November 03, 2021

実験:ストラトをなんちゃってハードテイル化(トレモロユニットからスプリングを無くしてみた)

 ストラトキャスターというエレキギターはブリッジ全体がトレモロユニットになっていて通常はボディの裏側にスプリングが3〜5本張られている。この特殊な構造が実はストラトの独特な鳴り方に大きな影響を与えているのはストラト好きなら多くの人が知るところ。

 しかし、このトレモロユニットが作り出す独特な音質やしっかり固定されないブリッジ構造そのものを好まないギタリストのためにトレモロ無しのハードテイルモデルも存在していて、有名なところでは昔のロバート・クレイのシグネチャーモデルはそういう仕様だった。また、ジョー・ボナマッサがハードテイルのストラト好きを公言している。



 ただ、日本国内市場ではハードテイルモデルはあまり流通していないし、手頃な価格で入手できるコピーモデルで探すとなると相当難しい。

 そこで、ハードテイルにすると音がどう変わるのか試してみたくて、うちにあるストラトで実験してみた。

 実は元からクラプトンモデルみたいにスプリングは張っているのだけど、トレモロユニット自体が動かないように手頃な木のブロック(実は割り箸…)を挟み込んでいて、その状態から単にスプリングを外すと鳴り方がどう変わるのか試してみた。

 で、なんと、スプリングの有無でやはり音質が微妙に変わる。スプリングを外すとちょっとざらついて耳に痛いような高音成分が減ったと感じる。スプリングを1本だけ戻して弾いてからそれを外して弾き較べてみると、やはり高音成分のニュアンスが違う。個人的な好みからすると、スプリングを全部外した状態の方が、すっきりして真っ直ぐな鳴り方に感じる。逆に言えばスプリングが無くなると、皆がストラトに求める「ぽさ」が消えるということなのかもしれないけれど…。

 注意点としては、スプリングを外してしまうと弦アースの結線が途切れてしまいノイズが出てしまうので、これをなんとかしなければならない。一番簡単な解決方法は、スプリング止めに半田付けされているアース線をブリッジブロックの方へ無理矢理半田付けしてしまうこと。これでスプリングが無くても弦アースを確保できるようになった。さらに不要となったスプリング止めの金具も全部外してしまい、ボディ裏がかなりすっきりした(笑)。

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 ストラトのトレモロユニットは、スプリングを交換するだけで音が変わるし、またスプリング部分を隠すための裏ぶたを外すだけでも音が変わる。当然、スプリングが無くなればまた音が変わる。ストラト(というかフェンダーのエレキギター)は、木ネジだったりネックプレートなんかもそうだけど、色々と音とは直接関係なさそうなパーツでも交換すると音がガラッと変わったりするので、実験素材としてかなり楽しい楽器だと思う。

 残念ながらホンモノとは構造が全く違うので、本来のハードテイルストラトと同じ鳴り方ではないだろうけれど、個人的にはこのスプリング無しの状態がうちのストラトで一番自分好みの鳴り方になったと感じるので、しばらくはこれで弾いてみることにする。


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RawVintage トレモロスプリング RVTS-1 / Tremolo Springs

製造から数十年が経っているヴィンテージ・ギターは、パーツなどの消耗品は機能性に問題が生じてきます。これによりパーツの交換が必要になった時に多くのヴィンテージ・ユーザーの皆さんが恐れるのは、パーツを変えたせいで音色がガラリと変わってしまう事でしょう。(製品紹介文より)


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