September 24, 2018

Big Muffというエフェクターについて思うこと

 ギター用エフェクターに「Big Muff」というのがある。歪み系エフェクターではとても有名で、ちょっとエレキをいじったことがある人なら知ってる人はかなり多いだろう。1969年に初代モデルが出来てから今に至るまでいくつものバリエーションがあって、そのあたりの蘊蓄はマニアな人がたくさんいるので検索すると嫌になるほど情報があふれている。(ちなみに検索するとジミヘンが愛したファズという記事がヒットしたりするけれど、これは大嘘。ジミが愛したのは「Fuzz Face」という全く別のモデル)



 自分はBig Muffにあまり縁がなくて、以前には「BIG MUFF総会」なる特殊イベントにまで参加して歴代の数々の実物の音に触れたりもしたけれど、どうも自分の嗜好には合わないなということで敬遠してきた。

 それでもいつかは、数あるバリエーションの中から1つぐらいは手に入れようかなと思い、個人的には一番音楽的な鳴り方をすると感じるロシア製造時代のリイシューを試奏したりもしたのだけれど、今ひとつピンと来るものがなくて結局見送りにしたり。



 そんな感じでBig Muffにはずっともやもやした思いがあったのだけど、Electro-Harmonix(日本の楽器好きの間では「エレハモ」と略して呼ぶことが多い)が創業50周年記念ということで同社製品の顔でもあるBig Muffの初代モデル「Triangle Big Muff Pi」をリイシューした。



 で、この動画を見て、「あ、自分はこれだな」という直感みたいなものがなぜかあって、意を決して手に入れることにした。最初は国内楽器店で予約しようと思ったのだけど、米国での発表を知った瞬間に電話で某店に連絡を入れてみるとまだいつ発売になるか未定だとのことなので、米国で既に発売済みだったこともあり、初めて米国通販サイト「Reverb」を使って送料が一番安く提示されているショップから購入。注文から国際郵便小包で受け取るまでに丁度1週間かかったけれど、日本国内の楽器店で買うより少し安く買えたので結果的に大正解だった。

bigmuff

 実際にBig Muffを手に入れて色々遊んでみて感じたのは、このBig Muffというエフェクターは誰もがエレキギターに期待する「ガツン!」という原初的なインパクトのある音をとても簡単に引き出してくれる魔法(?)の箱だということ。正直なところ洗練された音楽的世界からはほど遠いのだけど、それが楽しいというかとても面白い。エレハモのよく出来たデモ動画よりは以下の動画の方がBig Muffのプリミティブな音の特徴がよく出ていると思う。



 ちなみにこの初代モデルであるTriangle Big Muff Piのオリジナルは程度にもよるけれど好事家の間では数十万円単位で取引されるほどのマニア垂涎の代物だったりするらしい。実物のデモ動画はYouTubeを検索すれば色々あるけれど、どうもそうした動画を見る限りは今回のリイシューと同じような鳴り方してるものはなさそうなあたりご愛敬。初代モデルは当時の作りの適当さから個体差が滅茶苦茶あるだろうことに加えて、おそらくは経年変化で音にかなり影響が出ているんだろうと思う。これがいわゆる「ビンテージ」の魔法というか、勘違いというか、まー色々面倒なところでもある(笑)。自分はマニアにはほど遠い不純な人間なので、新しいリイシューモデルで十分満足しているけれど、マニアな人達はまた今回のリイシューと昔のオリジナルを巡って色々議論したりするのだろう。

 それにしても、本国ではエレハモが公式に表明している店頭予想価格が99ドルなのに、日本に来ると1万9000円になるのはすごい。さすがにこの値段で買う人はあまりいないと思うけれど。

B07HCGKY97electro-harmonix/Triangle Big Muff Pi
Electro Harmonix

electro-harmonix社は、ヴィンテージelectroharmonixのDNAとトーンにあふれたV1と呼ばれるオリジナル Big Muff PiをNanoシリーズで忠実に復刻しました。
Triangle Big Muffの名を授かったのは、Volume、Sustain、Toneのコントロールのレイアウトによるもので、それが全ての始まりでした。
新しいTriangle Big Muffはオリジナルの1969年の回路を忠実に復刻し、ペダルボードに導入しやすいサイズのダイキャストシャーシに収めました。(製品紹介文より)

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