードライブは、シルキーなサウンドのオーバードライブです。往年のナッシュビルのギタープレイヤーに愛用者が多く、ブルースセッションやレコーディングの現場で活躍したオーバードライブペダルを基にジョージ・トリップスがアレンジを加え開発しました。(製品紹介文より) |
July 02, 2023
どうでもいい話:世界的な楽器・音楽ソフト業界バブルと円安のダブルパンチ
この1〜2年、コロナ渦で楽器が売れるという話が盛り上がって世界中の投資ファンドが楽器関連事業を買収する流れとなっているらしい。
最近をふりかえれば、Moog、Slate Digital、iZotope、Brainworx、Plugin Allianceなどが身売りしたし、Avid Technologyも売却を検討中という話が浮上中。
ただし、楽器バブル自体はそろそろ終わりの様相があるので、買収された各企業は今後業績が厳しいことになる可能性は高く、投資ファンドは回収のために色々と無理な注文を経営に押しつけることになるだろう。結果として、サブスクや高級路線の導入で価格はどんどん値上がりするのに内実は社員の大量首切りで品質ダダ下がりみたいな地獄にならないことを祈るばかり。
しかも日本円は今のままだと弱くなる一方の未来しか見えない感じなので、基本的に輸入品に大きく依存している楽器・音楽ソフト市場は今後趣味で手を出すには相当贅沢な世界になっていくという予測を立てざるをえない。
音楽を聴くのもサブスクサービスは基本的にすべて海外企業提供だから、円安になればそれに比例してどんどん利用料が割高になる。遠い昔のように音楽趣味というのはお金持ちの遊びであって、庶民には縁の無いものになっていくのかもしれない……。
最近をふりかえれば、Moog、Slate Digital、iZotope、Brainworx、Plugin Allianceなどが身売りしたし、Avid Technologyも売却を検討中という話が浮上中。
ただし、楽器バブル自体はそろそろ終わりの様相があるので、買収された各企業は今後業績が厳しいことになる可能性は高く、投資ファンドは回収のために色々と無理な注文を経営に押しつけることになるだろう。結果として、サブスクや高級路線の導入で価格はどんどん値上がりするのに内実は社員の大量首切りで品質ダダ下がりみたいな地獄にならないことを祈るばかり。
しかも日本円は今のままだと弱くなる一方の未来しか見えない感じなので、基本的に輸入品に大きく依存している楽器・音楽ソフト市場は今後趣味で手を出すには相当贅沢な世界になっていくという予測を立てざるをえない。
音楽を聴くのもサブスクサービスは基本的にすべて海外企業提供だから、円安になればそれに比例してどんどん利用料が割高になる。遠い昔のように音楽趣味というのはお金持ちの遊びであって、庶民には縁の無いものになっていくのかもしれない……。
March 31, 2023
ピンク・フロイド 『狂気』Dolby Atmos版体験会に行ってきた
御茶ノ水 RITTOR BASEで開催されていたピンク・フロイド 『狂気』Dolby Atmos版体験会に行ってきた。
Apple Musicを使って家の環境で体験できるDolby Atmosオーディオというのは単に音がやたらに左右に広がって派手だけど音楽の焦点がどこにあるのか判らない子供だましのギミックという印象が強くて好きになれず、正直この体験会にもあまり期待はしていなかった。
ところがRITTOR BASEのオーディオシステムで実際に音が鳴ってみるとその音のすごさに圧倒され、すいませんでした自分が間違ってました、単に自分の家のシステムがチープなだけでDolby Atmosオーディオに非はありませんでしたと謝るしかなかった。音への埋没感と超低音による空気の振動は、まさにピンク・フロイドのメンバーがリアルに演奏しているかのような迫力を再現していた。
とくに5曲目冒頭の「The Great Gig in the Sky」のピアノは、もう完全に目の前に本物のピアノがあってリチャード・ライト本人が弾いているとしか思えないようなリアルさで鳴っていて感動してしまった。いかにオリジナルの録音やミックスが素晴らしく、また新たにDolby Atmosのために施されたオーサリングが元の音の良さを上手に引き出しているのがよく判る瞬間だった。
ただ、家に帰ってきてから冷静に考えると、このDolby Atmosという仕組みはやはりあれだけデカい音で鳴らせないとロックのような音楽では意味が無いんだろうなという考えに至ってしまった。そもそもが映画館等での立体音響システム向けに開発されたシステムな訳で、派手なスペクタクルシーンでの環境音を劇場観覧者へ効果的に聴かせるためにあるような代物だ。なので、うちの家のように爆音で再生できない条件だとその良さが全然活かせない。Dolby Atmosのすごさを体験するだけなら、音響システムの良い劇場でド派手なハリウッド製娯楽作品を観るのが一番だろう。
昔、5.1chサラウンドが市場に登場したばかりの頃、オノセイゲン氏がやたらに5.1chの素晴らしさを喧伝していて、まさに音のプールの中にどっぷり浸かるような感じで気持ち良いんだよという形容をされていたのだけれど、あの当時は一体何を言っているのかさっぱり理解できなかった。今回RITTOR BASEでのDolby Atmos版体験会を経てようやくあのセイゲンさんの発言の意味をしみじみと噛みしめることができたのだけど、ちょっと時間がかかりすぎた。あの頃の自分は今よりも音を全然聞けてなかったのもあるのかな…。
正直なところ、マルチ録音で構築されているイマドキのポップミュージックをDolby Atmosオーディオで聴くのはあまり面白くないんじゃないかと思う。派手なギミックばかりで耳が疲れるしすぐに飽きそうな気がする。
一番Dolby Atmosオーディオが生きそうなのはクラシックやジャズなどの生楽器主体のダビング無しのスタジオ録音された音源に著名なホールやスタジオなどのIR音響データを自由に追加してDolby Atmos環境で再生するというやり方のような気がする。とても生々しい演奏の再現ができそうだし、小編成の弦楽みたいな音源なら一般家庭の環境でもそれなりにリアルな音量で楽しむことが可能と思う。
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Apple Musicを使って家の環境で体験できるDolby Atmosオーディオというのは単に音がやたらに左右に広がって派手だけど音楽の焦点がどこにあるのか判らない子供だましのギミックという印象が強くて好きになれず、正直この体験会にもあまり期待はしていなかった。
ところがRITTOR BASEのオーディオシステムで実際に音が鳴ってみるとその音のすごさに圧倒され、すいませんでした自分が間違ってました、単に自分の家のシステムがチープなだけでDolby Atmosオーディオに非はありませんでしたと謝るしかなかった。音への埋没感と超低音による空気の振動は、まさにピンク・フロイドのメンバーがリアルに演奏しているかのような迫力を再現していた。
とくに5曲目冒頭の「The Great Gig in the Sky」のピアノは、もう完全に目の前に本物のピアノがあってリチャード・ライト本人が弾いているとしか思えないようなリアルさで鳴っていて感動してしまった。いかにオリジナルの録音やミックスが素晴らしく、また新たにDolby Atmosのために施されたオーサリングが元の音の良さを上手に引き出しているのがよく判る瞬間だった。
ただ、家に帰ってきてから冷静に考えると、このDolby Atmosという仕組みはやはりあれだけデカい音で鳴らせないとロックのような音楽では意味が無いんだろうなという考えに至ってしまった。そもそもが映画館等での立体音響システム向けに開発されたシステムな訳で、派手なスペクタクルシーンでの環境音を劇場観覧者へ効果的に聴かせるためにあるような代物だ。なので、うちの家のように爆音で再生できない条件だとその良さが全然活かせない。Dolby Atmosのすごさを体験するだけなら、音響システムの良い劇場でド派手なハリウッド製娯楽作品を観るのが一番だろう。
昔、5.1chサラウンドが市場に登場したばかりの頃、オノセイゲン氏がやたらに5.1chの素晴らしさを喧伝していて、まさに音のプールの中にどっぷり浸かるような感じで気持ち良いんだよという形容をされていたのだけれど、あの当時は一体何を言っているのかさっぱり理解できなかった。今回RITTOR BASEでのDolby Atmos版体験会を経てようやくあのセイゲンさんの発言の意味をしみじみと噛みしめることができたのだけど、ちょっと時間がかかりすぎた。あの頃の自分は今よりも音を全然聞けてなかったのもあるのかな…。
正直なところ、マルチ録音で構築されているイマドキのポップミュージックをDolby Atmosオーディオで聴くのはあまり面白くないんじゃないかと思う。派手なギミックばかりで耳が疲れるしすぐに飽きそうな気がする。
一番Dolby Atmosオーディオが生きそうなのはクラシックやジャズなどの生楽器主体のダビング無しのスタジオ録音された音源に著名なホールやスタジオなどのIR音響データを自由に追加してDolby Atmos環境で再生するというやり方のような気がする。とても生々しい演奏の再現ができそうだし、小編成の弦楽みたいな音源なら一般家庭の環境でもそれなりにリアルな音量で楽しむことが可能と思う。
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The Dark Side Of The Moon - 50th Anniversary Box Set 不滅の名盤 ピンク・フロイド『狂気』(The Dark Side Of The Moon )50周年記念 デラックス・ボックス・セット 『狂気』2023年最新リマスター盤、1974年『狂気』全曲演奏ライヴ盤、初のドルビー・アトモス・ミックス、160ページ・ハードカバーブック他を収録した豪華版!(製品紹介文より) |
January 05, 2023
エレキギターの弦高調整に専用ゲージを導入してみた
フェンダー系エレキギター、とくにストラトタイプのブリッジの弦高調整は、各弦ごとにサドルのイモネジをちまちまと締めたり緩めたりするのだけど、サドルごとにネジが2本あるのでちょっと面倒くさい。それに指板のアールに合わせるのを目視だけに頼っていると、なかなかピタリと決まらない。
何か良い方法はないかと調べてみたら、プロは専用のゲージを使うらしい。これで楽ができるのなら試してみるかということで、思い切ってちょっと良いものを手に入れた。
使い方は英語だけど以下のYouTube動画を見てなんとなく理解した(笑)。
要は、指板のアールと同じゲージを弦の上にのせて各弦を弾いて軽くビビるように合わせていけばOKということになる。作業はそれなりに辛抱強くやるしかないけれど、それでも目視だけに頼っていたときに比べると能率は良いし正確だ。
調整が済んだギターはこれまでよりもずっと弾きやすい。安い買い物ではなかったけれど十分に価値があったなと感じる。
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何か良い方法はないかと調べてみたら、プロは専用のゲージを使うらしい。これで楽ができるのなら試してみるかということで、思い切ってちょっと良いものを手に入れた。
使い方は英語だけど以下のYouTube動画を見てなんとなく理解した(笑)。
要は、指板のアールと同じゲージを弦の上にのせて各弦を弾いて軽くビビるように合わせていけばOKということになる。作業はそれなりに辛抱強くやるしかないけれど、それでも目視だけに頼っていたときに比べると能率は良いし正確だ。
調整が済んだギターはこれまでよりもずっと弾きやすい。安い買い物ではなかったけれど十分に価値があったなと感じる。
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MUSIC NOMAD (ミュージックノマド) ステンレス製 指板 サドル R測定 ゲージ MN603 【国内正規品】 Music Nomadの高精度指板サドルR測定ゲージには、さまざまな機能と利点があります。正確な測定値(7.25インチ、9.5インチ、10インチ、12インチ、14インチ、15インチ、16インチ、20インチ)と分かりやすい説明書がオンラインでダウンロード可能なので、安心して作業を行えます。(製品紹介文より) |
October 17, 2022
ブリッジのアールと指板のアールが合っていないとギターは弾きにくい
いわゆるレスポールタイプのギターを手に入れて色々いじっているとどうも弾きにくい。何が悪いのか、弦高をあれこれいじってみてもしっくりこない。
困り果ててブリッジ周りを色々な角度から見ていたら、ブリッジのサドル自体は指板のアールに合わせた高さになっているのだけど、弦そのものの高さが指板のアールと合っていないことに気付いた。とくにネックの両サイドに位置する1弦と6弦が微妙に他の弦よりも高い状態になっている。
原因は、各サドルの弦溝がちゃんと弦の太さに合わせて切られていないから。とくに6弦は5弦よりもずいぶん高い位置になっているし、1弦もほぼ2弦と同じぐらいの高さになっている。
細いヤスリで6弦と1弦のサドルの弦溝をほんの少しずつ削っては高さを確認する作業を繰り返し、それぞれの弦の位置が指板のアールにほぼ合うように調整してみた。結果は以下の写真のような感じ。
これだけの調整でかなり弾きやすくなった。ギターという楽器はこういう微妙な部分をあれこれいじってやるだけで全く弾き心地が変わるのが面白いというか面倒くさい。フェンダータイプのギターならヤスリがけのような面倒なことをしなくても、サドルにあるネジを調整するだけで済む仕様だけれど、あれはあれでネジの微妙な締め具合の違いでガラッと弦高が変わってしまうのでなかなか厄介だったりする。
値段の高いギターはこのあたりの調整が出荷前にちゃんと職人の手によって行われているから高くなる訳なんだけど、初心者向けの低価格モデルは一切そうした調整がされていないので弾きにくかったりする。で、弾きにくいと面白くないのでいつの間にか弾くこと自体をやめてしまうという悪循環。だからといって最初からこのあたりがしっかり調整されたギターを手にするのは値段の上でちょっと手が出せないのが悩ましいところ。
低価格モデルのギターやベースは手に入れた後に自分で調整できないようであれば、一度リペアショップでプロの人に調整を依頼するのが良いと思う。それだけでかなり弾き心地が変わるはずなので。
困り果ててブリッジ周りを色々な角度から見ていたら、ブリッジのサドル自体は指板のアールに合わせた高さになっているのだけど、弦そのものの高さが指板のアールと合っていないことに気付いた。とくにネックの両サイドに位置する1弦と6弦が微妙に他の弦よりも高い状態になっている。
原因は、各サドルの弦溝がちゃんと弦の太さに合わせて切られていないから。とくに6弦は5弦よりもずいぶん高い位置になっているし、1弦もほぼ2弦と同じぐらいの高さになっている。
細いヤスリで6弦と1弦のサドルの弦溝をほんの少しずつ削っては高さを確認する作業を繰り返し、それぞれの弦の位置が指板のアールにほぼ合うように調整してみた。結果は以下の写真のような感じ。
これだけの調整でかなり弾きやすくなった。ギターという楽器はこういう微妙な部分をあれこれいじってやるだけで全く弾き心地が変わるのが面白いというか面倒くさい。フェンダータイプのギターならヤスリがけのような面倒なことをしなくても、サドルにあるネジを調整するだけで済む仕様だけれど、あれはあれでネジの微妙な締め具合の違いでガラッと弦高が変わってしまうのでなかなか厄介だったりする。
値段の高いギターはこのあたりの調整が出荷前にちゃんと職人の手によって行われているから高くなる訳なんだけど、初心者向けの低価格モデルは一切そうした調整がされていないので弾きにくかったりする。で、弾きにくいと面白くないのでいつの間にか弾くこと自体をやめてしまうという悪循環。だからといって最初からこのあたりがしっかり調整されたギターを手にするのは値段の上でちょっと手が出せないのが悩ましいところ。
低価格モデルのギターやベースは手に入れた後に自分で調整できないようであれば、一度リペアショップでプロの人に調整を依頼するのが良いと思う。それだけでかなり弾き心地が変わるはずなので。
July 18, 2022
続・歪み系エフェクターペダルという沼:Nobels ODR-1
自分でも病気だなと思うけれど、楽器店で今まで試したことがない歪み系ペダルを見つけるとどうしても試してみたくなる。
先日、米ナッシュビルのセッションギタリスト界隈で人気がある「Nobels ODR-1」が店頭にあったのを見つけ、思わず誘惑に負けて試奏することに。
人気があるのも納得というか、歪み具合を調整する「Drive」ツマミと、トーンにあたる「Spectrum」ツマミをいじった変化のあり方が判りやすく、ちょっとしたクランチからガツンとしたオーバードライブまで、耳が痛くない状態を保ったままで美味しい音を作りやすいと感じる。
筐体の色が緑色なので、いわゆるTS系なのかと勘違いしてしまうけれど、TSのような中音域ばかりが強調されるタイプではなく、高音から低音までまんべんなく鳴ってくれるので、シングルコイルやハムバッカーといったピックアップの特性をあまり気にせず使えるのも良い。
開発された経緯は、フェンダーのBassmanアンプの音をコンパクトエフェクターで再現することを目指したそうで、なるほどという感じ。オリジナル回路を設計したのはドイツ人のKai Tachibanaという人で、今は独立してより性能を発展させたモデルを個人で製作販売している。英文だけどインタビューがあるので興味のある人は読んでみると良いかも。苗字からすると日本と縁がある人なのだろうか?
