October 02, 2018

映画「カメラを止めるな!」を観た(たぶんこの程度の内容でもかなりのネタバレ)

 個人的にはホラーやスプラッタものは苦手だし、まかり間違って観ることになったりするとひたすら大声で笑って怖い気持ちを自ら誤魔化すことばかりになるので、少なくとも劇場だと他の観客に迷惑がられるから観ないつもりでいたのだけど、あまりの好評ぶりに加えて、世間ではホラー映画として評価されている感じではなかったので、映画の日を幸いに意を決して観に行ってみた。

 結論としては、「カメラを止めるな!」は素直に楽しむことができる楽しい映画だった。

camera


 以下、読む人読めばネタバレぽい話。







 映画が始まって最初はわざとにしてもイマドキ劇場にかける映画としては画質が著しく荒くて、これは演出で狙っているとしてもちょっとひどい、いくら低予算映画だとしてもこれはどうなんだろうと思ったりした。

 まぁ、あれぐらいやらないと後につないだときに逆に誰も判らないから、あそこまでエフェクトかけたんだろうというのは後で理解した。もしかしたらあれぐらい派手にやっても変化に気付かない人は結構いるかもしれない。なにせその昔、アナログハイビジョン試験放送画質と普通の放送画質の違いを見分けられない人がたくさんいたという話があるぐらいなので…。

 こういう映画としては今やお約束の最後の最後に不穏な予兆めいた描写や演出をしなかったおかげでかなり爽快な後味の映画になっているのも広く世間で好評となった理由なんだろう。製作側ではそういう演出を考えたりしたかもしれないけれど、それはやらなくて正解だったと思う。

 年寄りなので例えがとても古くさくなるけれど、「スティング」や「ファール・プレイ」に通じるエンターテイメント性を感じたし、それだけ自分の中でも評価は高い作品になった。

 ただし、この作品に関してはもう完全にプロットの勝利というか、同じような仕掛けで当てようと思って2匹目のドジョウ的な企画の話があってもそれはもう全然面白くないことになりそう。でも狙うよね、たぶんみんな(笑)。

 個人的には昔かかわった番組制作の仕事を思い出して、ちょっと色々と懐かしくてしみじみして、そういう意味ではとてもロマンチックな映画でもあった。たぶん、そうした仕事の経験のある人が一番この映画を楽しめるのかもしれない。モノを創る現場を舞台にした作品ということでは「蒲田行進曲」なんかは近いものがあるのかもだけど、やっぱりちょっと違うか…。
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