トレント・レズナー曰く「今後頭の悪いメジャーレーベルと契約するつもりはない」（意訳）

May 24, 2007

トレント・レズナー曰く「今後頭の悪いメジャーレーベルと契約するつもりはない」（意訳）

　トレント・レズナー（つまりNine Inch Nailsの中の人）が、レコード会社をボッタクリ野郎として非難している話は「P2Pとかその辺のお話」さんの5月16日付けエントリー「Nine Inch Nails：真のファンが搾取されるのでは『人々が音楽を盗むのも不思議はない』とUniversalを批判」で知ったのだけど、この件に関する続報が5月23日付けのBillboard.bizで「NIN's Reznor Continues Label Tirade」として取り上げられていた。これが面白い。

"I've have one record left that I owe a major label, then I will never be seen in a situation like this again," he says. "If I could do what I want right now, I would put out my next album, you could download it from my site at as high a bit-rate as you want, pay $4 through PayPal."

　どうやら、トレント・レズナーは、あと1枚のアルバムを納品すれば現在のレコード会社との契約が満了するようで、今後は今のような形でのレコード会社を経由した作品販売はやめるつもりのようだ。

　NINのような世界的に成功した音楽アーティストが、完全にレコード会社の関わりを排除した新しい流通形態による音楽ビジネスを開始すれば、他のメジャーアーティストでもこれに倣う可能性はありそうだ。そうなると、いよいよ「レコード会社」という産業形態は衰退するのかもしれない。

　個人的には、メジャーなレコード会社システムの全てが「悪」だとは考えていない。また、そういった論調を声高に叫ぶのはあまりに幼稚な行為だと思う。このシステムがあったからこそ、今の商業音楽シーンが存在する訳だし、メジャーな音楽シーンが盛り上がって「音楽」というビジネスの場が確立されたからこそ、自分の好きなマイナーな音楽作品でもなんとか流通できるだけの余地を作り出せたのだから。

　しかし、音楽パッケージを作る現場がもはや昔のような巨大インフラを必要としなくなってしまった状況や、流通の様変わり、消費市場の変化をふり返ってみれば、そろそろ古い体制に引導が渡されるべき時期が来たと言えるのかも。そして今、トレント・レズナーのような立場にある者によって、その先鞭がつけられようとしているのだろうか？ま、時代は変わるとういことだよね…。

　で、とりあえず、Nine Inch Nailsと言えば以前にも書いたけど自分の場合、ミニアルバムの「Broken」が唯一のお気に入り。このアルバムが持つキャッチーなメロディーとエッジの効いたサウンドは、ちょっと他にはない面白さだと思う。