June 08, 2019

グレッグ・プラト著・奥田祐士訳「ヨット・ロック」を読んだ

 しばらく前にツイッターで「ヨット・ロック」という音楽ジャンル(?)が話題になっていたので、その話題のきっかけの一つになった本を読んでみた。


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ヨット・ロック AOR、西海岸サウンド黄金時代を支えたミュージシャンたち
著:グレッグ・プラト、訳:奥田祐士

DU BOOKS (2019/3/22)
ロック史が語らない、あの時代。メロウで、スムースで、ソフトな音楽をミレニアム世代が再評価! それが、ヨット・ロック! 70年代、80年代の名曲をつくったミュージシャン総勢53名が語った永久保存版。(製品紹介文より)



 どうやらヨット・ロックというのは、1980年前後に流行った米国産ポップミュージックの一部がそうしたジャンルに当てはまるらしい。当時の自分が感情的に一番忌み嫌った類の音楽でもあるし、要するにテレビ番組「ベストヒットUSA」(2003年から再開されたやつじゃなくて80年代に放送されていたほう)で取り上げられていた類の音楽。

 今となってはなぜあれほど嫌っていたのかよく判らないし実に不毛な偏見でしかなかったけれど、まぁ当時の自分の価値観とは相容れない音楽だったということ。それにしても、どうやらヨット・ロックの最高峰の一つであるらしいイーグルスとか今はすごく好きだし、人の好き嫌いなんて全然当てにならないものだと思う(笑)。

 この本は、当時の音楽シーンで活躍した様々なミュージシャンの回想などを中心に、ヨット・ロックとは何なのかということについて色々な側面から掘り下げていて、80年代の米国産ポップミュージック好きならかなり楽しめる内容になっている。で、個人的に一番受けたのはケニー・ロギンスの次の発言。

いつもいうんだけど、ぼくは世界一の仕事をしてると思う——なにしろ職場に出かけると、最高にかわいい娘たちが立ち上がって踊り出すんだ! ステージに立つと毎回のように、最後にはいちばんかわいい娘たちがステージ前に来て踊っている。そんな仕事がほかにあるかい? 大好きだ。

 いやはや、スーパースター様は羨ましいかぎり。80年代の音楽業界は相当にイケイケな状況だったようで、当然のようにクスリもセックスもやり放題だったという話も色々出てくる。ただし、本書の中に出てくる話の多くはどちらかというとミュージシャンシップについて真面目に語るような感じで、皆本当に音楽が好きなんだなという雰囲気が溢れているのが印象的でもあった。  

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