September 07, 2021

羽根田治「人を襲うクマ」を読んだ

 ツイッターでこの本を紹介する話が流れてきて興味を持ったので読んでみた。


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ヤマケイ文庫 人を襲うクマ―遭遇事例とその生態
山と渓谷社

最近はクマの出没が多く、各地でクマの襲撃による被害が頻発している。福岡大学ワンダーフォーゲル部のヒグマ襲撃事故をしっかり検証するとともに、最近のクマとの遭遇被害の事例を追い、生態の解説をする。

文庫化にあたり追記として、著者による最近のクマ遭遇事故の特徴などが追加された。(製品紹介文より)


 最近はご無沙汰しているけれど、昔はよく山歩きをした身としてはちょっと背筋が寒くなるような話が満載だった。

 知人が昔奥多摩の山行でクマと遭遇してかなり焦ったという話をしてたが、その話を聞いたときはあまりピンとこなくてそれは貴重な経験したねぐらいの感想しか思い浮かばなかったけれど、実はかなり危険な事態だったということで、今さらながら大事に至らず良かったなと改めて思った。

 それにしてもここ近年のクマの出没頻度は驚く数字だ。

2016年以降は、ツキノワグマの出没が常態化している。これらの年には、2000〜5000頭のツキノワグマが捕獲され、その多くが殺処分となる。ここ最近でもっとも捕獲数の多かった年は2020年で、実に5795頭のツキノワグマが捕獲された。

 しかも事故も多い。

ツキノワグマでは、先に述べた大量出没年には、100人以上の人間が人身事故に遭い、年によっては数人の方が死亡に至っている。このようなツキノワグマによる高い人身事故件数は、世界中どこを見回しても報告されていない。その意味で、本州で起こっている事態は、世界的にも極めて希有なことと理解できる。

 ツキノワグマがはたして他のクマよりも攻撃的なのかどうかは現時点では不明らしいが気になるデータだと感じる。

 事故が起きる要因の一つとして、人間がクマの活動領域に侵犯することでクマが驚いて防御のために攻撃してくる可能性があるようで、とくに山菜・キノコ・タケノコ狩りといった行動時にこうした事故が多いらしいので、そうした趣味に勤しむ人は要注意ということだろう。

 日頃から山行などを趣味にしているような人は是非この本を一読しておくべきと感じる。
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