August 10, 2010

映画「インセプション」を観た(一部ネタバレあり)

 劇場でこの映画「インセプション(原題:Inception)」を観てから、実はそれなりに時間が経っしまっているのだけれど、やはり何らかの記録を自分のために残しておきたい思いが強いので、かなり適当な雑文を書いてみる。

 まず、これまで自分にとってもっとも大切なSF映画は「未来世紀ブラジル」だったのだけれど、この作品はそのブラジルと互角に並び立つだけの大傑作であることが決定した。これからも何か機会があれば観なおすことになるだろうし、出来ることなら今、劇場で上映されているうちにもう一度観たいと思っているほどに好きだ。

 で、この映画がなぜそれほど自分にとって魅力的なのかといえば、それはまず物語の中で描写される登場人物達の心の動きの切なさであり、その心象風景を演出する音響が圧倒的だからだ。(たぶんあまり関係ないけれど、ギターはジョニー・マーが演っていて、それをエンドロール・クレジットで知ったときは、あぁと妙に納得したりした)

 その一方で、あの壮大なCGによるスペクタクルなシーンには、それほど感動しなかった。まぁ、笑えるという意味ではかなり面白かったけれど…。(もっとも、自分以外で笑っているような人は劇場にいなかったかも。いつものことながら他のお客さんにはとても申し訳なかったような…)

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 で、まずはオープニング・シーケンスが驚愕だった。

 ネタバレになるけれど、あのいきなりアクセントの微妙な日本語の台詞から始まったのはかなり焦った。なんだ、こりゃ、またよくありがちな日本人の悪者が出てくるチープな陰謀物語なのかと、かなり残念な気分になった。まぁ、実際、話はそういう形で展開するし(笑)。

 ああいう形でエンターテインメント性を担保しながら、登場人物達のディープな心の葛藤を並行して描いていくのは、非常に素晴らしかった。その辺がブラジルと重なるところがあって、なんというか自分はこういう作品に滅法弱いのだなぁと改めて実感。

 映画を観た後の感想で、多くの人が「難しかった」という趣旨の言葉を残しているけれど、あれは意味不明のところは意味不明のまま受け入れて、そのまま映画の世界に浸るのが面白いのだと思う。だからこそ、また何度でも観たくなるし、制作者もそういう風に意図して作っているのだろう。何度でも観ようじゃないか。

 それにしても、ホテルや車の中でゴロンゴロンと死体同然に皆が転がっているシーンでどうして皆笑わないのだろう? あれは皆で爆笑するためにあるような演出だと思うのだけどなぁ(笑)。

 ともかく、スクリーンの大きさも音響設備もお世辞にも良いとは言えない劇場を選んで観に行ってしまったので、次にもし劇場で観る機会があるとしたら、是非とも最新設備の場所を選んで、あの映像と音響に浸りきって溺れるようにして観たいものだと思う次第。
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