August 03, 2016

映画「シン・ゴジラ」を観た(注意:もろネタバレ)

 映画公開と共に多くの絶賛の声を聞いて、これはとりあえず観ておくかということで料金が割安になる映画の日(今は「ファーストデイ」と呼ぶらしい)に劇場へ。

monster

 最初出てきた怪獣がどう見ても自分の知っているゴジラとは似ても似つかない姿形なので、ははぁ、これは旧作「ゴジラの逆襲」のアンギラス的な位置づけの怪獣でこの後ゴジラと戦うことになるのだろうと思って期待していたら、そういうアンギラス対ゴジラのような展開は全然なくてガッカリ。というか、あれが変態してお馴染みのゴジラになる設定はちょっとずるいと思った(笑)。

 この映画、人によっては、311だったり911を思い出して複雑な気持ちになることもあるだろうけれど、自分の場合は初っ端で中央高速の笹子トンネル崩落事件を思い出した。そういう意味では、この映画は色々な過去に起きた災害をモチーフにしていると解釈してもそれほど不自然ではないし、そういう人々が記憶に持つ恐怖感や危機感に訴える要素がふんだんに散りばめられている。

 考えてみれば初代ゴジラは1954年という太平洋戦争終決から10年も経たないタイミングで公開された訳で、当時のこの映画を見た人達は一様に戦争を思い出して不安になっていたのかもしれない。そういうインパクトがあのゴジラという映画の評価に繋がっていたのだろうし、この新しいシン・ゴジラもそういう要素があっての高評価という可能性は感じる。

 劇中で個人的に一番強い印象を抱いたのは、米軍の精密爆撃を受けて怒ったゴジラが炎(?)を吹き出して、全ての飛行機を撃ち落とし東京の街を火の海にしたシーン。それまでそれなりに重要な役割を担っていたはずの首相や官房長官の一行もあっさりと殺されてしまい、現実であるとすれば相当にどん底な展開。もし自分があの場にいれば、それで人生おしまい。その後は色々と前向きな展開となって、皆の努力や幸運も重なってゴジラの活動を停止させるための作戦が展開される訳だけれど、あの流れはまるで「未来世紀ブラジル」のエンディングへのシーケンスと似てるなと感じた。つまり、東京が火の海に没して以降は現実には起こりえない夢物語でしかないよねという。そういう見方をする人はたぶん世の中で自分ぐらいしかいないのだろうけれど(笑)。なんというか、悲劇的なんだけれど相当にロマンチックな映画だなと思いつつで劇場を後にした。

 自分が行った劇場は新宿ピカデリーで、スクリーンの大きさ自体にはさほど不満を感じなかったけれど、音響についてはちょっと音量が小さくて物足りなかった。この映画は轟音で耳が痛いぐらいの感じで観るのが相応しいと思う。

B00ISOIVVKゴジラの逆襲 【60周年記念版】 [Blu-ray]
東宝 2014-07-16

大坂を舞台に、ゴジラと古代恐竜アンギラスの壮絶な戦いを描いた、傑作映画「ゴジラ」のシリーズ第2作。(作品紹介文より)

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