Interview: Kai Tachibana (Nobels, Nordland Electronics)
製品としては、新たにベースカット回路を備えたオリジナルモデルに加えて、電池内蔵部分を省略したコンパクトモデルや、他社製の派生モデル等、色々と出ているので各人の用途や好みに合わせて一つ持っておくと色々使えそうな気がする。
もう歪み系ペダルは十分試したつもりだったのでこれ以上買わないつもりだったけれど、1時間ぐらい悩んだ末、結局手に入れることに。まだまだ沼から這い出せなくて困ったものだ…。
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先日、米ナッシュビルのセッションギタリスト界隈で人気がある「Nobels ODR-1」が店頭にあったのを見つけ、思わず誘惑に負けて試奏することに。
人気があるのも納得というか、歪み具合を調整する「Drive」ツマミと、トーンにあたる「Spectrum」ツマミをいじった変化のあり方が判りやすく、ちょっとしたクランチからガツンとしたオーバードライブまで、耳が痛くない状態を保ったままで美味しい音を作りやすいと感じる。
筐体の色が緑色なので、いわゆるTS系なのかと勘違いしてしまうけれど、TSのような中音域ばかりが強調されるタイプではなく、高音から低音までまんべんなく鳴ってくれるので、シングルコイルやハムバッカーといったピックアップの特性をあまり気にせず使えるのも良い。
開発された経緯は、フェンダーのBassmanアンプの音をコンパクトエフェクターで再現することを目指したそうで、なるほどという感じ。オリジナル回路を設計したのはドイツ人のKai Tachibanaという人で、今は独立してより性能を発展させたモデルを個人で製作販売している。英文だけどインタビューがあるので興味のある人は読んでみると良いかも。苗字からすると日本と縁がある人なのだろうか?
Interview: Kai Tachibana (Nobels, Nordland Electronics)
製品としては、新たにベースカット回路を備えたオリジナルモデルに加えて、電池内蔵部分を省略したコンパクトモデルや、他社製の派生モデル等、色々と出ているので各人の用途や好みに合わせて一つ持っておくと色々使えそうな気がする。
もう歪み系ペダルは十分試したつもりだったのでこれ以上買わないつもりだったけれど、1時間ぐらい悩んだ末、結局手に入れることに。まだまだ沼から這い出せなくて困ったものだ…。
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Nobels ODR-1 BC オーバードライブ【国内正規輸入品】 ODR-1は、ジェリー・ドナヒュー、ガスリー・トラップ、カール・ヴァーヘイエン、ジョン・シャンクス、ティム・ピアース、ロビー・マッキントッシュ、クレム・クレムソン、ミッキー・ムーディなど、数十年に渡って多くのアーティストに愛用されてきた秘密兵器です。(製品紹介文より) |
July 14, 2022
映画「エルヴィス」を観た
まとまった空き時間が出来たので久々に劇場で映画でも観ようかと思い、いくつかの候補の上映時間を調べたらちょうどこの作品が一番都合が良かったという、あまり積極的ではない理由で観ることに。
エルヴィス・プレスリーのヒット曲はなんとなく知っているし、彼の生涯に関するエピソードもおおよそは知っているつもりだったので、とくに新しい発見があるかもという期待も無く、イマドキのポップでキャッチーな娯楽映画ぐらいのつもりでいたので、実際にこの映画を劇場で観てみたらその面白さと格好良さに思わず引き込まれてしまった。
1950年代におけるエルヴィス・プレスリーというスターの登場は、おそらくは70年代後半から自分がリアルタイムで体験したきたパンクやレゲエ、ヒップホップ、テクノ等の登場という事件よりも、当時の社会に与えた衝撃はずっと大きく、また深刻であったろうということが理解できたのは予期せぬ収穫だった。
アメリカという保守的な国において人種問題も含めた社会的規範や価値観を破壊するような恐れのある若い歌手が出現したことはまさに大事件だったろうし、もしかしたらプレスリーがいなければ、その後の音楽シーンのあり方は世界規模で全然違ったものになっていた可能性も考えられる。ビートルズもストーンズも生まれず、その後のパンクやレゲエやヒップホップも無かったのかもしれない。
もちろん映画はあくまでも実話に基づいたおとぎ話だと思うけれど、B.B. キングやリトル・リチャードと仲良しのプレスリーという解釈は夢があるし、有名な除隊後のクリスマスショーの背景にはああいう事情があったことを知ることができたのはとても良かった。
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エルヴィス・プレスリーのヒット曲はなんとなく知っているし、彼の生涯に関するエピソードもおおよそは知っているつもりだったので、とくに新しい発見があるかもという期待も無く、イマドキのポップでキャッチーな娯楽映画ぐらいのつもりでいたので、実際にこの映画を劇場で観てみたらその面白さと格好良さに思わず引き込まれてしまった。
1950年代におけるエルヴィス・プレスリーというスターの登場は、おそらくは70年代後半から自分がリアルタイムで体験したきたパンクやレゲエ、ヒップホップ、テクノ等の登場という事件よりも、当時の社会に与えた衝撃はずっと大きく、また深刻であったろうということが理解できたのは予期せぬ収穫だった。
アメリカという保守的な国において人種問題も含めた社会的規範や価値観を破壊するような恐れのある若い歌手が出現したことはまさに大事件だったろうし、もしかしたらプレスリーがいなければ、その後の音楽シーンのあり方は世界規模で全然違ったものになっていた可能性も考えられる。ビートルズもストーンズも生まれず、その後のパンクやレゲエやヒップホップも無かったのかもしれない。
もちろん映画はあくまでも実話に基づいたおとぎ話だと思うけれど、B.B. キングやリトル・リチャードと仲良しのプレスリーという解釈は夢があるし、有名な除隊後のクリスマスショーの背景にはああいう事情があったことを知ることができたのはとても良かった。
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エルヴィス・サン・セッションズ(期間生産限定盤) 本作はRCAからメジャー・デビューする前のサン・レコード時代の貴重な録音を収録した作品。まさにデビュー当時の若きエルヴィスを知る上で欠かすことのできない楽曲が収録されている。(製品紹介文より) |
July 02, 2022
イアン・S・ポート「フェンダー VS ギブソン 音楽の未来を変えた挑戦者たち」を読んだ
原本「The Birth of Loud」が出たときに読みたいと思ったけれど、当時は大判のハードカバーしか出ていなかったのでちょっと面倒だなと躊躇しているうちに、ある日気付いてみたらもう日本語訳が出ていたのでこれはズルして日本語でそのうち読もうと思っていたら随分時間が経っていた。
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丁寧な取材や参考文献の参照に基づいた文章で、よくあるこの手の音楽畑の適当なノンフィクション本とはかなり雰囲気が違うなと感じつつ読み進んでみたら、最後の謝辞で元々は大学院時代の研究企画から発展した著作であることが判り、なるほどと合点がいった。
要するによくあるロックバンドの嘘か本当か判らない都市伝説の類をまとめた伝記本とはまったく異なる、まさにリアルなエレキギター、そしてエレキベースの歴史を紐解く傑作本。なので、趣味であれ仕事であれエレキギターやエレキベースを弾く者であれば、誰もが目を通すのが相応しい作品だと思う。
エレキギターのレス・ポールとストラトキャスターは、どちらも最初に発売された時点では数年で人気が陰り市場から消え去る運命にあった(実際レス・ポールは製造が打ち切られた)のに、その後、クラプトンやヘンドリクスのような優れたアーティスト達がほとんど偶然ともいえるような状況で使う機会を得て成功した結果、今やどちらのモデルもエレキギターの歴史において他に比べようもない名器と評価されるに至ったのが面白い。運命というのはどう転ぶか判らないものだ。
個人的にはウッドストックでのヘンドリクスが演奏したアメリカ国歌「The Star-Spangled Banner(星条旗)」が当時の米国の人々に与えた真の意味が本書を読んでようやく理解できたのがちょっとした感動だった。単に楽器演奏的にすごかったというのではなく、あの時代にあの曲をああいう形で表現したという意味の重さが、恥ずかしながら日本人の自分には判っていなかった。
本書から「42章 エレクトリック・ギターがあらゆるものを表現できた」をまるまる引用できれば、なぜ自分がそれほど感動したかを簡単に伝えられるかもしれないが、それはさすがに著作権的にも無理なので、もっとも判りやすいと思われる一節を以下に引用しておく。
また本書の中では、いかにヘンドリクスが国歌の歌詞に合わせてギターを変幻自在に演奏したかがフレーズごとに解説されていて、米国の国歌をリアルに知る米国人以外には、とくに英語さえもほとんど判っていないような自分にはあの演奏の意味がまったく理解できていなかったことがよく判ったし、そういう背景を知らず単にド派手な演奏だからサイコーと安易に盛り上がっていた自分を恥じた。これまでは割と気軽に「なんちゃってスタースパングルドバナーです」みたいな感じで人前でもヘンドリクス風演奏を真似て遊んだりすることもあったけれど、ちょっとそれはもう出来ないのかなと…。
それにしても、エレキギターやエレキベースの歴史の中で製造開始以来一度も不人気の誹りを受けて忘れ去られるような憂き目に遭わなかったのはプレシジョンベースぐらい(もしかしたらジャズベースも?)なのが興味深いというか、それだけエレキベースという楽器はエレキギターよりも音楽のあり方を根本的に変えてしまった発明だったようだし、その後はシンセとターンテーブルとサンプラーとDAWあたりの登場まで待つことになるのかな?
本書の主人公であるレオ・フェンダーとレス・ポールの二人は、いずれもそのキャリアのかなり初期ですでに五体満足とは言えないような身体的障害を持つ不幸にあったにもかかわらず、その境遇に屈することなく晩年まで自分達のやりたいことを全うしたのが素晴らしく自分も見習いたいものだと感じた。もっとも、自分の人生はどこを切り取っても何の成功も収めておらず、一体何を全うすべきなのかという大きな問題が残るのだけれど……。
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フェンダーVSギブソン 音楽の未来を変えた挑戦者たち DU BOOKS ライバル企業の闘いが、音楽の未来を創った! エレキ・ギターの開発と普及、企業の発展史を、ロック黄金期とともに綴った傑作ノンフィクション。(製品紹介文より) |
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The Birth of Loud: Leo Fender, Les Paul, and the Guitar-Pioneering Rivalry That Shaped Rock 'n' Roll |
丁寧な取材や参考文献の参照に基づいた文章で、よくあるこの手の音楽畑の適当なノンフィクション本とはかなり雰囲気が違うなと感じつつ読み進んでみたら、最後の謝辞で元々は大学院時代の研究企画から発展した著作であることが判り、なるほどと合点がいった。
要するによくあるロックバンドの嘘か本当か判らない都市伝説の類をまとめた伝記本とはまったく異なる、まさにリアルなエレキギター、そしてエレキベースの歴史を紐解く傑作本。なので、趣味であれ仕事であれエレキギターやエレキベースを弾く者であれば、誰もが目を通すのが相応しい作品だと思う。
エレキギターのレス・ポールとストラトキャスターは、どちらも最初に発売された時点では数年で人気が陰り市場から消え去る運命にあった(実際レス・ポールは製造が打ち切られた)のに、その後、クラプトンやヘンドリクスのような優れたアーティスト達がほとんど偶然ともいえるような状況で使う機会を得て成功した結果、今やどちらのモデルもエレキギターの歴史において他に比べようもない名器と評価されるに至ったのが面白い。運命というのはどう転ぶか判らないものだ。
個人的にはウッドストックでのヘンドリクスが演奏したアメリカ国歌「The Star-Spangled Banner(星条旗)」が当時の米国の人々に与えた真の意味が本書を読んでようやく理解できたのがちょっとした感動だった。単に楽器演奏的にすごかったというのではなく、あの時代にあの曲をああいう形で表現したという意味の重さが、恥ずかしながら日本人の自分には判っていなかった。
本書から「42章 エレクトリック・ギターがあらゆるものを表現できた」をまるまる引用できれば、なぜ自分がそれほど感動したかを簡単に伝えられるかもしれないが、それはさすがに著作権的にも無理なので、もっとも判りやすいと思われる一節を以下に引用しておく。
「これより前に」と、目撃者のローズ・ペインも口にした。「誰かが<星条旗>を演奏していたら、私たちはブーイングをしていたでしょうね。あのあとは、この曲は自分たちの歌になったの」
「おそらくは1960年代で最高の瞬間といえるだろう」と、音楽評論家のアル・アロノウィッツは言う。「この曲の内容が、ようやくわかったのだから。自分の国を愛していいし、政府を憎んでいいと」
また本書の中では、いかにヘンドリクスが国歌の歌詞に合わせてギターを変幻自在に演奏したかがフレーズごとに解説されていて、米国の国歌をリアルに知る米国人以外には、とくに英語さえもほとんど判っていないような自分にはあの演奏の意味がまったく理解できていなかったことがよく判ったし、そういう背景を知らず単にド派手な演奏だからサイコーと安易に盛り上がっていた自分を恥じた。これまでは割と気軽に「なんちゃってスタースパングルドバナーです」みたいな感じで人前でもヘンドリクス風演奏を真似て遊んだりすることもあったけれど、ちょっとそれはもう出来ないのかなと…。
それにしても、エレキギターやエレキベースの歴史の中で製造開始以来一度も不人気の誹りを受けて忘れ去られるような憂き目に遭わなかったのはプレシジョンベースぐらい(もしかしたらジャズベースも?)なのが興味深いというか、それだけエレキベースという楽器はエレキギターよりも音楽のあり方を根本的に変えてしまった発明だったようだし、その後はシンセとターンテーブルとサンプラーとDAWあたりの登場まで待つことになるのかな?
