December 16, 2018

鈴木智彦「サカナとヤクザ — 暴力団の巨大資金源『密漁ビジネス』を追う」を読んだ

 とんでもない怪作。



 鰻にまつわる「黒い」話は色々と漏れ聞こえるのを耳にしたり目にしたりしてきたけれど、漁業そのものがこれほどまでに「ヤバイ世界」だったという現実には驚くばかり。もはや鰻だけではなく、それ以外の海産物も食べるときにはとても心穏やかではいられそうにないし、寿司や刺身なんかを食う機会があれば下腹のあたりにモヤッとしたものを感じながら食べるしかなくなってしまったような気がする。

 自分はカタギだと自認する日本人なら是非本書を読むべきと思うけれど、結果として日本にはカタギと言えるような人はどこにもいないことになるのかも……。

 本書の著者、鈴木智彦氏のインタビューがWebにあってそちらもすごく面白いのでおすすめ。

「タバコと同じく将来絶滅する」 暴力団を見届けるライター鈴木智彦の覚悟
  

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December 03, 2018

吉田豪「吉田豪と15人の女たち」を読んだ

なんとなく気になっていた本。読んでみたらその濃い内容にかなり驚いた。



自分は70年代の終わり頃からテレビを全く見ないでずっと生きてきたので、この本に出てくる15人のアイドルについてはほぼ誰のことも知らない。どうにか名前ぐらいは知っているアイドルも数人いるけれど単に名前を知っているというだけで、具体的にどういう活動をしているのかは皆目見当がつかないほどによく判っていない。

おそらくそれぞれのアイドルのことをよく知っていればもっと深く読めたのだろうけれど、そういう予備知識が全くなくても人の生き様みたいなものをうかがい知ることができて面白かった。仕事をして生きていくということは誰にとっても大変なことなんだなと改めて思い知らされた気がする。  
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