August 26, 2024

ギター用ワイヤレスを試してみて感じたこと

 ギター用ワイヤレスシステムが安価になってセッション等の場でも使う人がすごく増えた。かなり前に一度借りて試したことがあるけれど、そのときは明らかなレイテンシを感じて自分はちょっとダメだなと思った。でも最近は中国製の廉価品でもかなり性能が改善しているという話を色々な場で聞いたので、物は試しということで国内外いずれのレビューでも比較的安定した評価のある製品を入手してみた。

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 2〜3mの範囲であればレイテンシを体感することはないし音切れなどの不具合も生じないことを確認。ケーブルをひっぱるのが嫌な人にはこれはかなり魅力的だと思う。

 音質に関しても、ただ音を鳴らすというだけであれば不満を感じるところはほぼ無い。

 けれど気になる点がある。ワイヤレスシステムでは従来のケーブルを使ってギターとアンプを繋いだときに生じる電気特性が失われる。どういうことかというと、通常のパッシブスタイルのピックアップを備えたエレキギターから出力される電気信号はハイ・インピーダンスという特性がある。この特性のおかげで、ファズやワウのようなエフェクターに接続した時に独特の鳴り方が成立している。

 ところが、ワイヤレスシステムを通すとその時点でギターの信号はロー・インピーダンスになってしまう。このため、ファズやワウはケーブル接続で聞こえたような鳴り方をしてくれなくなる。ギター側のボリュームを操作したときのアンプの反応も微妙にケーブル接続のときとは異なって感じる。

 なるほど、ギター用ワイヤレスシステムを使うということは、その時点である種のバッファー回路を通すことと同じなんだなと理解した。ワイヤレス接続時の方がケーブル接続時よりもハイ上がりなニュアンスに聞こえるのもそういうことなんだろう。

 メーカーや機種によってはケーブル接続したときのニュアンスを実現する「ケーブルトーン」機能みたいなものを搭載しているワイヤレス製品もあるようだけれど、そうしたモデルのレシーバー側の出力信号がパッシブ型ピックアップ搭載ギターの出力と同じようなハイ・インピーダンスにわざわざ変換処理されているとは思えないので、やはりファズやワウに接続したときの鳴り方は本来とは異なる感じになるのだろうと想像する。

 このあたりの問題を解消するためには、ロー・インピーダンス信号を改めてハイ・インピーダンスに変換するためのエフェクターを別途かませるしかなさそう。

 一つ、ワイヤレス接続で大きなメリットは、ギターとアンプをケーブルで接続したときに発生するノイズがほぼ無くなるというのがある。これはエレキギターの特性でついて回るグランド(アース)処理が発生しないからだろう。当然、グランドが繋がっていないのでグランドの極性があってないマイク等に触れて感電するということも防止できるはず。

 個人的にはケーブル接続でもとくに面倒と思うことはあまり無いし、よほど何かの事情でワイヤレス接続が望ましいというような機会以外は今後もケーブル接続でいこうと思う。

追記(2024/9/1):

 その後色々試してみて感じたのは、フェンダー系シングルコイルピックアップよりもギブソン系に限らずハムバッキングピックアップの方がワイヤレスで音質面に影響が出にくい印象。フェンダー系シングルコイルだと低音がごっそり削がれてしまい、アンプやオーバードライブ系エフェクターでプッシュすると倍音成分が汚い歪み方をするのがちょっと辛い。あとはインピーダンスをいじれるエフェクターをかませたときにどうなるのかは気になるけれど、当面そちら系の機材は安価では手に入らないので保留。  

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August 21, 2024

最近あまり話題にならなくなったSHOD系オーバードライブを試してみた

 個人的な体感としては10年ぐらい前にギター用エフェクトペダルと言えば、Mad Professorの「Sweet Honey Overdrive(略してSHOD)」が洋邦問わず人気のあるモデルの一つだった。でも最近はあまり騒がれなくなったように感じる。まぁ古くなったので当然もっと新しいモデルが注目されるというのはあるだろうけれど、SHODよりずっと古くさいTSとかはいまだにやたら人気があるのは不思議。

 それはともかく、あまり皆が使わないからかえって自分にとっては新鮮な気もして、でも正規のSHODは量産モデルでもそれなりに高価なので、クローン系で手が出しやすいJOYOの「Sweet Baby」を中古で探して手に入れてみた。このペダルが発売された当時は新品でも3000円台だったのに、今は中古でも4000円台中〜後半で、とにかく楽器の値段は上がるばかりだなとしみじみするばかり…。

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 実際に使ってみると、シングルコイルでもハムバッカーでも使いやすくて驚いた。ピッキングのニュアンスそのままにクリーントーンからちょっと歪んだぐらいまでを自由に行き来できるし、ギター側のボリュームやトーンのつまみに対して面白いように追随してくれる。自分の苦手なアンプのJCにつないでも真空管アンプぽい鳴り方をさせることができたのも良い感じ。

 ちなみに上の画像のSweet Babyのツマミ位置は、シングルコイルピックアップでガツンと鳴らすときに割と良い感じだったセッティング。もしかしたらDriveはもう少し下げて3時ぐらいが良いかも。

 実は過去に何度かMad Professorの本物や某日本製メーカーのクローン等々を試奏したことあるけれど、どれもいまいちピンと来なかったのは何だったのだろう。もしかしてJOYOの作り具合が今の自分の演奏に一番マッチしているということなのか?

 ここまで良い感じだと改めて本物を試してみたい気もするけれど、今が丁度良い感じなのだから、わざわざ無駄なことする必要もないだろうし、足りることを知るべきだろうと自分の物欲を戒める今日この頃(笑)。  
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