本書の主人公であるレオ・フェンダーとレス・ポールの二人は、いずれもそのキャリアのかなり初期ですでに五体満足とは言えないような身体的障害を持つ不幸にあったにもかかわらず、その境遇に屈することなく晩年まで自分達のやりたいことを全うしたのが素晴らしく自分も見習いたいものだと感じた。もっとも、自分の人生はどこを切り取っても何の成功も収めておらず、一体何を全うすべきなのかという大きな問題が残るのだけれど……。
June 20, 2022
ストラトタイプのトレモロブリッジをフローティングにしてみた
自分はこれまでストラトタイプのトレモロブリッジはボディにベタ付けで使うのを基本にしてきた。さらにストラト特有のバネが音に影響するのを嫌って実験的に「なんちゃってハードテイル化」までしたりもしている。
ただ、ストラトタイプのトレモロブリッジを載せたギターは2本持っていて、1本をハードテイル化してしまったので、それならもう1本はせっかくなのでトレモロの性能を目一杯使えるようにするのも悪くないと思い、これまでのベタ付け設定をやめて本来のフローティング設定で使えるように調整してみることにした。
ネット上にはYouTube動画も含めてトレモロブリッジ調整の極意みたいな情報は数え切れないほどあふれている。中にはなんだか根拠不明の複雑怪奇な調整方法もあって、それも試してみたりもしたけれど上手くいかない。アームを動かすとチューニングが狂って元の状態に戻らず安定しない。
巷にあるトレモロブリッジ調整で多く紹介されているのは、ブリッジのフローティングしている高さを計って特定の何ミリにするみたいなのが多いけれど、これもなんだかしっくりこない。
そこで一度トレモロブリッジをギター本体から外し、じっくりとブリッジを眺めて気がついたのは、ブリッジのエッジ部分の平面なところがそれなりに面積が大きい。もしかしてフローティングしているときにこのエッジの平面部分がギターの平面部分としっかり接していれば、かなりチューニングが安定するのではないだろうか。
さらに、ボディに接しているブリッジのエッジ平面部分がアーミングで前後に動く際には、エッジの部分が角張っているよりは多少丸くなっている方が滑らかに動くだろうと考え、サンドペーパーで角の部分を少しだけ削って丸みをもたせてみた。
加工が終わったブリッジをボディに付け直し、ボディ裏側のスプリング(自分の場合は3本を真っ直ぐに装着)を調整し、ブリッジのエッジの平面部分がボディ面と真っ直ぐ接するようにして、これでチューニングを合わせてみた。何度かアーミングをして、改めてチューニングの具合やブリッジのボディ面への接し方具合を裏のスプリングで調整する。これを何度か繰り返して、アーミングしてもチューニングがあまり狂わない状態を見つけるようにした。
結果として、フローティングの高さを数値何ミリの基準で合わせるよりも、ブリッジのエッジ面をボディにピタッと合わせる方がアーミングした後のチューニングは安定しているように感じる。
図で示すと以下のような感じで、上から一番目の状態がベタ付け、二番目が中途半端なフローティングの状態、三番目が丁度ブリッジのエッジ面がボディに接してアーミングしてもチューニングがあまり狂わない状態。
これで自分は上手くいったけれど、人によっては違うセッティングの方が良いという人もいるだろう。ストラトタイプのトレモロブリッジのフローティング調整には誰もが納得する正解は無さそうだけれど、ブリッジのエッジ面をボディ面に合わせるというのはかなり理に適ったやり方なんじゃないかと感じる。
まぁ、トレモロバーあるいはビブラートアーム、海外だと一般に「whammy bar」という代物は、物理的にかなり無理がある仕組みで、あれをグニャリと動かせばチューニングが狂うのは当たり前で仕方ないことだろうけれど、それでも大きく狂うかほんのちょっとだけ狂うかというところで色々と人それぞれの工夫や技があるのだろう。
それでも、もしアーミングしたいけれどどうしてもチューニングが狂うのは嫌だというのであれば、今はテクノロジーのおかげで電子的にほとんど違和感ないほどにビグスビーのビブラートアームの動作を再現したエフェクターが開発されたので、それを使えばギター側のチューニングが狂うことはなさそう。ただし、それなりに高い出費となるけれど…。
【追記】ストラトタイプのブリッジが載っているギターのフローティング設定はかなり色々と試してみたけれど、結局2本は疑似ハードテイル化、1本はベタ付け設定に戻してしまった。弾いているうちにチューニングが微妙になってくるのが自分のプレイスタイルには合ってないという結論。コードを鳴らしたときにアームでやるビブラートの響きは大好きなんだけど……。
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BIGSBY Pedal ポリフォニック・ピッチシフター・ペダル Gamechanger Audio BIGSBY Pedalは、弦のベンディングとビブラート効果を再現する画期的なポリフォニック・ピッチシフター・ペダルです。従来のトレモロシステムとBIGSBYトレモロアームを搭載しています。(製品紹介文より) |
June 06, 2022
歪み系エフェクターペダルという沼
エレキギター弾きで歪み系エフェクターペダル沼にはまっていない人はかなり少ないのではと思う。
冷静かつ客観的に考えてみると歪み系のエフェクトペダルなんて1つ、まぁもう少し大目に見ても2つもあれば十分なはずなのに、なぜか同じようなものをいくつも手に入れてみては何かが違うという思いに囚われはじめて、またいつの間にか新しいペダルに手を出すという愚行を繰り返してしまう。
この業というか病気みたいな傾向は、エレキギター弾きですごく顕著で、あとはDAW界隈のサチュレーション系のプラグイン好きな人達がやはり同じかもしれないけれど、それもやっぱりエレキギター弾きからそっちの道に行った人に生じやすいのではないかと想像したり。
エレキギター弾き以外の人からすると何が違うのかさっぱり判らないであろう本当に些細な歪み方の変わりように気も狂わんばかりのこだわりをもつのがこの病気の怖いところで、実際YouTubeの試奏動画なんかを見ても、たとえば自分の場合はハードロック/ヘビーメタル向けのディストーションは興味がないので、そちら方面に特化したペダルの音質比較だとさっぱり違いが判らなかったりする。でも、軽いクランチやオーバードライブ用ペダルだと気のせいぐらいに微妙な差がすごく気になってしまうという…。
で、歪み系ペダルにはいくつかのスタンダードがあるのだけど、その1つがいわゆる「Tube Screamer(チューブスクリーマー、略してTS)」系。これを好きなギタリストは非常に多い。でも、自分はTS系がどうも苦手というかどちらかという嫌いだったりするし、そういう話をするとかなり多くのエレキギター弾きを敵に回すことになる(笑)。
個人的には「Blues Breaker(ブルースブレイカー)」系が好きだけど、こちらはなぜかTS系に比べるとそれほどポピュラーじゃない。理由はTS系に比べると音質変化が少なくてわざわざエフェクトをガツンをかけている感じがしないからなのかも。
いずれにしても、TS系もブルースブレイカー系もエレキギター弾き以外からすれば、音が歪むエフェクトという以外には大差なさそうだけれど。
どちらのペダルもコピー/クローン/復刻品/現行品とかであれば色々と出回っていて安い物なら数千円程度で入手可能だけれど、最初に発売されたオリジナルで状態の良いものを手に入れようとすると数万円は出費する覚悟がいる。ネット検索すると、安いコピー品とオリジナルを並べて比較する動画がたくさんあって、そういうのを観るとほとんど音質差なんて無いに等しい結果が判る。それでも高い金を積んでオリジナルを買う人は後を絶たない。個人的にはそこまでするのは全く理解できないけれど、まぁ趣味の品というのはそういうもの。まさに沼(笑)。
で、最近の自分のお気に入りはTS系でもブルースブレイカー系でもないやつ。今も現行品が安定して流通していて、なおかつ中古もタマ数が多くて安価に入手できるのが素晴らしい。 TS系あたりがギターやアンプとの相性をかなり選ぶ印象あるのに対して、このペダルはそういうのを気にせずかなりオールマイティに使えると感じる。
OD-3 OverDrive BOSS公式ページ
BOSSの公式デモ動画は古すぎてセンスもちょっと自分の使い方とかけ離れすぎてるので、もう少しクランチ/オーバードライブ寄りのデモ動画をチョイス。しかし、これもエレキギター弾き以外の人が聞くとTS系やブルースブレイカー系と何が違うのとなりそう(笑)。
ちなみに、BOSSの歪み系ペダルには他に「BD-2 Blues Driver」という人気モデルがあるのだけれど、これも自分はかなり苦手でまたまた多くのエレキギター弾きを敵に回していたりする…。
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冷静かつ客観的に考えてみると歪み系のエフェクトペダルなんて1つ、まぁもう少し大目に見ても2つもあれば十分なはずなのに、なぜか同じようなものをいくつも手に入れてみては何かが違うという思いに囚われはじめて、またいつの間にか新しいペダルに手を出すという愚行を繰り返してしまう。
この業というか病気みたいな傾向は、エレキギター弾きですごく顕著で、あとはDAW界隈のサチュレーション系のプラグイン好きな人達がやはり同じかもしれないけれど、それもやっぱりエレキギター弾きからそっちの道に行った人に生じやすいのではないかと想像したり。
エレキギター弾き以外の人からすると何が違うのかさっぱり判らないであろう本当に些細な歪み方の変わりように気も狂わんばかりのこだわりをもつのがこの病気の怖いところで、実際YouTubeの試奏動画なんかを見ても、たとえば自分の場合はハードロック/ヘビーメタル向けのディストーションは興味がないので、そちら方面に特化したペダルの音質比較だとさっぱり違いが判らなかったりする。でも、軽いクランチやオーバードライブ用ペダルだと気のせいぐらいに微妙な差がすごく気になってしまうという…。
で、歪み系ペダルにはいくつかのスタンダードがあるのだけど、その1つがいわゆる「Tube Screamer(チューブスクリーマー、略してTS)」系。これを好きなギタリストは非常に多い。でも、自分はTS系がどうも苦手というかどちらかという嫌いだったりするし、そういう話をするとかなり多くのエレキギター弾きを敵に回すことになる(笑)。
個人的には「Blues Breaker(ブルースブレイカー)」系が好きだけど、こちらはなぜかTS系に比べるとそれほどポピュラーじゃない。理由はTS系に比べると音質変化が少なくてわざわざエフェクトをガツンをかけている感じがしないからなのかも。
いずれにしても、TS系もブルースブレイカー系もエレキギター弾き以外からすれば、音が歪むエフェクトという以外には大差なさそうだけれど。
どちらのペダルもコピー/クローン/復刻品/現行品とかであれば色々と出回っていて安い物なら数千円程度で入手可能だけれど、最初に発売されたオリジナルで状態の良いものを手に入れようとすると数万円は出費する覚悟がいる。ネット検索すると、安いコピー品とオリジナルを並べて比較する動画がたくさんあって、そういうのを観るとほとんど音質差なんて無いに等しい結果が判る。それでも高い金を積んでオリジナルを買う人は後を絶たない。個人的にはそこまでするのは全く理解できないけれど、まぁ趣味の品というのはそういうもの。まさに沼(笑)。
で、最近の自分のお気に入りはTS系でもブルースブレイカー系でもないやつ。今も現行品が安定して流通していて、なおかつ中古もタマ数が多くて安価に入手できるのが素晴らしい。 TS系あたりがギターやアンプとの相性をかなり選ぶ印象あるのに対して、このペダルはそういうのを気にせずかなりオールマイティに使えると感じる。
OD-3 OverDrive BOSS公式ページ
BOSSの公式デモ動画は古すぎてセンスもちょっと自分の使い方とかけ離れすぎてるので、もう少しクランチ/オーバードライブ寄りのデモ動画をチョイス。しかし、これもエレキギター弾き以外の人が聞くとTS系やブルースブレイカー系と何が違うのとなりそう(笑)。
ちなみに、BOSSの歪み系ペダルには他に「BD-2 Blues Driver」という人気モデルがあるのだけれど、これも自分はかなり苦手でまたまた多くのエレキギター弾きを敵に回していたりする…。
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BOSS OverDrive OD-3 これがオーバードライブの新たな定番、OD-3。デュアル・ステージ・オーバードライブ回路を搭載。美しい倍音と図太い低域、粘りのあるサステインが特徴。コード・カッティング、リフからソロまでオール・ラウンドに使えるオーバードライブ。(製品紹介文より) |
May 31, 2022
ギターのコントロールノブ形状は思った以上にプレイに影響がある
先日、Fender Mustangタイプのギターを借りてバンド状況でプレイする機会があった。
ムスタングはショートスケールだし普段自分が使うギターとは演奏の勝手が違うので戸惑う部分も色々あったけれど、一番違和感があったのはボリュームとトーンをコントロールするためのノブだった。
ムスタングをいじったことがある人なら判ると思うけれど、ノブの外周が普通の円ではなく7角形になっている。
この7角形の指への当たり具合が微妙で滑らかに回らずどうしても7角形に沿ってカクカクとなってしまう。そのため、プレイ中に音量調整しようとすると、意図せずして7段階のプリセットで音量を切り換えるみたいな感じになり、直感的に丁度良い音量にサッと決めるのが難しい。
エレキギターのボリュームポットというのは、わずか数ミリ動かすだけでかなり大きく音量が変わることがあるので、7段階のプリセットみたいな感じで大雑把に動くようだと適切な位置にするのは無理がある。できれば無段階で調整できるようであってほしい。
そんな訳で、もし自分がムスタングのような7角形のコントロールノブが付いたギターを手に入れることがあれば、あのノブは速攻で交換することになるだろう。たかがノブの違いだけで、まさかあれほど使いずらいことになるとは思いもしなかった。
ムスタングはショートスケールだし普段自分が使うギターとは演奏の勝手が違うので戸惑う部分も色々あったけれど、一番違和感があったのはボリュームとトーンをコントロールするためのノブだった。
ムスタングをいじったことがある人なら判ると思うけれど、ノブの外周が普通の円ではなく7角形になっている。
この7角形の指への当たり具合が微妙で滑らかに回らずどうしても7角形に沿ってカクカクとなってしまう。そのため、プレイ中に音量調整しようとすると、意図せずして7段階のプリセットで音量を切り換えるみたいな感じになり、直感的に丁度良い音量にサッと決めるのが難しい。
エレキギターのボリュームポットというのは、わずか数ミリ動かすだけでかなり大きく音量が変わることがあるので、7段階のプリセットみたいな感じで大雑把に動くようだと適切な位置にするのは無理がある。できれば無段階で調整できるようであってほしい。
そんな訳で、もし自分がムスタングのような7角形のコントロールノブが付いたギターを手に入れることがあれば、あのノブは速攻で交換することになるだろう。たかがノブの違いだけで、まさかあれほど使いずらいことになるとは思いもしなかった。
March 09, 2022
実験:ハムバッキングピックアップのマグネットを交換してみた
うちにあるエピフォンのES-335モドキの「Dot」には「Gibson '57 Classic」風味の「Epiphone Alnico Classic」というハムバッキングピックアップが搭載されている。
元々、Dotを入手したのは試奏してみて音が悪くなかったからなのだけど、弾いているうちにどうも高音成分のエッジが少しきつい鳴り方が気になってきて、できれば出力の弱いヴィンテージ風な味付けのピックアップに換装したい欲求が高まってきた。
ただ、その手のリプレースメント用ハムバッキングピックアップは価格が高め。ネック側とブリッジ側の2つセットで入手しようとすると安くても4万円超になって財布にやさしくない。しかも最近はコロナ渦の影響で海外製ピックアップの入手が以前より難しく、たとえ入手可能でも価格がやたらに高騰化している。
で、色々とハムバッカーについて情報収集していたら、ピックアップのマグネットを交換すると、それだけで音色の傾向を変えることができることが判った。マグネットなら割高な楽器用でも2つで2000円前後から入手できる。ピックアップ交換に比べれば破格に安い。
ということで、まずはマグネットだけを交換することにしてみた。Epiphone Alnico Classicのマグネットはアルニコ5らしいので、より磁力が弱くてヴィンテージぽい音が狙えそうなアルニコ2を入手して交換することに。入手先はサウンドハウス。
MONTREUX Rough Cast Alnico 2 Magnet for HB
マグネットの交換方法についてはYouTubeを検索すれば丁寧な説明動画がいくらでも見つかる。自分が参考にしたのは以下の動画で、とくにピックアップカバーの外し方が他と違って半田ごての熱ではなく、刃物を使って力技でガツンと外してしまうのがミソ。
