March 09, 2022

実験:ハムバッキングピックアップのマグネットを交換してみた

 うちにあるエピフォンのES-335モドキの「Dot」には「Gibson '57 Classic」風味の「Epiphone Alnico Classic」というハムバッキングピックアップが搭載されている。

 元々、Dotを入手したのは試奏してみて音が悪くなかったからなのだけど、弾いているうちにどうも高音成分のエッジが少しきつい鳴り方が気になってきて、できれば出力の弱いヴィンテージ風な味付けのピックアップに換装したい欲求が高まってきた。

 ただ、その手のリプレースメント用ハムバッキングピックアップは価格が高め。ネック側とブリッジ側の2つセットで入手しようとすると安くても4万円超になって財布にやさしくない。しかも最近はコロナ渦の影響で海外製ピックアップの入手が以前より難しく、たとえ入手可能でも価格がやたらに高騰化している。

 で、色々とハムバッカーについて情報収集していたら、ピックアップのマグネットを交換すると、それだけで音色の傾向を変えることができることが判った。マグネットなら割高な楽器用でも2つで2000円前後から入手できる。ピックアップ交換に比べれば破格に安い。

 ということで、まずはマグネットだけを交換することにしてみた。Epiphone Alnico Classicのマグネットはアルニコ5らしいので、より磁力が弱くてヴィンテージぽい音が狙えそうなアルニコ2を入手して交換することに。入手先はサウンドハウス。

MONTREUX Rough Cast Alnico 2 Magnet for HB

 マグネットの交換方法についてはYouTubeを検索すれば丁寧な説明動画がいくらでも見つかる。自分が参考にしたのは以下の動画で、とくにピックアップカバーの外し方が他と違って半田ごての熱ではなく、刃物を使って力技でガツンと外してしまうのがミソ。



 エピフォンのハムバッキングピックアップはハウリング防止用のポッティング(ロウ漬け)が強力でドップリとロウが使われていて、このせいで半田ごての熱でカバーを止めている半田を溶かそうとすると、カバーの中でロウが溶け出してカバーを外すのがかなり困難になってしまう構造になっている。なので、乱暴だけど、半田部分をノミ状の刃物でガツンと破壊してしまう方が簡単かつ問題なくカバーを外すことができる。実はこれは改造作業中にピックアップを一つダメにして発見したことなので、もしエピフォンのピックアップを改造しようとする人は要注意。結局、自分は一つピックアップをダメにしてしまったので、Reverb.comで同じピックアップの中古品を探して個人輸入する羽目になってしまったのはあまり思い出したくない黒歴史…。

 マグネット交換後の音質変化は予想した以上で、アルニコ5の時と比べてアルニコ2の音は、高音のパキパキしたきつさがなくなると同時に低音のドカンという押し出しもなくなり、良く言えば上品な鳴り方になった。悪く言うと、明らかにパンチがなくなったのでゴリゴリのジェント的な奏法には全く向かない。クリーンからちょっとクランチさせるぐらいの音が欲しい人には最適な感じ。全体的には過剰な高音と低音がなくなった分、素直でヌケが良い音という印象。

 マグネット交換はピックアップそのものの交換に比べると破格に安い投資で劇的に音質を変えることができるので、ハムバッカー(もしくはP-90)で現状の音に不満を感じている人なら、改造の手間と失敗のリスクを恐れないならやってみる価値は大いにあると思う。
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