July 10, 2024

ハムバッカーのポールピース調整はフラットが基本らしい

 ギブソン由来のハムバッキングピックアップには、ネジで高さを調整できるアジャスタブル・ポールピースが備わっている。動かせるパーツはいじってみたくなるのが人情ということで、これまで色々と高さを調整してきたけれど、どうもイメージするような感じにセッティングが決まったという印象がない。

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 そうしたら自分にとってはかなり衝撃的な情報がYouTube動画にあった。まずは、ギブソンでハムバッキングピックアップを開発したセス・ラバーは、そもそもあのポールピースを調整可能にするつもりはなかったようだ。調整を可能にするよう求めたのはギブソンのマーケティング担当者達で、要は見た目のギミックでセールスアピールしたかったということらしい。

 厳密にはポールピースを上下させればピックアップの磁界に影響を与えることは間違いないが、微妙な差でしかないという。そのあたりのことはセス・ラバー本人が色々とインタビューで答えているのだけど、すごく長文の英語記事なので自分も全部は理解していない。興味のある人は以下のSeymour Duncanのサイトにあるインタビューを読んでみると色々発見があるはず。



 で、先のYouTube動画の話に戻ると、ポールピースの高さを上げて弦に近づければ弦に対する磁力が強まって音が大きくなると考えがちなのだけど、ハムバッキングピックアップの場合、磁石はピックアップの最下部にあり、ポールピースを持ち上げればその分だけ磁石から遠ざかることになるため逆にポールピース自体が及ぼす磁力は弱くなるということが磁気測定器の値から判る。つまり、音を大きくしようとしてポールピースの高さをあげると、逆に磁力的には弱くなるから音が小さくなる可能性がある。問題の磁気測定シーンはYouTube動画では9分30秒過ぎから。



 弦のアールに合わせてポールピース毎に高さを調整するけれど、それはフェンダーのシングルコイルピックアップのようにポールピース自体が磁石の場合には効果があっても、ギブソンタイプのハムバッキングピックアップではあまり意味がないということになりそう。それよりは全部のポールピースを同じ高さに調整した上で、左右のピックアップ固定ネジを使ってピックアップ全体の高さを調整して音のバランスをとる方が理に適っているようだ。ピックアップ全体の高さは6弦側を少し低くして弦から遠ざけ1弦側を弦に近づけ、そうすることで弦の太さに起因する音の大きさのバランスをとるのが標準的なセッティングになる。

 今まで自分は弦毎にポールピースの高さをかなりバラバラに調整してきたのだけれど、試しに全部を同じ高さに揃えてみたところ、これまでどうも不満だった点が解消しすごくヌケの良い感じに鳴ってくれたので、ああこれまでの調整は無駄だったのだなとしみじみ思ったり。

 当然、各人によって求める音の好みは違うから、このポールピースの高さを全部同じに調整する方法がベストとは言えないけれど、これまでハムバッカーの鳴りがどうもイマイチと感じている人ならば一度試してみる価値はあると思う。
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