エピフォンのハムバッキングピックアップはハウリング防止用のポッティング(ロウ漬け)が強力でドップリとロウが使われていて、このせいで半田ごての熱でカバーを止めている半田を溶かそうとすると、カバーの中でロウが溶け出してカバーを外すのがかなり困難になってしまう構造になっている。なので、乱暴だけど、半田部分をノミ状の刃物でガツンと破壊してしまう方が簡単かつ問題なくカバーを外すことができる。実はこれは改造作業中にピックアップを一つダメにして発見したことなので、もしエピフォンのピックアップを改造しようとする人は要注意。結局、自分は一つピックアップをダメにしてしまったので、Reverb.comで同じピックアップの中古品を探して個人輸入する羽目になってしまったのはあまり思い出したくない黒歴史…。
マグネット交換後の音質変化は予想した以上で、アルニコ5の時と比べてアルニコ2の音は、高音のパキパキしたきつさがなくなると同時に低音のドカンという押し出しもなくなり、良く言えば上品な鳴り方になった。悪く言うと、明らかにパンチがなくなったのでゴリゴリのジェント的な奏法には全く向かない。クリーンからちょっとクランチさせるぐらいの音が欲しい人には最適な感じ。全体的には過剰な高音と低音がなくなった分、素直でヌケが良い音という印象。
マグネット交換はピックアップそのものの交換に比べると破格に安い投資で劇的に音質を変えることができるので、ハムバッカー(もしくはP-90)で現状の音に不満を感じている人なら、改造の手間と失敗のリスクを恐れないならやってみる価値は大いにあると思う。
元々、Dotを入手したのは試奏してみて音が悪くなかったからなのだけど、弾いているうちにどうも高音成分のエッジが少しきつい鳴り方が気になってきて、できれば出力の弱いヴィンテージ風な味付けのピックアップに換装したい欲求が高まってきた。
ただ、その手のリプレースメント用ハムバッキングピックアップは価格が高め。ネック側とブリッジ側の2つセットで入手しようとすると安くても4万円超になって財布にやさしくない。しかも最近はコロナ渦の影響で海外製ピックアップの入手が以前より難しく、たとえ入手可能でも価格がやたらに高騰化している。
で、色々とハムバッカーについて情報収集していたら、ピックアップのマグネットを交換すると、それだけで音色の傾向を変えることができることが判った。マグネットなら割高な楽器用でも2つで2000円前後から入手できる。ピックアップ交換に比べれば破格に安い。
ということで、まずはマグネットだけを交換することにしてみた。Epiphone Alnico Classicのマグネットはアルニコ5らしいので、より磁力が弱くてヴィンテージぽい音が狙えそうなアルニコ2を入手して交換することに。入手先はサウンドハウス。
MONTREUX Rough Cast Alnico 2 Magnet for HB
マグネットの交換方法についてはYouTubeを検索すれば丁寧な説明動画がいくらでも見つかる。自分が参考にしたのは以下の動画で、とくにピックアップカバーの外し方が他と違って半田ごての熱ではなく、刃物を使って力技でガツンと外してしまうのがミソ。
エピフォンのハムバッキングピックアップはハウリング防止用のポッティング(ロウ漬け)が強力でドップリとロウが使われていて、このせいで半田ごての熱でカバーを止めている半田を溶かそうとすると、カバーの中でロウが溶け出してカバーを外すのがかなり困難になってしまう構造になっている。なので、乱暴だけど、半田部分をノミ状の刃物でガツンと破壊してしまう方が簡単かつ問題なくカバーを外すことができる。実はこれは改造作業中にピックアップを一つダメにして発見したことなので、もしエピフォンのピックアップを改造しようとする人は要注意。結局、自分は一つピックアップをダメにしてしまったので、Reverb.comで同じピックアップの中古品を探して個人輸入する羽目になってしまったのはあまり思い出したくない黒歴史…。
マグネット交換後の音質変化は予想した以上で、アルニコ5の時と比べてアルニコ2の音は、高音のパキパキしたきつさがなくなると同時に低音のドカンという押し出しもなくなり、良く言えば上品な鳴り方になった。悪く言うと、明らかにパンチがなくなったのでゴリゴリのジェント的な奏法には全く向かない。クリーンからちょっとクランチさせるぐらいの音が欲しい人には最適な感じ。全体的には過剰な高音と低音がなくなった分、素直でヌケが良い音という印象。
マグネット交換はピックアップそのものの交換に比べると破格に安い投資で劇的に音質を変えることができるので、ハムバッカー(もしくはP-90)で現状の音に不満を感じている人なら、改造の手間と失敗のリスクを恐れないならやってみる価値は大いにあると思う。
November 26, 2021
実験:スチール弦アコースティックギターにナイロン弦を張ってみる(追記あり)
なんとなくナイロン弦の生ギターが弾きたくなって、ネック細めで弦高も低くて楽そうなエレガットの中古を物色しようとネットであれこれ情報を漁っていたら、スチール弦用に作られたギターにナイロン弦を張っている事例をいくつか発見。
さらに、ギター・マガジンの2021年12月号の中で鈴木茂がギブソンJ-45にナイロン弦を張っているというかなり邪道(笑)な話も出ていて(P87のピックの記事でさらっと触れられている)、こういうやり方は割と普通に皆がやっているのかもしれないと気づく。そういえば、鈴木茂はストラトについてもトレモロユニットのスプリングを外して木材プレートでブリッジ部を完全にブロックして使っているそうで自分とは気が合いそうだ。
それなら自分もわざわざエレガットを手に入れなくてもうちにあるアコースティックギターで実験できるじゃないかということで、スチール弦ギターのブリッジにも対応可能なボールエンド付きナイロン弦を手に入れて張ってみた。
ナイロン弦を張るときの注意点はスチール弦と同じようなつもりでペグポストに巻き始めるといつまでたってもユルユルのままで永遠に終わらないということ。ナイロン弦はスチール弦と違ってすごく伸びるので、ポストに巻き始める時点でピンと張ってそこからペグをぐるぐる回すぐらいでもポストの短いスチール弦ギターだとかなりたくさん巻くことになる。いわゆるクラシックギターのスロットヘッドになるけれど、どうやって巻くと良いかは以下のWebページの記事などが参考になる。
当日弾けるナイロン弦交換
あとはクラシックギターよりもペグポストが短いウクレレの弦の張り方なども参考になるかも。
で、なんとか無事にナイロン弦を張ることに成功して弾いてみたら、予想したよりはまともな音が鳴ったので実験成功(笑)。しかし、やはり弦のテンションはかなり低く、真っ当なクラシックギター的な鳴り方とは全然違うし音も小さい。もっとも、この小さくてテンションの低いゆるゆるなところが、逆にポロロンと適当につま弾くには丁度良い感じで自分的には狙ったとおり。スチール弦と違って指弾きでも全然痛くないのも良い。まー、真剣に弾きたい人にはまったくおすすめできないのは言うまでもないけれど…。
しばらく弾いていて今のところネックが弦のテンション不足で逆ぞりしたりという不具合は出てないけれど、イントネーションがかなり怪しい。仕方がないので4〜6弦だけ、割り箸を削った木片にタイトボンドをまぶして気分だけ硬化させたへんてこりんな補正サドルをかませていくらか誤魔化すことに。
とりあえず、これで今のところはインチキなナイロン弦ギターのポロンポロンという音を楽しめている。しかし、あまりにゆるゆるだし音程も怪しいので、これに慣れすぎるとちゃんとした生ギターはナイロン弦でもスチール弦でも弾けない身体になりそう(笑)。
PS. 割り箸で作った補正用サドルから出る音がイマイチだったので、他のギターで交換して不要になっていたプラ製ナットを丁度良い大きさに削って新しいサドルを作ってみた。これまでよりも張りのある音になったので良しとしよう。(2022/3/21追記)
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さらに、ギター・マガジンの2021年12月号の中で鈴木茂がギブソンJ-45にナイロン弦を張っているというかなり邪道(笑)な話も出ていて(P87のピックの記事でさらっと触れられている)、こういうやり方は割と普通に皆がやっているのかもしれないと気づく。そういえば、鈴木茂はストラトについてもトレモロユニットのスプリングを外して木材プレートでブリッジ部を完全にブロックして使っているそうで自分とは気が合いそうだ。
それなら自分もわざわざエレガットを手に入れなくてもうちにあるアコースティックギターで実験できるじゃないかということで、スチール弦ギターのブリッジにも対応可能なボールエンド付きナイロン弦を手に入れて張ってみた。
ナイロン弦を張るときの注意点はスチール弦と同じようなつもりでペグポストに巻き始めるといつまでたってもユルユルのままで永遠に終わらないということ。ナイロン弦はスチール弦と違ってすごく伸びるので、ポストに巻き始める時点でピンと張ってそこからペグをぐるぐる回すぐらいでもポストの短いスチール弦ギターだとかなりたくさん巻くことになる。いわゆるクラシックギターのスロットヘッドになるけれど、どうやって巻くと良いかは以下のWebページの記事などが参考になる。
当日弾けるナイロン弦交換
あとはクラシックギターよりもペグポストが短いウクレレの弦の張り方なども参考になるかも。
で、なんとか無事にナイロン弦を張ることに成功して弾いてみたら、予想したよりはまともな音が鳴ったので実験成功(笑)。しかし、やはり弦のテンションはかなり低く、真っ当なクラシックギター的な鳴り方とは全然違うし音も小さい。もっとも、この小さくてテンションの低いゆるゆるなところが、逆にポロロンと適当につま弾くには丁度良い感じで自分的には狙ったとおり。スチール弦と違って指弾きでも全然痛くないのも良い。まー、真剣に弾きたい人にはまったくおすすめできないのは言うまでもないけれど…。
しばらく弾いていて今のところネックが弦のテンション不足で逆ぞりしたりという不具合は出てないけれど、イントネーションがかなり怪しい。仕方がないので4〜6弦だけ、割り箸を削った木片にタイトボンドをまぶして気分だけ硬化させたへんてこりんな補正サドルをかませていくらか誤魔化すことに。
とりあえず、これで今のところはインチキなナイロン弦ギターのポロンポロンという音を楽しめている。しかし、あまりにゆるゆるだし音程も怪しいので、これに慣れすぎるとちゃんとした生ギターはナイロン弦でもスチール弦でも弾けない身体になりそう(笑)。
PS. 割り箸で作った補正用サドルから出る音がイマイチだったので、他のギターで交換して不要になっていたプラ製ナットを丁度良い大きさに削って新しいサドルを作ってみた。これまでよりも張りのある音になったので良しとしよう。(2022/3/21追記)
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ギター・マガジン 2021年12月号 本誌は、鈴木茂というギタリストとはっぴいえんどの価値をもう一度、我々なりのやり方で見つめ直してみたいと思い立った。そこで鈴木に8時間を超える異例の取材を決行、はっぴいえんどに関するすべてを語ってもらうことにした。鈴木茂のはっぴいえんどに対する強い情熱と愛情を、ページをめくりながら読み取っていただければ幸いである。(製品紹介文より) |
November 02, 2021
エフェクターペダル「Sonic Blue Twanger」は考え方を変えれば結構面白かった
発売されて直ぐに手に入れたOne Control製のエフェクターペダル「Sonic Blue Twanger」は何度か使ってみたけれど、どうも自分には上手く使えなくてそのまま押入にしまい込んでいた。
どういうエフェクターなのかについては、One ControlのWebサイトにある解説を読んでもらう方が判りやすいと思うけれど、60年代中期のフェンダー製アンプの音の雰囲気を狙ったプリアンプ的なもの。
どうしてもオーバードライブ系ペダルみたいにガツンと歪むようなセッティングにしたくなるのが人情だけど、それをやると単に耳に痛い音しか出てこないので、かなり扱いが難しい類のペダルだと感じる。
なので、オーバードライブ的な使い方を期待して手に入れた人は自分と同じように使わなくなるか、それとももっとドライにすぐ売り払ってしまうパターンが多いのかも。自分も店頭で事前に試奏していれば、おそらくその時点で購入は見送ったのかもしれない。しかし、ネット通販でポチったので入手してみたら上手く使えなかったというありがちなオチ。
で、長らく押入の中に放置していたのだけれど、ある日ふと思い出して改めてセッティングを色々といじってみたら、もしかしたら割と面白いペダルなのかもしれないという気づきがあった。
このペダルに用意されているのは「VOLUME」「TREBLE」「MASTER」の3つのツマミと、ボディ横にある「RHYTHM/LEAD」の切り換えスイッチ。厳密にはちょっと違うのだけど、VOLUME=ゲイン、TREBLE=トーン、MASTER=マスターボリュームとほぼ同意で、RHYTHM/LEADでゲインのタイプを変更できる。
入手してすぐはLEADモードでVOLUMEをガツンと上げて歪ませてみたら個人的に嫌いなタイプのディストーションになるので、RHYTHMモードにしてあまり歪まない感じにして使っていたのだけど、この音が自分にとってはひたすら地味でわざわざエフェクターをかませて使う意味が見いだせなかった。だったらアンプで音作るよねということで全く使わなくなった。
今回改めて試したのは、LEADモードでVOLUMEをあまり上げず(9時前後)、MASTERも8時ぐらいと低め。というか、このエフェクター、やたらに出力があって、ちょっとツマミを上げると爆音が出るので、MASTERは全然上げられない。現行モデルは3世代目(筐体グラフィックが変更されている)になるので見直しがあったりするのかもしれないけれど、初代モデルはMASTERのポットの抵抗値の選択が失敗してるようにしか思えない。なのでひたすらツマミは低めの設定にせざるを得ないのがもどかしいのだけど、それでギターアンプ側はフラットなトーン設定にしてギターを鳴らしながらTREBLEを9〜3時ぐらいの間で回してスイートスポットを探るという感じ。
この設定でアンプのクリーンな音に微かに歪みのエッジが乗るような感じで調整してやると、まさにフェンダーのチューブアンプを少しだけプッシュしたようなニュアンスの音になる。なるほど、こういうエフェクターだったかと初めて気付いた(笑)。
ここからガツンと歪ませたいのであれば、Sonic Blue Twangerの前に、各自好みのオーバードライブ(TS系やブルースブレイカー系が合いそう)、もしくはファズなどを刺してやれば、かなり美味しい音に仕上がると思う。決してSonic Blue Twangerだけで歪みを作ろうとしないのがコツ。Sonic Blue Twangerだけで歪ませると耳障りな音にしかならない。もっともそういう音が欲しい人はそれで良いのかな(笑)。
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One Control SONIC BLUE TWANGER ブースター ギターエフェクター ●特徴 ・ブラックフェイス期のヴィンテージアメリカンアンプトーンを再現(製品紹介文より) |
September 08, 2021
Mac上でiTunes/Music、Spotify、YouTube等の再生音をDAWへルーティングして音質向上を図る
Mac上でのデジタルオーディオ再生環境の実験を色々やっていたら面白い結果が得られたのでメモ書き的に書いておくことに。
要旨としては、iTunes/MusicアプリやSpotifyデスクトップアプリ、もしくはWebブラウザでYouTube等での再生音を、一旦DAWソフトのインプットにルーティングして、そこから外部オーディオインタフェースで音声出力すると、DAWソフトに搭載されたオーディオエンジンの解像度で高音質化を図れるというもの。
高音質化される理由としては、どうもMacOSのデフォルトのオーディオエンジンよりもDAWのオーディオエンジンの方が音の定位が優れているので、音の分離が良くなり、結果として再生音の解像度がより高くなることにあるように感じる。具体的なメリットとしては、エコー/リバーブ/アンビエンスといった残響音がきれいに聞こえる、左右にパンする音が明確になる、ベースやキックなどが聞こえやすくなる、ミックスで意図されたそれぞれの音の有り様がそのまま再生されるのでボーカルなどが前に出てくる、等々。
この再生方法を実行するためには、外部オーディオインタフェース、DAWソフト(自分の環境では「Logic Pro X」および「Studio One 5 Prime」で確認済み)、ルーティング用機能拡張(自分の環境では「Soundflower」および「BlackHole」で確認済み)が必須となる。
設定は、Macのメニュー上で音声出力をSoundflowerもしくはBlackHoleに指定>DAW上で音声の入力をSoundflowerもしくはBlackHoleに指定>DAWの出力を外部オーディオインタフェースに指定。次いでDAW上でステレオトラックを一つ作りインプットモニターをオンにする。
設定が終わったら、iTunes/Musicアプリ、Spotifyデスクトップアプリ、WebブラウザのYouTube等を再生状態にすると音声がDAW経由で外部オーディオインタフェースから鳴るはず。
なお、Logic Pro Xの場合、もしかするとそのままではルーティングできず、Mac純正の「Audio MIDI設定」ユーティリティで機能拡張(SoundflowerもしくはBlackHole)とオーディオインタフェースの入力の両方を同時に利用できる機器セットを新たに作って、Logicの設定から入力デバイスに指定してやる必要があるかもしれない。このあたりの挙動がやや不安定。Studio One 5 Primeではこうした問題は無いように思えるがあまり使ってないので断定はできない…。
