December 08, 2005

米Sony BMGのコピープロテクト問題を日本の報道メディアが無視同然の理由を考えてみる

 ネット上の音楽コミュニティーでは内外を問わず、XCPやMediaMaxといったヤバイ系コピープロテクト技術に関する話題が大きく取り上げられているのに、なぜか日本国内の一般報道メディアはあまりこのネタに興味を示さない現状がある。「趣味の問題2」さんも指摘されているように、商業メディアでこの問題を取り上げているのは一部のITニュース系サイトのみと言っても過言じゃない。

 なぜ、そんな状況なのだろう? これはあくまでも個人的な憶測だけど、一番の理由は、この問題が国内の正規CD製品の話じゃなくて、あくまでも「マニア」だけが手にする輸入盤に限られ問題だから。しかも、当の問題は、パソコンでCDを再生して初めて発生するという特殊な条件(?)での話だからだろう。

 こういう書き方をすると、音楽好きな人は、「何を馬鹿なことを言っているのだ、今時子供でも輸入盤を買うし、パソコンでCDを聞くのも普通だぞ」と思うかもしれないけれど、年に1枚CDを買うか買わないか程度の「普通の人々」にとってみれば、洋楽の、しかも輸入盤に関する話なんて、まったくもって関係ないことなのだ。悪い例えをするのなら、遠いどこかの国で戦争が起きてるらしいというニュースと同じ程度のリアリティでしかない。それに、当たり前だけど、CDを聞くのにパソコンじゃないプレイヤーを使う人の方がまだまだ多いはずだから。

 あと、表向きに今回の件は、Sony BMGという1つの会社の問題なんだけれど、XCP/MediaMax採用製品リストから判断すると、Sony Music系レーベルがXCP、BMG系レーベルがMediaMaxを導入している傾向が見られる。つまり、外から見れば同じ会社でも、実態はいまだに2つの独立したレコード会社がバラバラに商売していて、統一的な動きが出来てないという勘ぐりも成立する。下手したら、今回の事件でまた2つに分割したりして…。

 さらに、悪いことに、日本ではSMEとBMG JAPANは別々の会社だから、それぞれの輸入盤担当部署が、今回の事件に対して共同で対応策を実施するという感じでもないっぽい。極端に悪意のある見方をしてしまうと、日本の2社からすれば、全ての責任は米国本社にあって、うちは被害者なんですみたいなノリなのかもしれない。

 こういう状況を総合すると、今のところ、誰もが興味を覚えるような一般的な報道ネタとしてはインパクトが弱いし、メディア側からしてみれば、話が複雑怪奇すぎて取り上げるのが億劫ということなんだろうね。

 ま、以上は、あくまでも素人が暇にまかせてテキトーに考えた与太話なので、あまり真剣に受け取らないようにしてください(笑)。
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この記事へのコメント
熊本日日新聞の件は遅ればせながら検索して内容を読みました。
http://plasticdreams.tm.land.to/sonyrootkit/?2005-12-04%A4%CE%B7%A7%C6%FC%A4%CE%CF%C0%C3%CC

hidemuzicblogさん(http://hidemuzic.typepad.com/hidemuzicblog/2005/12/sonybmgcccdxcp.html)も書かれていますが、この問題が一番大きく影響するはずである音楽メディアさえもが口を閉ざしている時点で、CCCDの場合と同じく、日本のメディアは果たすべき機能を失ったまま(はじめから持ってない?)「終わっている」感はありますね。

あまり考えたくはないけれど、個人の安全よりも、企業の安全が優先される、まさに素晴らしき資本主義のなれの果てなのかもしれません。なんというか、1984や未来世紀ブラジルみたいな話が夢物語じゃなくて、ちょっとずつだけど、ちゃんと実現してきているのが個人的には涙が出るほどウレシイです(笑)。
Posted by wms at December 09, 2005 07:34
震度強度偽装とかリフォーム詐欺なんかと違ってあーゆーもんは「インフルエンザにかかったかな?と思ったら会社に来るな」的なまさにウィルスだと思います。
自分の身近に「輸入盤なんてもんを買うヤツ」がいる状況はもしかしたら自分のパソコンや個人情報さえ危ないのに、幼女が犯罪被害に遭うたびにものすごくレアなオタクの嗜好を「こんなヤツが危ない」みたいなことを言ってるヒマのある人達が報じないのは熊本日日新聞言うところの「遠慮」が働いていると考えますけど。
Posted by 趣味の問題2 at December 09, 2005 02:44