April 16, 2017

映画「ラ・ラ・ランド」を観た(ネタバレあり)

 遅ればせながら、今年のアカデミー賞6部門を受賞した映画「ラ・ラ・ランド」を観た。
lalaland

 すでに色々と前評判やあらすじは知りつつで観たので、たとえば冒頭のビックリするような高速道路シーンも驚くことなくノンビリと「あー、これね」みたいな感じで観てたのだけれど、やはり最後のシーケンスはそれなりに「ほう、こう来るか」みたいには驚きつつで楽しく鑑賞できた。個人的には、プラネタリウムのシーンが好きだったけれど、そういう感想を知人に話したら「ロマンチストだねぇ」と言われてしまった。んー、ふわりと飛ぶシーンは普通に気持ち良いと思うんだけど……。

 で、映画が終わってから思ったのは、ここからネタバレになるのだけれど、ライアン・ゴズリング演じる主人公のセブがガールフレンドのミアの出て行った後にベッドで寝ていてケータイで起こされるシーン、あそこから先はもう全てがセブ、さらにはエマ・ストーン演じるミアも含めての、全員の果たされることなかった「夢」なんだろうなということ。まさにギリアムの名作「未来世紀ブラジル」のエンディングシーケンスと同じ展開であると考えれば、とても判りやすい。まぁ、そんな風に暗い解釈でこの映画を観ているのは、おそらく世界広しといえでも自分ぐらいしかいないのかもしれないけれど(笑)。

 ラ・ラ・ランド(La La Land)というのはLA、さらにはハリウッドのことを意味するわけで、あそこには夢を見つつその夢を叶えることができない人々が数限りなく住んでいる。そういう社会背景を考えると、このラ・ラ・ランドというのはかなり残酷な映画であり、まさに未来世紀ブラジルと同じなんだろうと思った訳で、そういう見方をしてない人は皆それなりに素直で幸せな人生を送っているんだなと羨ましく思ったりもする。

 あと、なかなかすごかったのはこの映画の中ではジャズはルーザーの趣味でもう終わってるよねという感じに表現されていて、このあたりは最近の新しく始まりつつあるリアルな音楽としてのジャズシーンとはもう完全に別の世界になっていて、違う意味でおとぎ話になっているのもジャズ界に喧嘩売っていて面白かった。ジャズの扱いについては、監督のデミアン・チャゼルは前作の「セッション(Whiplash)」もそうだったけれど、何か個人的に恨みがあるのかもしれないので、次回作はもっとジャズに喧嘩を華々しく売ってほしいと思ったり(笑)。

PS. 思い出したので追記。この映画、iPhoneとか出てくるのにSNSはおろか、メールやショートメッセージも使ってなくてかなり不自然だった。本当はケータイの無い時代を舞台にして脚本を考えてたんじゃないのかな。オーディションの連絡電話を受けてから遠くまで車でわざわざ迎えに行くのなんてのも今の時代だとあり得ない展開。その辺もファンタジーなんだろう。
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