また、DAWへの入力が過大となる場合(うちの環境では0.1dBほどオーバーする症状が出た)、Mac純正の「Audio MIDI設定」ユーティリティで機能拡張(SoundflowerもしくはBlackHole)の出力レベルでマスター値を調節して対応できる(現在うちの環境ではマスター値を0.98/-0.4dBにしている)。
残念ながら各種設定はそれなりに面倒で、試行錯誤が必要かもしれず、誰でも簡単にできるという感じではないけれど、Studio One 5 Primeは無料で利用可能なので、外部オーディオインタフェースを所有している人であればダメ元で試してみる価値は十分にあると思う。
個人的には、Logic X Pro経由で2トラックに音声を分離し、純正プラグインの「Linear Phase EQ」で超低音とそれ以外に分割し、超低音側をベースアンプへルーティングしてサブウーハー的に鳴らすことでかなり良い結果が得られ、キックやベースが重要な役割を担う音源の再生ではとても満足している。
【注意】自分の環境ではWebサービスによってはこの再生方法で支障が発生するものもあった。現時点で確認しているのはRadikoとDOMMUNE。YouTubeとらじるらじるは問題ないのでちょっと不思議…。また、Apple MusicとWeb版Spotifyは動作を確認していない。
要旨としては、iTunes/MusicアプリやSpotifyデスクトップアプリ、もしくはWebブラウザでYouTube等での再生音を、一旦DAWソフトのインプットにルーティングして、そこから外部オーディオインタフェースで音声出力すると、DAWソフトに搭載されたオーディオエンジンの解像度で高音質化を図れるというもの。
高音質化される理由としては、どうもMacOSのデフォルトのオーディオエンジンよりもDAWのオーディオエンジンの方が音の定位が優れているので、音の分離が良くなり、結果として再生音の解像度がより高くなることにあるように感じる。具体的なメリットとしては、エコー/リバーブ/アンビエンスといった残響音がきれいに聞こえる、左右にパンする音が明確になる、ベースやキックなどが聞こえやすくなる、ミックスで意図されたそれぞれの音の有り様がそのまま再生されるのでボーカルなどが前に出てくる、等々。
この再生方法を実行するためには、外部オーディオインタフェース、DAWソフト(自分の環境では「Logic Pro X」および「Studio One 5 Prime」で確認済み)、ルーティング用機能拡張(自分の環境では「Soundflower」および「BlackHole」で確認済み)が必須となる。
設定は、Macのメニュー上で音声出力をSoundflowerもしくはBlackHoleに指定>DAW上で音声の入力をSoundflowerもしくはBlackHoleに指定>DAWの出力を外部オーディオインタフェースに指定。次いでDAW上でステレオトラックを一つ作りインプットモニターをオンにする。
設定が終わったら、iTunes/Musicアプリ、Spotifyデスクトップアプリ、WebブラウザのYouTube等を再生状態にすると音声がDAW経由で外部オーディオインタフェースから鳴るはず。
なお、Logic Pro Xの場合、もしかするとそのままではルーティングできず、Mac純正の「Audio MIDI設定」ユーティリティで機能拡張(SoundflowerもしくはBlackHole)とオーディオインタフェースの入力の両方を同時に利用できる機器セットを新たに作って、Logicの設定から入力デバイスに指定してやる必要があるかもしれない。このあたりの挙動がやや不安定。Studio One 5 Primeではこうした問題は無いように思えるがあまり使ってないので断定はできない…。
また、DAWへの入力が過大となる場合(うちの環境では0.1dBほどオーバーする症状が出た)、Mac純正の「Audio MIDI設定」ユーティリティで機能拡張(SoundflowerもしくはBlackHole)の出力レベルでマスター値を調節して対応できる(現在うちの環境ではマスター値を0.98/-0.4dBにしている)。
残念ながら各種設定はそれなりに面倒で、試行錯誤が必要かもしれず、誰でも簡単にできるという感じではないけれど、Studio One 5 Primeは無料で利用可能なので、外部オーディオインタフェースを所有している人であればダメ元で試してみる価値は十分にあると思う。
個人的には、Logic X Pro経由で2トラックに音声を分離し、純正プラグインの「Linear Phase EQ」で超低音とそれ以外に分割し、超低音側をベースアンプへルーティングしてサブウーハー的に鳴らすことでかなり良い結果が得られ、キックやベースが重要な役割を担う音源の再生ではとても満足している。
【注意】自分の環境ではWebサービスによってはこの再生方法で支障が発生するものもあった。現時点で確認しているのはRadikoとDOMMUNE。YouTubeとらじるらじるは問題ないのでちょっと不思議…。また、Apple MusicとWeb版Spotifyは動作を確認していない。
August 28, 2021
Danelectroタイプのブリッジを改造してみた
「Squier Vintage Modified Jaguar HH」というモデルのエレキギターを少しずつ改造して使っているのだけど、購入当時からずっと気になっていたブリッジ部を改造してみた。
このギターはオリジナルのFender Jaguarと違ってブリッジ部がトレモロユニットではなく、6駒サドルのDanelectroタイプになっている。ただ、サドルの可動範囲が狭くイントネーション調整に支障があるなどあまり気に入ってはいなかった。
改造にあたってはネット上で色々検索してみたら、ギブソンタイプのチューンオーマチックに載せ替えるというかなり大がかりなものもあったけれど、自分の技量ではちょっとそこまでやるのは自信が無い。もう少し簡単なのはないかと探したら、オリジナルのDanelectroのブリッジを改善するためのキットが色々あって、これがなかなか良さそうだったけれど、この方式だと当方のJaguarに載せるためにはブリッジの形に合わせてピックガード加工が必要なのと、ネックの差し込み角度をシム等で変更する必要のあることが判明(ネックの仕込み角度が標準的なフェンダーの浅いものと異なりややギブソン的な深い感じになっている)。これはこれでちょっとハードルが高い。
他にもっと簡単な方法はないかと調べていたら、ダンエレ型のブリッジベースはそのまま活かして、サドルだけテレキャスター用の3WAYタイプに付け替えるという手法を発見。作業でもっとも面倒なのはサドルを固定するためのネジ穴を3つ開けること。これならバイスでブリッジベースを固定して気長にゆっくりとハンドドリルで穴を開ければなんとかなりそうだったので早速試してみることに。テレ用サドルのネジ直径は3ミリだったので、3ミリの金属用ドリルでじわじわと穴を開けてみたら上手くいった。
これまでブリッジベースは3本のネジを使って、ギター本体に対して斜めに傾けて角度を付けて固定して弦高を調整する仕様だったのを、ベースを完全にボディにピッタリとくっつける形で固定して弦高はテレ用サドルのイモネジで調整。イントネーション調整もオリジナルよりもやりやすくなった。
新しい弦を張って鳴らしてみたら、ずいぶんと鳴り方が変わった。前はなんとなくビヨ〜ンという味わいの響きだったのが、シャキーンと真っ直ぐな感じですごくソリッドボディなエレキの音に。サスティーンもずいぶん伸びた。なんというか、以前のイナタイ味わいが無くなってしまい全く違うギターになってしまった。この改造が自分的に良かったのか悪かったのかなんとも評価が難しい……。
まぁ、しばらく使ってみればまた感じ方は変わってくるだろう。
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このギターはオリジナルのFender Jaguarと違ってブリッジ部がトレモロユニットではなく、6駒サドルのDanelectroタイプになっている。ただ、サドルの可動範囲が狭くイントネーション調整に支障があるなどあまり気に入ってはいなかった。
改造にあたってはネット上で色々検索してみたら、ギブソンタイプのチューンオーマチックに載せ替えるというかなり大がかりなものもあったけれど、自分の技量ではちょっとそこまでやるのは自信が無い。もう少し簡単なのはないかと探したら、オリジナルのDanelectroのブリッジを改善するためのキットが色々あって、これがなかなか良さそうだったけれど、この方式だと当方のJaguarに載せるためにはブリッジの形に合わせてピックガード加工が必要なのと、ネックの差し込み角度をシム等で変更する必要のあることが判明(ネックの仕込み角度が標準的なフェンダーの浅いものと異なりややギブソン的な深い感じになっている)。これはこれでちょっとハードルが高い。
他にもっと簡単な方法はないかと調べていたら、ダンエレ型のブリッジベースはそのまま活かして、サドルだけテレキャスター用の3WAYタイプに付け替えるという手法を発見。作業でもっとも面倒なのはサドルを固定するためのネジ穴を3つ開けること。これならバイスでブリッジベースを固定して気長にゆっくりとハンドドリルで穴を開ければなんとかなりそうだったので早速試してみることに。テレ用サドルのネジ直径は3ミリだったので、3ミリの金属用ドリルでじわじわと穴を開けてみたら上手くいった。
これまでブリッジベースは3本のネジを使って、ギター本体に対して斜めに傾けて角度を付けて固定して弦高を調整する仕様だったのを、ベースを完全にボディにピッタリとくっつける形で固定して弦高はテレ用サドルのイモネジで調整。イントネーション調整もオリジナルよりもやりやすくなった。
新しい弦を張って鳴らしてみたら、ずいぶんと鳴り方が変わった。前はなんとなくビヨ〜ンという味わいの響きだったのが、シャキーンと真っ直ぐな感じですごくソリッドボディなエレキの音に。サスティーンもずいぶん伸びた。なんというか、以前のイナタイ味わいが無くなってしまい全く違うギターになってしまった。この改造が自分的に良かったのか悪かったのかなんとも評価が難しい……。
まぁ、しばらく使ってみればまた感じ方は変わってくるだろう。
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Montreux Brass Tele saddle set テレキャスター用ブリッジサドル 3個セット 9183 弦長補正に効果的な、テレキャスター用サドルのリプレイスメントです。素材はブラスになります。段差で補正するタイプですので、サドルを傾けるタイプに比べ、見た目がオリジナルに近いというメリットがあります。(製品紹介文より) |
June 10, 2021
鈴木智彦「ヤクザときどきピアノ」を読んだ
刊行当初から読みたいと思いつつなんとなく保留にしていたら1年以上過ぎていた。もっと早く読んでおけば良かったとちょっと後悔。すごく面白かった。
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著者の作品は以前にも「サカナとヤクザ — 暴力団の巨大資金源『密漁ビジネス』を追う」を読んでいて、並々ならぬ人物であることは確信していたけれど、まさに天才なんだろう。50歳を過ぎてからピアノを始め、わずか1年ほどの期間で演奏会に出られるほどまでになるというのは尋常じゃない。
本の中では著者が自動車免許をとったときの逸話が出てくるけれど、わずか三週間で試験場で取得したらしい。これは完全に普通の人では真似ができない天才的な所行であり、こういうことができてしまう人の話を読んで自分も同じように今からピアノを始めてみようかという気には全くならないのが凡人の悲しさ(笑)。
しかし、本書は単に天才肌の人がピアノを歳とってから始めて上手くいきましたという話で終わることなく、いかに音楽を楽しむべきかという心がけについて他ではあまり出会えないような数々の優れた啓示を提示しているところが本当に素晴らしい。楽器演奏をする人だけでなく、音楽を聴いて楽しむだけの人にとってもヒントとなるような話がいくつも出てくるので、まだ読んだことがない人は機会があれば是非読んでみると良いと思う。
それにしても、著者が出会ったピアノ講師の「レイコ先生」が本当に素晴らしい。多分にかなり脚色があるのは承知でも、この本を読んでいるだけでレイコ先生に惚れてしまう。そして本を読み進むことで著者と同じようにハートブレイクしてしまうのだけど、そのあたりはネタバレになるのでここでは触れない。
さすがに今からピアノは無理そうなので、いたずらに長年ダラダラといじってきたのに全然上手くならないギターをまた練習しようかなと思う今日この頃。
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ヤクザときどきピアノ CCCメディアハウス 『サカナとヤクザ』『ヤクザと原発』などの潜入ルポで知られる52歳のベストセラー・ライターが、今度はピアノ教室に?! 校了明けに観た1本の映画が人生を変えた。 憧れていたピアノをいまこそ弾きたい。 譜面も読めない「俺」が、舞台でABBAを演奏するまでの1年と少しの軌跡。(製品紹介文より) |
著者の作品は以前にも「サカナとヤクザ — 暴力団の巨大資金源『密漁ビジネス』を追う」を読んでいて、並々ならぬ人物であることは確信していたけれど、まさに天才なんだろう。50歳を過ぎてからピアノを始め、わずか1年ほどの期間で演奏会に出られるほどまでになるというのは尋常じゃない。
本の中では著者が自動車免許をとったときの逸話が出てくるけれど、わずか三週間で試験場で取得したらしい。これは完全に普通の人では真似ができない天才的な所行であり、こういうことができてしまう人の話を読んで自分も同じように今からピアノを始めてみようかという気には全くならないのが凡人の悲しさ(笑)。
しかし、本書は単に天才肌の人がピアノを歳とってから始めて上手くいきましたという話で終わることなく、いかに音楽を楽しむべきかという心がけについて他ではあまり出会えないような数々の優れた啓示を提示しているところが本当に素晴らしい。楽器演奏をする人だけでなく、音楽を聴いて楽しむだけの人にとってもヒントとなるような話がいくつも出てくるので、まだ読んだことがない人は機会があれば是非読んでみると良いと思う。
それにしても、著者が出会ったピアノ講師の「レイコ先生」が本当に素晴らしい。多分にかなり脚色があるのは承知でも、この本を読んでいるだけでレイコ先生に惚れてしまう。そして本を読み進むことで著者と同じようにハートブレイクしてしまうのだけど、そのあたりはネタバレになるのでここでは触れない。
さすがに今からピアノは無理そうなので、いたずらに長年ダラダラといじってきたのに全然上手くならないギターをまた練習しようかなと思う今日この頃。
December 28, 2020
MXR Tremolo M305の簡単な感想
発売以来ずっと気になっていた「MXR Tremolo M305」を手に入れた。
エフェクターに対する相場感(あくまでも個人的なもので自分でもかなりケチだという自覚はある…)からするとほんの少し価格が高いような気がして躊躇していたのだけれど、某楽器店で貯まったポイントがそろそろ有効期限切れだったのでそれを使ってエイヤという感じで購入(笑)。
音質、エフェクトのかかり具合、操作感、商品の質感等、どれもとても満足。不満があるとすれば、トレモロの種類を変更するためのスイッチの仕様がちょっとかったるい。あとは電池を内蔵して使えないのは残念。しかし今どきのペダルはそういうのが普通になりつつあるのでこれは妥協するしかない。
この1台で6種類のトレモロを使い分けられるの加えて、演奏の強弱に感応させてトレモロの速度と深さを自動的に変えられる「Envelope Mode」が用意されているのがうれしい。他にも外部スイッチでタップテンポできたり、エクスプレッションペダルから各種設定をいじれたり、ステレオ入出力に対応していたりと、この小さな筐体で相当に多機能を実現しているのはすごい(自分は全然そこまで使ってないけれど…)。
トレモロが欲しいけれど持ってなくてこれから買おうかなと考えている人は候補の1つとしてこのペダルを試奏してみることをおすすめします。
最近は色々なエフェクターメーカーから個性のあるモデルがたくさん出ていて、もし潤沢な資金があるのであれば、Origin Effectsの「RevivalTREM Bias Tremolo」がイチオシだけど、さすがに軽く5万円を超える価格はハードルが高い。
トレモロは本来であればフェンダーの古いアンプに載っかっているやつが一番美味しいと思うけれど、簡単には手が出せないし現実的には使いやすいエフェクターに頼らざるを得ないのが現実ということで。
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MXR M305 TREMOLO トレモロ ギターエフェクター MXRが得意としてきた往年のトレモロサウンドから、ヴィンテージのチューブアンプに採用されていたバイアス変調方式をシミュレートした波形や矩形波など、多彩な6つの波形モードがプッシュ式のスイッチノブで選択可能。(製品紹介文より) |
October 25, 2020
エレキギターのトーンは要らないか?
