May 15, 2007

儲けは欲しくても市場を育てるつもりはない(消費者も産業を育てるつもりはない)

 「Waste of Pops 80s-90s」さんが、「着うたなどの携帯電話向け違法音楽配信で初の逮捕者」という事件報道を受けて書かれた5月14日付けコメントの中で、以下の部分が非常に興味深い:

メーカーにしろ小売にしろ、売る側は何でそんなに「みんな音楽大好き」であることを前提にしてものを考えるんだろうね。そんなもん、ちょっと市場調査すりゃわかるはずなのに。
散々言い倒していることですが、90年代以降、レコード会社は「消費者」を増やすために必死にはなってても、「リスナー」を増やす努力はほとんどしてませんでしたから。

 実は先日、スキー&スノーボードを扱うショップの人と話していて、来期(2007-2008シーズン)へ向けて、倒産や廃業するウインタースポーツ系ショップが増えるだろうという話題になった。理由は、今冬(2006-2007)の暖冬による売れ行き不振の影響もあるけれど、それよりも、ユーザーに売るだけ売って後の面倒を見ないようなデタラメな商売が拡大した反動が大きいという。つまり、ユーザーは増えたけれど、「ファン」や「マニア」みたいな優良な顧客は育てられなかったということ。

 で、このパターンは、何も音楽産業やウインタースポーツ系産業だけの話じゃないだろう。結局、ビジネスだから、「数字」を稼げれば良いのだろうけど、それだけじゃいずれ終わってしまう訳で、続けていくためには健全な市場を育てる必要があるはず。

 まぁ、売り手側だけの問題じゃなくて、値段さえ安ければそれで良い(タダなら最高)というエンドユーザー側の問題もあるから、一筋縄で解決することじゃないのだけどねぇ…。
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