May 29, 2013

ニコニコ動画の企画イベント「MIXバトル」に参戦してみた

 ツイッターでItsukiさん(@mu_cre_itkitk)にニコニコ動画で開催されている企画イベント「MIXバトル」を教えていただき、無謀にも参戦してみた。



 で、どんな感じでミックスしたかを自分向けのメモも兼ねて書いておくことに。

 まず、提供されている素材を手に入れてLogicに取り込もうとしたんだけど、これがちょっと一癖あって、バックトラックの2ミックス音源は48kHz/24bitのWAVなのに、ボーカル素材が44.1kHz/32bitのWAVという仕様。最初気がつかなくて、何度Logicへ取り込んでもボーカルデータを再生できなくてかなり悩んだ。で、Logicで44.1kHz/32bitの読み込ませ方が判らなかった(非対応?)ので、一旦全部Studio Oneに取り込んで、44.1kHz/24bitにダウンコンバート。ついでに、バックトラックの方も44.1kHz/24bitに揃えた。これで準備完了。

 次に、全部のトラックのレベルを適当に揃えて、リピート再生して楽曲を覚えることに。すでに他の人のミックス作品がアップされていたのだけど、そちらを聴くと無駄に対抗心から違うものを作らねばという気持ちになってしまうので、Itsukiさんの作品を1回聴いただけで、後は素材を聴いて自分のイメージ作りに専念。こういうタイプの楽曲は個人的に普段は全然聴かないのですごく新鮮だった(笑)。

 ボーカルパートは大きく分けて、喘ぎ声、Aメロ(ヴァース)、Bメロ(サビ1)、Cメロ(サビ2)、ラップの4つ。

 まずは曲頭と曲終わりのポイントとなる喘ぎ声の処理から決めていく。原曲では曲終わりの喘ぎ声の後も演奏が続くけれど、自分のミックスでは喘ぎ声の終わりでカットアウトにしてより余韻を強くすることにした。CLA-76で強めにコンプをかけ、Maag EQ4でヌケを良くする。あとはほんのちょっとだけLogicのStereo Delayで味付け。さらに手作業で一声ずつ左右にパンするデータを書き込み無駄に派手な動きをつけてみる。

 続いてAメロ。主ボーカルとコーラスの2声だったので、主ボーカルをセンター、コーラスを左にふった後ディレイで右にふって厚みを出す。これもCLA-76とMaag EQ4で調整。これだけだとつまらないので、主ボーカルをセンドアウトしてLogicのPitch Shifter IIかけて、さらにLogicのPedalbordのHappy Face Fuzzで歪ませた状態にして裏で薄く鳴る感じで隠し味を。残響系はLogicのSpace DesignerとStereo Delayで処理。

 ラップは3声。適当にパンで振り分けてバランスを取った後、センドで送って1つのチャンネルにまとめる。その後にCLA-76とMaag EQ4で調整。ヒップホップぽいニュアンスを目指しつつ、他人にもそう聞こえるかどうかは謎。

 Cメロも3声。このパートはなぜか気分はSPEED(笑)ということで、右、左、センターとパンで動きをつけて、掛け合いで歌っているような雰囲気にしてみた。ここもバカの一つ覚えでCLA-76とMaag EQ4。で、間奏部分のブレークに入る前「自分以外は皆無」の最後の部分をLogicのTape Delayで思い切りダブぽく飛ばしつつ、さらにそのディレイ音をPanCake 2で左右に揺らしてみた。実はここで、曲のBPMをちゃんと合わせずに作業してきたツケが露呈。ディレイとオートパンのタイミング決めるのが大変だったのは秘密ということで…。

 Bメロは全部で5声あって一番やっかいだった。気持ちだけはQueenのボヘミアンラプソディをイメージしつつも、単に無難にまとめるという消極的アプローチ。一番低い声をセンターにして、そこから左右にふって拡げるみたいな感じにした後センドで1チャンネルにまとめて、またまたCLA-76とMaag EQ4で調整。LogicのSpace Designerでリバーブ深めに。もっと上手なまとめ方あったかなと思いつつ、自分の技術と経験の無さからいかんともしがたい敗北感。

 いよいよ、ボーカルパート毎にオケとのバランスを詰める。オケの細かい部分でボーカルとぶつかる残響音などを場所によってミュートしてメリハリを付けてみたり。あと、本来はオケのドラムに合わせてボーカルがぶつ切りにガ・ガ・ガとなる演出だった部分は、イマイチ自分の味じゃないという理由にして(実は単に面倒だった?)ぶつ切り処理を見送る。

 さらに、オケとボーカルのバランスを詰めていく中で、喘ぎ声パートとラップパートはより声にメリハリがあるように聴かせたいということから、オケ側にLogicのCompressorをインサートして、ボーカルをサイドチェーンのトリガーにして、歌っているときはオケが後ろに引っ込むようにしてみた。自分としてはこれが一番気に入っている処理かも。後は、地味な効果としては、チャンネル全部にSatsonをインサートして、ボーカルはハイパスフィルターで低音をザックリ削った。

 最後はステレオバスアウトのチャンネルにTB ReelBusをインサートして、なんとなくアナログテープに落とした風な味付けにしつつ、続いてW1で軽くリミッター処理した後、LogicのLinear Phase EQで極端なピークをカットしてバウンスという流れ。

 これで完成のはずが、ニコニコ動画にアップするためには動画にしなければならないという最後の難関が。しかも、自分の場合は一般会員のためアップロード可能なファイルの最大ビットレートが600kbpsという大きな制約がある。なので、ここは割り切って動画の方は静止画にして、とにかく音声に可能な限り帯域を割くという方針でデータを作ることに。

 出来た動画を一旦アップロードして未公開状態で確認してみたら音が小さくてこもっている。これはダメだということで、バウンス済み音データをもう一度新規でLogicに読み込んでニコニコ動画用にマスタリングしてみた。LogicのLinear Phase EQ、Multipressor、Adaptive Limiterを使って、とにかく歪まないギリの線まで音圧をあげつつ、ボーカルのヌケをよくする方向で処理。これでバウンスしたデータを改めて動画に貼り付けて完成。

 プロの仕事に比べたら何と幼稚なことやってるんだろうというレベルだけれど、個人で趣味としてやる分には十分楽しめているからこれで良いのかなと思ったり。ちなみに全作業時間は動画データ作成部分を除くと5時間ぐらい。もっと良いものをもっと短時間で作れないとプロにはなれないなー(笑)。
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