エレキギターのトーンは要らないか? たぶん若さにまかせてガツンと弾くギタリストには要らないと思う。自分も昔は全然必要なかったのでトーン回路ごとバッサリ取り外してしまったギターを持っている。まぁ、当時はボリュームもゼロかフルテンかで微妙に調整するなんてことはしなかったから当然だった。
でも、歳をとってくると勢いにまかせてガツンと弾くということができなくなるので、その分色々と微調整をして誤魔化すようになる。これはなかなか悲しい。で、トーンを取っ払ったギターの場合はボリュームをいじると微妙にトーンのニュアンスが変わるのでしばらくはそれでしのいできたのだけど、いよいよ老いには勝てなくてトーンが欲しいと思うようになった。そこで家に転がっているあり合わせのパーツで遠い昔に捨て去ったトーン回路を再構築することに。
シングルコイルピックアップに適した値(0.047μFあたり)のコンデンサが無かったので、これだけは通販で一番安く手に入るのを購入。送料含めて200円。たぶん秋葉原まで出かければ数十円で売っているような代物だけど、出かける手間と交通費を考えればそちらの方がよほど出費が痛い。
世の中のギター沼にはまっているような人ならギターのトーン回路に使うコンデンサ(ギター界隈では「キャパシタ」と呼ぶ人も多い)には大いにこだわるのが当然なんだけど、個人的な経験では容量とポットの抵抗値の組み合わせ以外、コンデンサの種類で音質が激しく変わることは一切無かったし、このギターは音が良いなと思って裏蓋を開けて見てみると皆が嫌う安物の小さなマイカコンデンサがぽつんと載っていたりして、ビンテージもののコンデンサなんて必要ないんだなということを思い知らされること限りなし。割と普及してるでかいオレンジドロップでさえも場所をとるから邪魔なだけだと思うようになった。
無事にトーン回路が復活したギターは、微妙にトーンのつまみをいじることでモッサリした音質と耳に痛いような高音が突き抜ける音質の中間をぬるぬると漂う感じで甘いのだけどキラキラしてるようなトーンが出るようになった。こういうのは勢いで弾いてカッコイイ若者には全く不要な音だろうけれど、もはや勢いなんてものと全然縁が無い老人ギタリストにはとても美味しい。ちょっと面倒だったけれど思い切ってトーン回路を復活させて良かった。
Amazon affiliate SCUD マイラコンデンサー、0.047μF CR-473 本製品はリペアショップなど専門家による取り付けを前提として販売しております。ご自身で交換された際の破損、故障などのトラブル、事故などに関しましては自己責任とし、保証致しかねますので予めご了承ください。(製品紹介文より) |
October 23, 2020
エレキギターのピックアップの位置調整は重要という話
エレキギターのピックアップの位置というのは、わずかな例外機種を除けば、大抵は調節用のネジを回すことで弦との距離を近づけたり離したりできるようになっている。
音を録るマイクと同じで、エレキギターのピックアップは音源である弦に近づければ近づけるほど音が大きくなる。なので、できるだけ弦に近い位置までピックアップを寄せて使う人は多い。音はデカければデカいほど偉いというパターンだ。
でも、ピックアップを弦に近づけすぎると、音が割れたり、ピックアップの磁石の力が弦の動きに干渉して音の伸びが無くなったりする(エレキギターの弦は主に鉄でピックアップの磁石と作用することで音が鳴る仕組みなのだ)。何事もやり過ぎは良くないということで、そういう不都合が生じないギリギリまで近づける調整をするのがよくあるパターン。
しかし、そういう状態は絶えずマイクに向かって怒鳴って歌うのと同じ状態でもあるので、ギターの音色としては下品というか過剰な感じの音色になってしまう。まぁそういうのが好きな人はそれで良いという話でもあるけれど、自分はもう歳だしあまりそういうガーガーいう音がするのは疲れて好きじゃない。
で、ピックアップの位置とは別で、ピックアップ自体にも個性があって、やたらに出力が高くてうるさい音しか出ないタイプや、その逆に出力が低くてメリハリつけて弾いてあげないとパンチのある音にならないタイプがあったりする。たまたま自分が持つエレキギターの1本は、出力高めでちょっとガーガーと鳴るピックアップが載っていて、若い頃はそれが良かったりもしたのだけど、いつの間にかちょっと苦手で弾かないまま数年放ったらかしにしていた。さすがに何年も弾いてなかったので弦が錆びてしまっていたのでそれはあまりよろしくないから新しい弦に張り替えたのだけど、相変わらず音はちょっと押しつけがましくて好きなタイプでない。
ふと魔が差して、ピックアップの位置を弦から思い切り離してみたらどうだろうといじってみたところ、なんと良い感じで鈴鳴りな音色がするようになった。あぁ、このギターのこのピックアップでもこういう音がするのかと妙に感動した。
要するにエレキギターのピックアップの位置調整はとても大切だということ。しかし、ここまでガラッと変わるとは思わなかった。
March 09, 2020
ギター用グラフィックイコライザーペダルが面白い
楽器用としてはイマイチ地味なエフェクターという印象があるグラフィックイコライザー。自分も遠い昔にマクソン製の「GE-500」というやつを持っていたけれど、ほとんど使わないまま誰かに譲ってしまった思い出がある。
グライコは他の歪み系やモジュレーション系、空間系のエフェクターに比べると、どうしても飛び道具的な派手さに欠けるので、積極的に使う人というのは少ない気がする。他に地味なエフェクターといえばコンプレッサー/リミッター系もそちらの部類になりそうだけど、グライコに比べるともう少し使い方をイメージしやすいのもあるのか、セッションなどに遊びに行っても使ってる人は時々見かけるのに、グライコを使っている人というのは一度も見た覚えがない。
で、普段からDAW上ではグライコをよく使うのに、ギター用エフェクターとしてグライコを使おうという発想は長らく無いままでいた。ところが最近YouTubeで以下のような動画を見てちょっと考え方が変わった。
ナッシュビルのセッションギタリスト、Tom BukovacがBoss製グライコペダル「GE-7」の具体的な使い方を披露している。そして注目すべきは、冒頭でGE-7はノーマルのままだとノイズが多いので改造してノイズを少なくして使っていると説明している点。
なるほど、そういうものかと思い、ネット検索してみると、日本語でも英語でもBoss GE-7のノイズ対策に関する改造情報はいろいろとヒットする。基本的には標準搭載のオペアンプの質があまり良くなくノイズが出やすいので、それらをもう少しノイズの少ないタイプに換装するのが基本らしい。あとはエフェクターの音質改善を狙う改造ではよくあるコンデンサー類の交換が挙げられていた。なかなか面白そうだ。
ということで、さすがに新品を買って改造に失敗するとかなり痛いので、安く出ている中古のGE-7を探して、さらに交換に必要なパーツ類を入手した。
改造作業は基板上のオペアンプとコンデンサーを載せ替えるだけ。半田ごて作業はあまり得意ではないので、ゆっくりと余裕をもってやったつもりだったけれど、それでもやはり半田が流れて接点がショートしてしまったのか、最初に組み上げたときはめちゃくちゃな雑音しか出なくなり、かなり絶望して落ち込んだ。
翌日、気を取り直して半田作業を丁寧にやり直したところ、幸運にもなんとか音が出るようになった。しかし、ノイズはほんの少し減ったかなと感じるぐらい。本当に改造の効果として想定されている性能が出ているのかどうかは怪しい(笑)。ただ、まぁ、ノーマルの時はずいぶんサーというヒスノイズが聞こえていた気がするけれど、改造後はそれほど気にならなくなったから、とりあえずは成功したということか…。
今のところ、ハムバッカーピックアップ使用時に、100、200、400、800Hzの中低音域を探りながら微妙にレベルを下げ(1メモリ未満程度)、1.6kと3.2kを逆に気持ちだけ探りつつで上げてやることで、ハムバッカー特有のモコモコする部分をわずかに削ってヌケを良くするのが効果的に感じる。いわゆるビンテージPAF系のような出力が低くて高音のヌケが良い雰囲気を、わざわざピックアップ交換することなく簡単に手に入れられるというと判りやすいだろうか。ただし、この手法では、ワウやファズのようなギターから直のハイインピーダンス信号状態で接続しなければならないエフェクターには使えないのが難点。この他にも微妙な音質調整が可能なので今後色々と実験してみようと思う。
Amazon affiliate | BOSS Equalizer GE-7 BOSS 100Hzから6.4kHz間をブースト・カットできる7バンド・イコライザー。積極的な音づくりに、ノイズ・カットやハウリング対策にも効果です。しかもレベル・コントロールは音質を最優先の独立アンプ方式。歪みのあとに接続すればトータルの音質補正に、歪みの前に接続すれば周波数帯別に歪み具合の調整が可能。(製品紹介文より) |
February 02, 2020
ストラトキャスターのサドルを交換したらやはり音が変わったという話
エレキギターというのは弦楽器なので弦周りをいじると音が変わる。ただし、そういうパーツの交換の効果がどうなるかは事前に予測するのが難しく、どんな感じに変わるのかは実際にやってみないと判らない。
弦を支えるパーツのサドル交換で音質が変化するという現象については、デジマート地下実験室というWebサイトの「ストラトキャスターのサドルを交換するとギターの音はどう変わるのか?」という記事が参考になるけれど、これも最終的には個人ごとの好みで良し悪しの判断は違うから、やっぱり実際には出たとこ勝負でやるしかないので難しい。誰もが一聴して判るほどに著しく変わるのか、ギターの持ち主が細心の注意をして聴き比べてようやく判るほどの変化でしかないのか、そのあたりも場合によって結構違うように思う。
で、今回、音質の変化よりも弾き心地の改善が主目的でサドルを交換した。あまり音質が良くなることは期待してなかった、というよりも悪くなりそうだなというなぜか悲観的な覚悟でやってみたら、期待通りの弾き心地の改善を実現すると同時に、なんと音質も自分が好ましいと感じる方向に変わったのでとてもラッキーだった。
何をやったのかというと、これまで使っていたものよりコンマ数ミリ幅が狭いサドルに交換した(従来品は10.8ミリ、新しいのは10.5ミリ)。これによって弦の位置をコンマ数ミリ分だけずらせることができる。この結果ネックの端から弦がずれ落ちる現象を解消できた。たったコンマ数ミリの差なのだけど、こういうのに人間はとても敏感で体感上大きな差が生まれる。
しかも、今回はなぜか弦の鳴り方もこれまでよりも芯のあるスッキリかつ太い音に変化し、サスティーンまで伸びた。このところあまり人生ついてない感じだったけれど、こういうところで自分は折角の人生のツキを消費してるらしい(笑)。
中古パーツをかなり安価に見つけることができたので失敗しても良いやと思い切ることができたけれど、新品で探すと安めのものでも4000〜5000円ぐらいから、上を見れば軽く1万円を越える(趣味の世界は恐ろしくて、こんな小さなものでもピンキリでビンテージパーツとかになるととんでもない値段をつけてるものがいくらでもある)ので、そういう条件だったら断念していたと思う。しかも色々調べたら現行流通品で10.5ミリ規格に該当するものはかなり限られていて入手が困難らしい。
最初はヤスリを買ってきて、付いていたサドルを一つ一つ削るつもりだったけれど、ヤスリが思ったよりも高くてちょっと躊躇したのが良かったみたいで、人生塞翁が馬を地で行くような感じの結果だった(笑)。
August 31, 2019
ヘッドホン「SONY MDR-M1ST」を使ってみての感想
長年家で使ってきたヘッドホンが経年変化でかなり痛んでしまった(プラ部分が劣化してベトベトになったり、合成皮革部分がボロボロになったり…)ので、そろそろなんとかしないとなと感じてからずいぶん長く時間が経ってしまった。ちょうどそんなタイミングで、ソニーから新しいスタジオ用モニターヘッドホンが出るという話を耳にした。しかし、世間で人気がある従来モデルの「MDR-CD900ST」が個人的に全く好きになれないので、あれの後継機種だとするときっと自分はダメだなと決めつけていた。
MDR-CD900STが好きじゃない理由は、昔スタジオ仕事でヘッドホンでモニター作業しなければならない時に出てくるのが大抵これで、ミュージシャンではない自分にとってそう状況というのは大抵トラブルが発生している場合か、もしくはコーラス要員やハンドクラップ要員が足りなくて駆り出されるときでしかなくて正直良い思い出がない。しかもMDR-CD900STの音質特性が全体にガチガチでとくに高音成分のヌケが良い作りになっていて、やや過敏気味の自分の耳には拷問に近いものがあって正直使いたくないヘッドホンの筆頭だったりした。もっともMDR-CD900STが好まれるのはそういう音だからというのはあるのだけど、あれを普段のリスニング用に好んで使っている人の耳はヤバイんじゃないかと密かに思ったりはしている……。
で、そんなこともあって、ソニーの新作モデル「MDR-M1ST」もスタジオ用だということでそっち系なんだろうと予想していたら、ソニー曰く「約4年半もの歳月をかけて磨き上げられた音質は、中域の骨太感と、全体の音が俯瞰できる音像を両立。音楽で重要な中域へのフォーカスをしつつ、低音域や高音域もしっかり聴こえます」とあるし、当面は旧モデルとなるMDR-CD900STも並行して継続販売するということで、どうやらMDR-M1STとMDR-CD900STは用途や特性が微妙に違うらしいことが判った。
ということで俄然気になって、MDR-M1STの発売日の翌日にヨドバシカメラへ出かけてみたらラッキーなことに店頭に現物があり試聴できたので、いつものようにiPhoneの音源を色々聴いてみた。
店頭試聴でまず問題となったのは、MDR-M1STのプラグは標準プラグ仕様ということでこのままではiPhone(SE)のミニプラグジャックに刺さらない。店にたずねたところ変換プラグを貸してくれたのでこれで対応することに。気のせいレベルかもしれないけれど、変換プラグを介しての接続となる分いくらかの音質劣化は想定しなければならないのかもなと思いつつ、いつもこの手の試聴で利用する音源をいくつか聴いてまず感じたのは、ヨドバシの店内がうるさいということ(笑)。いくらMDR-M1STが密閉式ヘッドホンといえど、ちょっとシビアな試聴には厳しい。なんというか普段聴き慣れた音源がいまいち良い感じで聞こえてこないのが気になった。しかしまさかBGMガンガンの店内放送を止めてもらう訳にもいかないので、仕方がないのでMDR-M1STと同じような価格帯の他のヘッドホンをいくつかピックアップして、とても試聴環境として最適ではない条件下でそれぞれがどう違って聞こえるのかを比べてみた。
面白いことに、他のヘッドホンでは音源の特定の帯域が強調されるような印象のある中で、MDR-M1STは比較的上から下の帯域まで均等に鳴っている感じがした。つまり、MDR-M1ST以外のヘッドホンは特定の音域がきれいに聞こえるような演出が施されている一方で、MDR-M1STはフラットでボーカルが聞こえやすいとか、ベースがブリブリ派手に鳴るといったことが無かった。つまり、いわゆるスタジオモニターライクな鳴り方なんだろうと解釈できる。ちょっと不安ではあったけれどおそらくMDR-M1STの音は自分の嗜好に合ってそうだということで思い切って購入を決意。
家に持ち帰ってからは、MacBookにオーディオインタフェースを接続してハイレゾ音源やCDをリップした非圧縮音源で色々試聴してみたけれど、耳に痛くないけれどヌケが良く、いわゆる解像度の明瞭なモニター的再生を楽しむことができた。スタジオ内での楽器演奏時のモニター用途としては従来のMDR-CD900STの方を好む人が少なくないだろうけれど、一旦MDR-M1STに慣れてしまえばMDR-CD900STに戻りたいと思う人はあまり多くないかもと思ったり。
MDR-M1STが一般的なリスニング用途に適しているかといえば、おそらくはもう少し緩い音場感でボーカルなどにフォーカスが集まった演出をしているヘッドホンの方が気持ち良いだろうと想像するけれど、ヘッドホンミックスみたいな作業用途にはかなり使いやすい製品だと思う。全体の音場感を把握するのが楽で、低音成分も判りやすいし、それなりに長時間モニターしていても嫌にならないのは素晴らしいと感じた。
今のところ個人的に一つだけ不満があるとすると、どうやら自分の耳は普通の人よりもやや大きいようで、イヤパッドがあと少しだけ厚めなら快適さがさらに向上しそうかなと想像するのだけど、イヤパッドの微妙な作りの違いが音質に大きく影響するのは避けられないので、とりあえずはこのままで使い続けてみるのが良いのだろう。
