August 08, 2010
岩田由記夫「ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち」を読んだ
著者の岩田氏ご自身がツイッターで紹介されていたのをきっかけにして読む。
本書に登場するミュージシャン(あえて著者がそうしているようにここでは「アーティスト」という言葉を使わないようにする)は、以下の15名:
松任谷由実/小田和正/細野晴臣/カルメン・マキ/大滝詠一/竹内まりや/山下達郎/中島みゆき/西岡たかし/高田渡/EPO/南こうせつ/鈴木雅之/中森明菜/沢田研二
個人的にはかなり楽しめ、素直に感動する逸話も多かった。
ただ、一方で、これまであえて語られずにそっとされてきた「隠されたエピソード」を暴露するゴシップ本的な要素も無くはない。その辺が嫌いな人にはダメな本かもしれない。
でも、とりあえず、大滝詠一のファンならば、彼の章だけでも目を通す価値はあると思う。この章の終わりに出てくる「A LONG VACATION」についてのインタビューが終わった後に著者と大滝詠一の間で交わされた逸話は、個人的にはかなりグッとくるものがあった。(ま、これも本当に「濃い」ファンの間でならば周知の事実なのかもだけど……)
著者の岩田氏は、自分よりもかなり上の世代になってしまうので、音楽に対する考え方や態度については、少しばかりの違和感を覚えつつも(実は少なくとも一度は実際にお会いしてお話したことがあって、そのときもそんなことを密かに感じていたのだけれど)、あるとき音楽に出会ってそれで人生が変わったしまったということを記されているあとがきの「鉱石ラヂオから始まったぼくの音楽」には、大いに共感するものがあった。
昔の日本のラジオを中心とした音楽シーンが多様だった様が以下のように説明されている:
これを読んで、自分も幼い時に、ラジオでこういう音楽の聴き方をすることが出来たのだけれど、それが今となってみれば、実はとてもラッキーなことだったのだなとしみじみと感じ入ってしまった。
しかし、そういう思いは、もはや単なる老人の懐古趣味なだけであって、今の若い人にいくら説明しても、「はー、そうだったんですか」で終わるのかもしれない。
んー、懐古趣味じゃない形で、もうちょっとだけ多様性に富んだ音楽を楽しめるような環境を作ることはできないものなのかなと思ったり……。
ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち 岩田 由記夫 ウェイツ 2009/05/09 音楽プロデューサー、DJ、ライターとして活躍する岩田由記夫が、世代を越えて人気を集めている15名のミュージシャンの知られざる素顔を紹介します。過去35年の中で行った当時のインタビューをもとに、新たに書き下ろし、1冊の応援歌としてまとめました。あの歌が生まれたときのいきさつ、あの歌手が続けている意外な行動、あのミュージシャンの息の長い活動を支える動機などなど、初めて知る数々のエピソードを交えながら、彼らの音楽への熱い思いと人生に対する真摯な姿勢を伝えています。(書籍紹介文より) |
本書に登場するミュージシャン(あえて著者がそうしているようにここでは「アーティスト」という言葉を使わないようにする)は、以下の15名:
松任谷由実/小田和正/細野晴臣/カルメン・マキ/大滝詠一/竹内まりや/山下達郎/中島みゆき/西岡たかし/高田渡/EPO/南こうせつ/鈴木雅之/中森明菜/沢田研二
個人的にはかなり楽しめ、素直に感動する逸話も多かった。
ただ、一方で、これまであえて語られずにそっとされてきた「隠されたエピソード」を暴露するゴシップ本的な要素も無くはない。その辺が嫌いな人にはダメな本かもしれない。
でも、とりあえず、大滝詠一のファンならば、彼の章だけでも目を通す価値はあると思う。この章の終わりに出てくる「A LONG VACATION」についてのインタビューが終わった後に著者と大滝詠一の間で交わされた逸話は、個人的にはかなりグッとくるものがあった。(ま、これも本当に「濃い」ファンの間でならば周知の事実なのかもだけど……)
著者の岩田氏は、自分よりもかなり上の世代になってしまうので、音楽に対する考え方や態度については、少しばかりの違和感を覚えつつも(実は少なくとも一度は実際にお会いしてお話したことがあって、そのときもそんなことを密かに感じていたのだけれど)、あるとき音楽に出会ってそれで人生が変わったしまったということを記されているあとがきの「鉱石ラヂオから始まったぼくの音楽」には、大いに共感するものがあった。
昔の日本のラジオを中心とした音楽シーンが多様だった様が以下のように説明されている:
アメリカンポップス、シャンソン、カンツォーネ、映画のテーマ音楽などが、ジャンルを超えてNo. 1を争っていた。そしてヒットの期間が異様に長い曲も多かった。アラン・ドロンの名を世界中に広めた映画「太陽がいっぱい」のテーマ曲など、1年以上もチャートにランクされる曲もあった。ヒット曲は、現在のように消費されて捨てられるものではなく、心に残る思い出であり、文化だった。
これを読んで、自分も幼い時に、ラジオでこういう音楽の聴き方をすることが出来たのだけれど、それが今となってみれば、実はとてもラッキーなことだったのだなとしみじみと感じ入ってしまった。
しかし、そういう思いは、もはや単なる老人の懐古趣味なだけであって、今の若い人にいくら説明しても、「はー、そうだったんですか」で終わるのかもしれない。
んー、懐古趣味じゃない形で、もうちょっとだけ多様性に富んだ音楽を楽しめるような環境を作ることはできないものなのかなと思ったり……。
この記事へのコメント
tamla3 さん、
コメントありがとうございます。
拙文がお役に立てたようで良かったです。
読後の感想は岩田さんへツイートされると喜ばれると思いますので、是非。
コメントありがとうございます。
拙文がお役に立てたようで良かったです。
読後の感想は岩田さんへツイートされると喜ばれると思いますので、是非。
Posted by wms at January 15, 2011 15:28
僕も岩田由記夫さんをフォローしています。
今日、著書があることを知りました。
このエントリーが大変参考になりました。
早速1冊注文しました。
僕の注文でAmazonの在庫がなくなりました。
今日、著書があることを知りました。
このエントリーが大変参考になりました。
早速1冊注文しました。
僕の注文でAmazonの在庫がなくなりました。
Posted by tamla3 at January 15, 2011 14:54