May 28, 2017
スティーヴン・ウィット(関美和訳)「誰が音楽をタダにした?」を読んだ
MP3の特許が切れたというタイミングで前から興味のあったこの本を読むことに。
米国音楽業界の内実に興味があるという奇特な人なら必読の書。また、インターネット黎明期にIRCチャットに明け暮れウェアーズにはまりつつCDを買い漁っていたような中高年には懐かしくて涙が出そうになるような話がてんこ盛りでもあるので、そういう人にもおすすめ。でも、生まれてから金出して音楽ソフトを買ったことが一度もない若者なら今さら読む必要なんてない本でもあるのかも。
本のタイトルがちょっと軽薄な印象も与えるけれど、内容そのものは丁寧な取材に基づくしっかりとしたノンフィクションで、翻訳も音楽系書籍にありがちなデタラメなものではなくてちゃんとした日本語の文章になっていてとても読みやすかった。
原作が書かれたのは2015年と、ちょうどCDもMP3も終わりを迎えそうなタイミングで、その後にカセットやアナログ盤が市場でリバイバルすることになるあたりはさすがにその予感さえもなくて、音楽ビジネスの浮き沈みの激しさを改めて思い知らされるなど。
個人的には、ダグ・モリスの話が一番面白かった。もし、ジョブズが病気になっていず元気いっぱいだったら音楽業界のその後もまたかなり違った展開になっていた可能性があったようにも読めた。
誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち スティーヴン・ウィット 関 美和 早川書房 2016-09-21 田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レコード会社のCEO。CDが売れない時代を作った張本人たちの強欲と悪知恵、才能と友情の物語がいま明らかになる。誰も語ろうとしなかった群像ノンフィクション。(書籍紹介文より) |
米国音楽業界の内実に興味があるという奇特な人なら必読の書。また、インターネット黎明期にIRCチャットに明け暮れウェアーズにはまりつつCDを買い漁っていたような中高年には懐かしくて涙が出そうになるような話がてんこ盛りでもあるので、そういう人にもおすすめ。でも、生まれてから金出して音楽ソフトを買ったことが一度もない若者なら今さら読む必要なんてない本でもあるのかも。
本のタイトルがちょっと軽薄な印象も与えるけれど、内容そのものは丁寧な取材に基づくしっかりとしたノンフィクションで、翻訳も音楽系書籍にありがちなデタラメなものではなくてちゃんとした日本語の文章になっていてとても読みやすかった。
原作が書かれたのは2015年と、ちょうどCDもMP3も終わりを迎えそうなタイミングで、その後にカセットやアナログ盤が市場でリバイバルすることになるあたりはさすがにその予感さえもなくて、音楽ビジネスの浮き沈みの激しさを改めて思い知らされるなど。
個人的には、ダグ・モリスの話が一番面白かった。もし、ジョブズが病気になっていず元気いっぱいだったら音楽業界のその後もまたかなり違った展開になっていた可能性があったようにも読めた。