MDR-CD900STが好きじゃない理由は、昔スタジオ仕事でヘッドホンでモニター作業しなければならない時に出てくるのが大抵これで、ミュージシャンではない自分にとってそう状況というのは大抵トラブルが発生している場合か、もしくはコーラス要員やハンドクラップ要員が足りなくて駆り出されるときでしかなくて正直良い思い出がない。しかもMDR-CD900STの音質特性が全体にガチガチでとくに高音成分のヌケが良い作りになっていて、やや過敏気味の自分の耳には拷問に近いものがあって正直使いたくないヘッドホンの筆頭だったりした。もっともMDR-CD900STが好まれるのはそういう音だからというのはあるのだけど、あれを普段のリスニング用に好んで使っている人の耳はヤバイんじゃないかと密かに思ったりはしている……。
で、そんなこともあって、ソニーの新作モデル「MDR-M1ST」もスタジオ用だということでそっち系なんだろうと予想していたら、ソニー曰く「約4年半もの歳月をかけて磨き上げられた音質は、中域の骨太感と、全体の音が俯瞰できる音像を両立。音楽で重要な中域へのフォーカスをしつつ、低音域や高音域もしっかり聴こえます」とあるし、当面は旧モデルとなるMDR-CD900STも並行して継続販売するということで、どうやらMDR-M1STとMDR-CD900STは用途や特性が微妙に違うらしいことが判った。
ということで俄然気になって、MDR-M1STの発売日の翌日にヨドバシカメラへ出かけてみたらラッキーなことに店頭に現物があり試聴できたので、いつものようにiPhoneの音源を色々聴いてみた。
店頭試聴でまず問題となったのは、MDR-M1STのプラグは標準プラグ仕様ということでこのままではiPhone(SE)のミニプラグジャックに刺さらない。店にたずねたところ変換プラグを貸してくれたのでこれで対応することに。気のせいレベルかもしれないけれど、変換プラグを介しての接続となる分いくらかの音質劣化は想定しなければならないのかもなと思いつつ、いつもこの手の試聴で利用する音源をいくつか聴いてまず感じたのは、ヨドバシの店内がうるさいということ(笑)。いくらMDR-M1STが密閉式ヘッドホンといえど、ちょっとシビアな試聴には厳しい。なんというか普段聴き慣れた音源がいまいち良い感じで聞こえてこないのが気になった。しかしまさかBGMガンガンの店内放送を止めてもらう訳にもいかないので、仕方がないのでMDR-M1STと同じような価格帯の他のヘッドホンをいくつかピックアップして、とても試聴環境として最適ではない条件下でそれぞれがどう違って聞こえるのかを比べてみた。
面白いことに、他のヘッドホンでは音源の特定の帯域が強調されるような印象のある中で、MDR-M1STは比較的上から下の帯域まで均等に鳴っている感じがした。つまり、MDR-M1ST以外のヘッドホンは特定の音域がきれいに聞こえるような演出が施されている一方で、MDR-M1STはフラットでボーカルが聞こえやすいとか、ベースがブリブリ派手に鳴るといったことが無かった。つまり、いわゆるスタジオモニターライクな鳴り方なんだろうと解釈できる。ちょっと不安ではあったけれどおそらくMDR-M1STの音は自分の嗜好に合ってそうだということで思い切って購入を決意。
家に持ち帰ってからは、MacBookにオーディオインタフェースを接続してハイレゾ音源やCDをリップした非圧縮音源で色々試聴してみたけれど、耳に痛くないけれどヌケが良く、いわゆる解像度の明瞭なモニター的再生を楽しむことができた。スタジオ内での楽器演奏時のモニター用途としては従来のMDR-CD900STの方を好む人が少なくないだろうけれど、一旦MDR-M1STに慣れてしまえばMDR-CD900STに戻りたいと思う人はあまり多くないかもと思ったり。
MDR-M1STが一般的なリスニング用途に適しているかといえば、おそらくはもう少し緩い音場感でボーカルなどにフォーカスが集まった演出をしているヘッドホンの方が気持ち良いだろうと想像するけれど、ヘッドホンミックスみたいな作業用途にはかなり使いやすい製品だと思う。全体の音場感を把握するのが楽で、低音成分も判りやすいし、それなりに長時間モニターしていても嫌にならないのは素晴らしいと感じた。
今のところ個人的に一つだけ不満があるとすると、どうやら自分の耳は普通の人よりもやや大きいようで、イヤパッドがあと少しだけ厚めなら快適さがさらに向上しそうかなと想像するのだけど、イヤパッドの微妙な作りの違いが音質に大きく影響するのは避けられないので、とりあえずはこのままで使い続けてみるのが良いのだろう。
ソニー・ミュージックソリューションズ ハイレゾ対応スタジオ用モニターヘッドホンSONY MDR-M1ST ソニー・ミュージックソリューションズ ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発したスタジオモニターヘッドホン。プロフェッショナル向け音響製品を生産しているソニー・太陽株式会社にて製造。プロ用製品で培われた品質管理のもと、熟練作業者により手作業で一つ一つ丁寧に造られ、厳しい検査を経て出荷されます。(製品紹介文より) |
August 11, 2019
トランスペアレントな歪みペダルは自分に必要なかった話
エレキギターを弾く者ならいつかははまる沼の一つが歪み系のエフェクター。とくに「トランスペアレントな歪みペダル」という厄介な代物があって、これは一体何なんだろうかと考える人は多いんじゃないだろうか。
つまらないオチとしては単なる楽器メーカー業界の作りだしたマーケティング用語というのもあって、これはアメリカの名だたるエフェクタービルダー達も認めるところがあって、なおかつそれでも「トランスペアレントな歪みペダル」を求めるギタリストは今も少なくないみたいな状況でもあるみたいな面倒くさい状況は変わらない。
自分も何かあるんじゃないかとずっと気にしているのだけれど、先日、「トランスペアレントな歪みペダル」の代名詞とも言える某オーバードライブペダルが中古で店頭にあるのを見つけ試奏する機会があった。で、確かに世間で言われるようにこのペダルはとてもトランスペアレントな歪みと言える音をしていた。ちょっとビックリするぐらいにギターとアンプのクリーンな音からそのまま歪んでいくような趣を再現してくれていて、その正確なトーンの感じはちょっと感動ものだった。
ただし、その正確無比でトランスペアレントな歪みが自分の求めていたものかといえば、全然違った。
試奏した条件は、どちらかというと初心者向けの低価格モデルのストラト、アンプはJC-120というとてもオーソドックスな組み合わせ。で、これでクリーンに鳴らしてもつまらないわけだけど、そこにトランスペアレントな歪みペダルを足しても、味けの無い歪んだ音が綺麗に出るだけ。要するに、トランスペアレントな歪みペダルは、ギターとアンプの素の音のままで少しずつ歪んだ状態を上手に再現してくれるので、特にアンプの音が面白くなければ、そのまま面白くない歪んだ音になるということ。これでアンプの素の音が味わいのあるものであれば、そのまま味わいのある歪んだ音になるのだろうことも想像できた。
良いアンプがあればトランスペアレントな歪みペダルはかなり使いでのある道具になりそうだけど、自分は普段JCみたいなアンプを使う機会が多いので、そこでちょっとした演出をして味わい深い歪みを作りだしてくれるエフェクターが欲しい訳だから、そういう用途にトランスペアレントな歪みペダルは全然向いていないということを学習できた。
歪み系のエフェクターはかなり個人の嗜好に左右されるし、どんなに他人が評価していても自分には全然面白くないことがよくあるので、とても面倒くさい。まさに沼だなと改めて痛感したという話。
自分が愛用してる歪み系ペダルの基本はXoticのAC Boosterなんだけれど、これも他の人からすると全然面白くない代物である可能性はかなり高そうだし、そういう意味では他人から歪み系ペダルのことで何かたずねられても答えようがないなと思ったり……。
つまらないオチとしては単なる楽器メーカー業界の作りだしたマーケティング用語というのもあって、これはアメリカの名だたるエフェクタービルダー達も認めるところがあって、なおかつそれでも「トランスペアレントな歪みペダル」を求めるギタリストは今も少なくないみたいな状況でもあるみたいな面倒くさい状況は変わらない。
自分も何かあるんじゃないかとずっと気にしているのだけれど、先日、「トランスペアレントな歪みペダル」の代名詞とも言える某オーバードライブペダルが中古で店頭にあるのを見つけ試奏する機会があった。で、確かに世間で言われるようにこのペダルはとてもトランスペアレントな歪みと言える音をしていた。ちょっとビックリするぐらいにギターとアンプのクリーンな音からそのまま歪んでいくような趣を再現してくれていて、その正確なトーンの感じはちょっと感動ものだった。
ただし、その正確無比でトランスペアレントな歪みが自分の求めていたものかといえば、全然違った。
試奏した条件は、どちらかというと初心者向けの低価格モデルのストラト、アンプはJC-120というとてもオーソドックスな組み合わせ。で、これでクリーンに鳴らしてもつまらないわけだけど、そこにトランスペアレントな歪みペダルを足しても、味けの無い歪んだ音が綺麗に出るだけ。要するに、トランスペアレントな歪みペダルは、ギターとアンプの素の音のままで少しずつ歪んだ状態を上手に再現してくれるので、特にアンプの音が面白くなければ、そのまま面白くない歪んだ音になるということ。これでアンプの素の音が味わいのあるものであれば、そのまま味わいのある歪んだ音になるのだろうことも想像できた。
良いアンプがあればトランスペアレントな歪みペダルはかなり使いでのある道具になりそうだけど、自分は普段JCみたいなアンプを使う機会が多いので、そこでちょっとした演出をして味わい深い歪みを作りだしてくれるエフェクターが欲しい訳だから、そういう用途にトランスペアレントな歪みペダルは全然向いていないということを学習できた。
歪み系のエフェクターはかなり個人の嗜好に左右されるし、どんなに他人が評価していても自分には全然面白くないことがよくあるので、とても面倒くさい。まさに沼だなと改めて痛感したという話。
自分が愛用してる歪み系ペダルの基本はXoticのAC Boosterなんだけれど、これも他の人からすると全然面白くない代物である可能性はかなり高そうだし、そういう意味では他人から歪み系ペダルのことで何かたずねられても答えようがないなと思ったり……。
Xotic AC Booster 【国内正規品】 Xotic 「BOOSTERと言うカテゴリーを見つめ直しどんなAMP,GUITARの特性もスポイルする事無くBOOSTする」を理念に開発したのがAC BOOSTERです。楽器のキャラクター・においを変える事なく素直にGAIN UPします。(製品紹介文より) |
June 08, 2019
グレッグ・プラト著・奥田祐士訳「ヨット・ロック」を読んだ
しばらく前にツイッターで「ヨット・ロック」という音楽ジャンル(?)が話題になっていたので、その話題のきっかけの一つになった本を読んでみた。
どうやらヨット・ロックというのは、1980年前後に流行った米国産ポップミュージックの一部がそうしたジャンルに当てはまるらしい。当時の自分が感情的に一番忌み嫌った類の音楽でもあるし、要するにテレビ番組「ベストヒットUSA」(2003年から再開されたやつじゃなくて80年代に放送されていたほう)で取り上げられていた類の音楽。
今となってはなぜあれほど嫌っていたのかよく判らないし実に不毛な偏見でしかなかったけれど、まぁ当時の自分の価値観とは相容れない音楽だったということ。それにしても、どうやらヨット・ロックの最高峰の一つであるらしいイーグルスとか今はすごく好きだし、人の好き嫌いなんて全然当てにならないものだと思う(笑)。
この本は、当時の音楽シーンで活躍した様々なミュージシャンの回想などを中心に、ヨット・ロックとは何なのかということについて色々な側面から掘り下げていて、80年代の米国産ポップミュージック好きならかなり楽しめる内容になっている。で、個人的に一番受けたのはケニー・ロギンスの次の発言。
いやはや、スーパースター様は羨ましいかぎり。80年代の音楽業界は相当にイケイケな状況だったようで、当然のようにクスリもセックスもやり放題だったという話も色々出てくる。ただし、本書の中に出てくる話の多くはどちらかというとミュージシャンシップについて真面目に語るような感じで、皆本当に音楽が好きなんだなという雰囲気が溢れているのが印象的でもあった。
Amazon affiliate | ヨット・ロック AOR、西海岸サウンド黄金時代を支えたミュージシャンたち 著:グレッグ・プラト、訳:奥田祐士 DU BOOKS (2019/3/22) ロック史が語らない、あの時代。メロウで、スムースで、ソフトな音楽をミレニアム世代が再評価! それが、ヨット・ロック! 70年代、80年代の名曲をつくったミュージシャン総勢53名が語った永久保存版。(製品紹介文より) |
どうやらヨット・ロックというのは、1980年前後に流行った米国産ポップミュージックの一部がそうしたジャンルに当てはまるらしい。当時の自分が感情的に一番忌み嫌った類の音楽でもあるし、要するにテレビ番組「ベストヒットUSA」(2003年から再開されたやつじゃなくて80年代に放送されていたほう)で取り上げられていた類の音楽。
今となってはなぜあれほど嫌っていたのかよく判らないし実に不毛な偏見でしかなかったけれど、まぁ当時の自分の価値観とは相容れない音楽だったということ。それにしても、どうやらヨット・ロックの最高峰の一つであるらしいイーグルスとか今はすごく好きだし、人の好き嫌いなんて全然当てにならないものだと思う(笑)。
この本は、当時の音楽シーンで活躍した様々なミュージシャンの回想などを中心に、ヨット・ロックとは何なのかということについて色々な側面から掘り下げていて、80年代の米国産ポップミュージック好きならかなり楽しめる内容になっている。で、個人的に一番受けたのはケニー・ロギンスの次の発言。
いつもいうんだけど、ぼくは世界一の仕事をしてると思う——なにしろ職場に出かけると、最高にかわいい娘たちが立ち上がって踊り出すんだ! ステージに立つと毎回のように、最後にはいちばんかわいい娘たちがステージ前に来て踊っている。そんな仕事がほかにあるかい? 大好きだ。
いやはや、スーパースター様は羨ましいかぎり。80年代の音楽業界は相当にイケイケな状況だったようで、当然のようにクスリもセックスもやり放題だったという話も色々出てくる。ただし、本書の中に出てくる話の多くはどちらかというとミュージシャンシップについて真面目に語るような感じで、皆本当に音楽が好きなんだなという雰囲気が溢れているのが印象的でもあった。
April 22, 2019
どうでもいい話:エフェクターは実際に試してから買うのが理想だよねという話
世間的にとても評判が良くて今となっては入手がやや困難と言われる類のエフェクターの復刻版が出て、値段的にはちょっと高いけれど無理すればなんとかなるという感じだったので、思わず試奏もせずに注文して手に入れたエフェクターがあった。
で、実際にギターとアンプの間につないで使ってみると自分の演奏スタイルに全然合わない音のありようで途方に暮れることに。でも、エレキギター界隈では国内外を問わずで名器と言われるものだったので、きっと良いものに違いないと思い込んで無理して使うこと2年あまり。
結局自分とは相性が合わないという結論を出して中古買い取りに出したけれど、もっと早く決断するべきだったなと……。
楽器はエフェクターに限らず実際に自分で弾いて耳で聴いて試してみないとダメだなと改めて痛感。
エフェクターぐらいだと通販とかでポンと買ってしまうことある。数千円程度なら失敗しても諦めはつくとして、さすがに数万円レベルだとかなり厳しい。なかなか試奏できないものもあるけれど、やっぱりこまめに楽器屋に通って色々試しておくしかないのかな。とくに歪み系ペダルは他人が聴いたら違いが全く判らないような微妙な違いでも、演奏する側にとっては我慢できないほどに大きな違いになり得るので要注意だと思う。
まー、お金持ちの人はガンガン買って、ガンガン売るみたいなことしてるけれど、そういうのはちょっと自分は真似できない(笑)。
で、実際にギターとアンプの間につないで使ってみると自分の演奏スタイルに全然合わない音のありようで途方に暮れることに。でも、エレキギター界隈では国内外を問わずで名器と言われるものだったので、きっと良いものに違いないと思い込んで無理して使うこと2年あまり。
結局自分とは相性が合わないという結論を出して中古買い取りに出したけれど、もっと早く決断するべきだったなと……。
楽器はエフェクターに限らず実際に自分で弾いて耳で聴いて試してみないとダメだなと改めて痛感。
エフェクターぐらいだと通販とかでポンと買ってしまうことある。数千円程度なら失敗しても諦めはつくとして、さすがに数万円レベルだとかなり厳しい。なかなか試奏できないものもあるけれど、やっぱりこまめに楽器屋に通って色々試しておくしかないのかな。とくに歪み系ペダルは他人が聴いたら違いが全く判らないような微妙な違いでも、演奏する側にとっては我慢できないほどに大きな違いになり得るので要注意だと思う。
