December 16, 2017

後藤雅洋×村井康司×柳樂光隆「100年のジャズを聴く」を読んだ

 真っ当なジャズリスナーではない自分には用の無い本だろうと思っていたのだけど、手に取って冒頭をちらっと読んだら鼎談の切り口が面白そうだったので、すっかり全部読んでしまった。

4401645014100年のジャズを聴く
後藤雅洋 村井康司 柳樂光隆
シンコーミュージック 2017-11-16

初録音から100年。ジャズは、時代とともに生きてきた。30、50、70代—異なる世代を代表するジャズ評論家3人が、ジャズの過去と現在を往還し、未来を照射した、100年目の記念碑的ジャズ鼎談!(書籍紹介文より)

 後藤、村井、柳樂の三者三様なジャズ観に基づいて過去から現在に至るジャズの有り様みたいなものを掘り下げられていくのだけど、個人的には「ジャズ」という面倒くさい音楽ジャンルの話としてというよりは、音楽がどうやって進化していくかという側面をああでもないこうでもないとオッサン3人が楽しそうに(?)語りあっているのを横で「ははーなるほど」と盗み聞きしているみたいな感じだった。

 ジャズといえば普通は王道のパーカー、デイヴィス、コルトレーンあたりの話が延々と出てきて退屈するのだけど、この本はそのあたりがあまり出てこないのが新鮮(笑)。

 純粋で真面目な音楽リスナーとしての感覚が自分には欠けているので、はたしてこの本がそうした音楽リスナー的な人がこれからジャズを聴いてみようかと考える時に入門書として役立つのかどうかはよく判らないけれど、今の時代にミュージシャン、プレイヤー、アーティストとして新しい音楽のネタを探しているような人にとっては色々と新しい発見がありそうな気がするので、特に今の音楽シーンに飽きてこれからどうしようかと思っている人には読んでみることをお勧めしたいかも。時間が無いとか、本を読むのはカッタルイというなら、第3章「インターネットはジャズの世界も変えた。いいことだと思います」だけでも読むとかなり刺激的なのでは。特に206ページの「アドリブの時代からチーム戦の時代へ」というところあたりがとても面白い。  

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