August 11, 2019

トランスペアレントな歪みペダルは自分に必要なかった話

 エレキギターを弾く者ならいつかははまる沼の一つが歪み系のエフェクター。とくに「トランスペアレントな歪みペダル」という厄介な代物があって、これは一体何なんだろうかと考える人は多いんじゃないだろうか。

 つまらないオチとしては単なる楽器メーカー業界の作りだしたマーケティング用語というのもあって、これはアメリカの名だたるエフェクタービルダー達も認めるところがあって、なおかつそれでも「トランスペアレントな歪みペダル」を求めるギタリストは今も少なくないみたいな状況でもあるみたいな面倒くさい状況は変わらない。

 自分も何かあるんじゃないかとずっと気にしているのだけれど、先日、「トランスペアレントな歪みペダル」の代名詞とも言える某オーバードライブペダルが中古で店頭にあるのを見つけ試奏する機会があった。で、確かに世間で言われるようにこのペダルはとてもトランスペアレントな歪みと言える音をしていた。ちょっとビックリするぐらいにギターとアンプのクリーンな音からそのまま歪んでいくような趣を再現してくれていて、その正確なトーンの感じはちょっと感動ものだった。

 ただし、その正確無比でトランスペアレントな歪みが自分の求めていたものかといえば、全然違った。

 試奏した条件は、どちらかというと初心者向けの低価格モデルのストラト、アンプはJC-120というとてもオーソドックスな組み合わせ。で、これでクリーンに鳴らしてもつまらないわけだけど、そこにトランスペアレントな歪みペダルを足しても、味けの無い歪んだ音が綺麗に出るだけ。要するに、トランスペアレントな歪みペダルは、ギターとアンプの素の音のままで少しずつ歪んだ状態を上手に再現してくれるので、特にアンプの音が面白くなければ、そのまま面白くない歪んだ音になるということ。これでアンプの素の音が味わいのあるものであれば、そのまま味わいのある歪んだ音になるのだろうことも想像できた。

 良いアンプがあればトランスペアレントな歪みペダルはかなり使いでのある道具になりそうだけど、自分は普段JCみたいなアンプを使う機会が多いので、そこでちょっとした演出をして味わい深い歪みを作りだしてくれるエフェクターが欲しい訳だから、そういう用途にトランスペアレントな歪みペダルは全然向いていないということを学習できた。

 歪み系のエフェクターはかなり個人の嗜好に左右されるし、どんなに他人が評価していても自分には全然面白くないことがよくあるので、とても面倒くさい。まさに沼だなと改めて痛感したという話。

 自分が愛用してる歪み系ペダルの基本はXoticのAC Boosterなんだけれど、これも他の人からすると全然面白くない代物である可能性はかなり高そうだし、そういう意味では他人から歪み系ペダルのことで何かたずねられても答えようがないなと思ったり……。


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「BOOSTERと言うカテゴリーを見つめ直しどんなAMP,GUITARの特性もスポイルする事無くBOOSTする」を理念に開発したのがAC BOOSTERです。楽器のキャラクター・においを変える事なく素直にGAIN UPします。(製品紹介文より)

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