まー、お金持ちの人はガンガン買って、ガンガン売るみたいなことしてるけれど、そういうのはちょっと自分は真似できない(笑)。
November 04, 2018
ここ数年で一番気に入っているピック:Dunlop Primetone Small Tri 1.3mm(ダンロップ プライムトーン)
ギター用のピックは自分の好みの中でも流行り廃りがあって、以前はErnie Ballのべっ甲柄のセルロイド製ピックのティアドロップ型でHeavyを長年ずっと愛用していた。
で、たまに他のピックに浮気するみたいな感じだったのだけど、ある時、Hercoのナイロン製を試してみたら、これが絶妙な腰の無さ(笑)というか微妙なヘナヘナ感がその頃の自分のプレイスタイルにピッタリ合うような気がして、Flex 75をしばらく愛用すことに。Hercoはジミー・ペイジが愛用していたことで(今もなのか?)有名だけど、同じHercoのFlex 50はニール・ヤング御用達。生ギターもエレキもこれだそうで、理由はこれより固いピックだとすぐに弦を切ってしまうからだとか。あのニール・ヤングのギターの独特のトーンはこのピックに負うところがそれなりに大きいのかもしれない。
で、しばらくHercoを使っていたのだけど、このピックのすごいところは余程に力いっぱいガリガリとした弾き方でもしない限り減らないということ。1枚買ったら半永久的に使えそうなぐらいに全然減らない。Ernie Ballの時は下手すると1セッションでダメになるぐらいだったのだけど。Hercoはこんなに減らないと売る方も回転率が低くて商売にならないのじゃないかと変な心配をしてしまうぐらい。
ただ、Hercoの弾き味は簡単すぎて飽きがきてしまって他のピックをまた試したくなった。そんなときにアメリカの高級ピックの話題を耳にした。ジュリアン・ラージも愛用しているBlueChipというやつ。本国でも1枚35ドルからというピックとしては破格に高い値段。日本には正規輸入されていなくて、店によっては扱いもあるけれど5000円を越えるような価格で取引されていてとても手を出す気にならない。本国から個人輸入も考えていたところ、見てくれだけはBlueChipによく似たDunlop Primetoneという製品を都内某楽器店で発見。値段は消費税入れて1枚500円弱ぐらいだったと思う。普通のピックとして考えるとかなり高額だけれどBlueChipを買うことを考えればタダ同然という明らかに金銭感覚が壊れた理屈でとりあえずSmall Tri 1.3mmを1枚買ってみた。普通の三角形のおにぎり型ピックよりも二回りほど小さいサイズで、ちょうど標準的なティアドロップ型のピックのサイズ感のまま三角形にした感じというと判りやいだろうか。
Dunlop Primetoneは茶色で不透明なタイプと半透明のタイプの2種類があるけれど、いじってみた感じは硬度がそれぞれ違うような印象を持った。実際には見かけだけの違いかもしれないけれど、自分は見かけがBlueChipにそっくりな不透明タイプを選択。ピックを木の机の上に落とすと他のセルロイドやナイロンのピックよりも明らかに固いカリ〜ンという音がする。弦を弾くときも当然当たりは固いのだけど、ピックを握る力加減を変えやすいので、コードストロークなども簡単に強弱をつけられる。早い16の刻みなどをやってもヌケがすごく良い。このピックを使うだけで自分の技量が2割増しぐらい上手になったような気になる。
しかも使っていて全然減らない。まー、実際には減っているのだけど、一般的なセルロイド製ピックに比べるとほぼ減ってない感じで長持ち。とても気に入ったので、同じサイズで1.4mmと1.5mmも購入して試してみたけれど自分には1.3mmが向いているようだ。
で、あとからネット通販などを探すと国内でも1枚あたり100〜200円ぐらいの相場で入手できるところもあるようだ。本国だと3枚セットで5ドル前後で販売されているようなのでさすがに1枚の値段が税込み500円前後という店頭価格はボッタクリな感じもあるけれど、現物を実際に手に取って確かめられたということで1枚目は納得するとして、その後に買い足したのはネット通販を利用すべきだったかなとちょっと反省した。
たまたま先日、某通販で3枚パックがかなり安く出ていたので、予備用として購入。自分の弾き方だと全然減らないので、これで4〜5年、いや大事に使えばもしかしたら10年ぐらいはもちそうな気がする(笑)。
で、たまに他のピックに浮気するみたいな感じだったのだけど、ある時、Hercoのナイロン製を試してみたら、これが絶妙な腰の無さ(笑)というか微妙なヘナヘナ感がその頃の自分のプレイスタイルにピッタリ合うような気がして、Flex 75をしばらく愛用すことに。Hercoはジミー・ペイジが愛用していたことで(今もなのか?)有名だけど、同じHercoのFlex 50はニール・ヤング御用達。生ギターもエレキもこれだそうで、理由はこれより固いピックだとすぐに弦を切ってしまうからだとか。あのニール・ヤングのギターの独特のトーンはこのピックに負うところがそれなりに大きいのかもしれない。
で、しばらくHercoを使っていたのだけど、このピックのすごいところは余程に力いっぱいガリガリとした弾き方でもしない限り減らないということ。1枚買ったら半永久的に使えそうなぐらいに全然減らない。Ernie Ballの時は下手すると1セッションでダメになるぐらいだったのだけど。Hercoはこんなに減らないと売る方も回転率が低くて商売にならないのじゃないかと変な心配をしてしまうぐらい。
ただ、Hercoの弾き味は簡単すぎて飽きがきてしまって他のピックをまた試したくなった。そんなときにアメリカの高級ピックの話題を耳にした。ジュリアン・ラージも愛用しているBlueChipというやつ。本国でも1枚35ドルからというピックとしては破格に高い値段。日本には正規輸入されていなくて、店によっては扱いもあるけれど5000円を越えるような価格で取引されていてとても手を出す気にならない。本国から個人輸入も考えていたところ、見てくれだけはBlueChipによく似たDunlop Primetoneという製品を都内某楽器店で発見。値段は消費税入れて1枚500円弱ぐらいだったと思う。普通のピックとして考えるとかなり高額だけれどBlueChipを買うことを考えればタダ同然という明らかに金銭感覚が壊れた理屈でとりあえずSmall Tri 1.3mmを1枚買ってみた。普通の三角形のおにぎり型ピックよりも二回りほど小さいサイズで、ちょうど標準的なティアドロップ型のピックのサイズ感のまま三角形にした感じというと判りやいだろうか。
Dunlop Primetoneは茶色で不透明なタイプと半透明のタイプの2種類があるけれど、いじってみた感じは硬度がそれぞれ違うような印象を持った。実際には見かけだけの違いかもしれないけれど、自分は見かけがBlueChipにそっくりな不透明タイプを選択。ピックを木の机の上に落とすと他のセルロイドやナイロンのピックよりも明らかに固いカリ〜ンという音がする。弦を弾くときも当然当たりは固いのだけど、ピックを握る力加減を変えやすいので、コードストロークなども簡単に強弱をつけられる。早い16の刻みなどをやってもヌケがすごく良い。このピックを使うだけで自分の技量が2割増しぐらい上手になったような気になる。
しかも使っていて全然減らない。まー、実際には減っているのだけど、一般的なセルロイド製ピックに比べるとほぼ減ってない感じで長持ち。とても気に入ったので、同じサイズで1.4mmと1.5mmも購入して試してみたけれど自分には1.3mmが向いているようだ。
で、あとからネット通販などを探すと国内でも1枚あたり100〜200円ぐらいの相場で入手できるところもあるようだ。本国だと3枚セットで5ドル前後で販売されているようなのでさすがに1枚の値段が税込み500円前後という店頭価格はボッタクリな感じもあるけれど、現物を実際に手に取って確かめられたということで1枚目は納得するとして、その後に買い足したのはネット通販を利用すべきだったかなとちょっと反省した。
たまたま先日、某通販で3枚パックがかなり安く出ていたので、予備用として購入。自分の弾き方だと全然減らないので、これで4〜5年、いや大事に使えばもしかしたら10年ぐらいはもちそうな気がする(笑)。
October 17, 2018
ストラトキャスターのネックポケットに入っているシムの話
うちにあるストラトは88年にFender USAで製造されたという刻印がついていて、ネックポケットには茶色い紙とごく薄い透明なプラ製(?)のシムがはさまっている。たまにトラスロッドの調整でネックを外すたびに対面していたけれど、かなり適当な感じの造作でこれがまぁいわゆる米国製のノリなんだろうと理解することにしていた。
ただ最近になってPRSのジョン・メイヤー・シグネチャーモデルのSilver Skyでトレモロブリッジの設定を説明する動画を見ていたら、フローティングをするかどうかでネック側のシムの有無が変わることを知った(シムの説明は3分5秒ぐらいから)。
シムを使うのはブリッジをフローティングするとき用で、フローティングしないのであればシムは必要ないということになるらしい。自分はトレモロブロック自体を割り箸(本来はちゃんとした木のブロックが望ましいはずだけど…)を使ってブロックしてしまっているので全くフローティングしていない。つまりPRSの設定にならえばネックポケットのシムは不要ということになる。厳密にはPRSのSilver SkyはFenderのストラトとは異なるけれど、まぁSilver Sky自体がジョン・メイヤーの希望でほぼストラトと同じに作ってあるわけだから、おそらくストラトでも同じような案配になりそう。
ということで、うちのストラトのネックポケットからシムを外して試してみた。結果としては、巷でよく言われるところのシムの有無で音質が変わるという部分はあまりよく判らなかったけれど、弾き心地がずいぶんと変わってしまった。わずか1ミリもない厚さのないシムの有無によってこれほど演奏性が変わるとは想像もしなかったけれど、これがとんでもなく弾きにくい。普段の慣れた手癖で適当に流し弾きをしてみてもミスタッチが異様に多くなる。最初は体調が悪いのかそれとも気分の問題かと思い、1日置いてから弾き直してみてもしっくりこない。
これは明らかにシムの有無の違いでネックの感じが変わってしまったんだなということで、外したシムのうち茶色い紙のほうだけを入れなおしてみると、今度はこれだともうシムが厚すぎるような気がする。いささか神経質すぎるとは思いながらも紙を薄く剥いで半分ぐらいの厚さにして試してみたら、これが大正解。
人間の感覚の鋭さというか、おそらくは単なる勘違いに近い自分の神経質さに呆れつつも、ネックポケットのシムの厚さはギターの弾き心地に相当影響するアイテムであることを思い知らされた。まー、おそらくは多くの人の場合シムの有無は音質変化を気にするのだろうけれど、そちらはギターアンプのセッティングで微調整できる範囲なんじゃないかと思うし、おそらくはストラトの場合トレモロユニットのスプリングの裏蓋の有無の方が影響大きいはず。自分は裏蓋外す派だけど、その理由は完全に音質の問題で、弦のはりやすさはオマケ程度のメリットだと思っている。裏蓋を外すと音のヌケがよくなる。一方で蓋をしたままだとちょっとセミアコぽいこもったニュアンスになるような気がする。まー、これも個人差の大きい気分の問題かもだけど(笑)。
ただ最近になってPRSのジョン・メイヤー・シグネチャーモデルのSilver Skyでトレモロブリッジの設定を説明する動画を見ていたら、フローティングをするかどうかでネック側のシムの有無が変わることを知った(シムの説明は3分5秒ぐらいから)。
シムを使うのはブリッジをフローティングするとき用で、フローティングしないのであればシムは必要ないということになるらしい。自分はトレモロブロック自体を割り箸(本来はちゃんとした木のブロックが望ましいはずだけど…)を使ってブロックしてしまっているので全くフローティングしていない。つまりPRSの設定にならえばネックポケットのシムは不要ということになる。厳密にはPRSのSilver SkyはFenderのストラトとは異なるけれど、まぁSilver Sky自体がジョン・メイヤーの希望でほぼストラトと同じに作ってあるわけだから、おそらくストラトでも同じような案配になりそう。
ということで、うちのストラトのネックポケットからシムを外して試してみた。結果としては、巷でよく言われるところのシムの有無で音質が変わるという部分はあまりよく判らなかったけれど、弾き心地がずいぶんと変わってしまった。わずか1ミリもない厚さのないシムの有無によってこれほど演奏性が変わるとは想像もしなかったけれど、これがとんでもなく弾きにくい。普段の慣れた手癖で適当に流し弾きをしてみてもミスタッチが異様に多くなる。最初は体調が悪いのかそれとも気分の問題かと思い、1日置いてから弾き直してみてもしっくりこない。
これは明らかにシムの有無の違いでネックの感じが変わってしまったんだなということで、外したシムのうち茶色い紙のほうだけを入れなおしてみると、今度はこれだともうシムが厚すぎるような気がする。いささか神経質すぎるとは思いながらも紙を薄く剥いで半分ぐらいの厚さにして試してみたら、これが大正解。
人間の感覚の鋭さというか、おそらくは単なる勘違いに近い自分の神経質さに呆れつつも、ネックポケットのシムの厚さはギターの弾き心地に相当影響するアイテムであることを思い知らされた。まー、おそらくは多くの人の場合シムの有無は音質変化を気にするのだろうけれど、そちらはギターアンプのセッティングで微調整できる範囲なんじゃないかと思うし、おそらくはストラトの場合トレモロユニットのスプリングの裏蓋の有無の方が影響大きいはず。自分は裏蓋外す派だけど、その理由は完全に音質の問題で、弦のはりやすさはオマケ程度のメリットだと思っている。裏蓋を外すと音のヌケがよくなる。一方で蓋をしたままだとちょっとセミアコぽいこもったニュアンスになるような気がする。まー、これも個人差の大きい気分の問題かもだけど(笑)。
October 07, 2018
栗原裕一郎 編著「村上春樹の100曲」を読んだ
読んだと書きつつ、実際にはたまたま立ち寄った知人の家にこの本があったので巻末の「あとがき座談会 『1Q84』以降の村上春樹と音楽」に目を通しつつ、あとはざっと斜め読みした感じ。すいません…。
なにはともあれ、あとがき座談会の結論が最高だったので書き出しておく。
座談会の流れとしては、村上春樹も年齢を重ねるにしたがって音楽の扱いかたが雑でつまらなくなったみたいな分析になっていて、これって村上春樹に限らず人々の多くが歳をとるにつれて音楽に対して保守的かつ新しいものへの許容や理解力を失っていくという一般論を期せずして証明してしまっているような感じで、自分もその加齢現象から逃れられないのだろうなというちょっとした絶望感を覚えた。
ちなみに、とりあげられている100曲のうちロックとポップスはほぼ全曲を頭の中でそのまま鳴らすことができた。たぶん自分と春樹は音楽的にはほぼ同世代なんだろう実際の歳はちょっと違うけれど……。要するに自分は精神的にかなり老人なのだ。
さて、この「村上春樹の100曲」という本の面白いところは本文の印刷がいわゆる「ブルーブラック」と呼ばれるような濃いめの青を使ってるところで、これはもしかしたら著者もしくは編集者のこだわりなのかもしれない。もちろん全然そんなことはないのかもしれないけれど。
なにはともあれ、あとがき座談会の結論が最高だったので書き出しておく。
大谷 こうやってデビュー作から最新作を一気に読んだあとに総合して考えると、やっぱり『風の歌を聴け』が一番、音楽の使い方としてはよくできていたってことですよ。
栗原 『風の歌を聴け』は、今から考えると春樹作品の中では異質ですよね。音楽の使い方に限らず小説の構造も異質。でも散々話して結論はそこですか(笑)。
座談会の流れとしては、村上春樹も年齢を重ねるにしたがって音楽の扱いかたが雑でつまらなくなったみたいな分析になっていて、これって村上春樹に限らず人々の多くが歳をとるにつれて音楽に対して保守的かつ新しいものへの許容や理解力を失っていくという一般論を期せずして証明してしまっているような感じで、自分もその加齢現象から逃れられないのだろうなというちょっとした絶望感を覚えた。
ちなみに、とりあげられている100曲のうちロックとポップスはほぼ全曲を頭の中でそのまま鳴らすことができた。たぶん自分と春樹は音楽的にはほぼ同世代なんだろう実際の歳はちょっと違うけれど……。要するに自分は精神的にかなり老人なのだ。
さて、この「村上春樹の100曲」という本の面白いところは本文の印刷がいわゆる「ブルーブラック」と呼ばれるような濃いめの青を使ってるところで、これはもしかしたら著者もしくは編集者のこだわりなのかもしれない。もちろん全然そんなことはないのかもしれないけれど。