October 03, 2016

モニタースピーカー「JBL LSR305」を使ってみての感想

 入門クラス価格帯モデルのモニタースピーカーとして国内外でかなり評判の良い「JBL LSR305」がずっと気になっていたのだけど、遂に思い切って手に入れたので簡単な所感をメモ。

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B00DUKP37C【国内正規品】JBL 2-Way パワード・モニター・スピーカー LSR305
JBL

大型スタジオモニターの最上位機種“M2"のために開発した“イメージコントロールウェーブガイド"を搭載。音像の再現に優れ、スピーカーの外側に延びるほどの広いステレオ音場を再生します。中央の音像はこれまでになく明確になり、音場の奥行きや音像の大きさを的確に把握できます。細部の描写能力も高まり、高密度のミックスの中でも音源の微妙な変化や音場の空気感をエンジニアに伝えます。
リスニングポイントが広いため、スピーカーの軸外でも音質やバランスを正確に決定可能。ミキシングルームの音響特性やエンジニアのモニター位置に神経質にならずに、創造的な作業に集中できます。(製品紹介文より)

 普段オーディオセットに接続しているのはオーディオ機器としてはもはや相当クラシックな部類に入るRogers LS3/5A。そのLS3/5Aに較べると、LSR305は低音の再生がとても得意で、とくにヒップホップやテクノ系のキックやベースがハッキリと判るようになった。まぁ、LS3/5Aにそういう音源再生を期待するほうが無理というか、そういうブリブリな音でいじめるのが嫌だったので、イマドキのモニターが欲しかった訳だから、今回のチョイスは大正解。

 James Blakeの独特な音場はLS3/5Aだと低音がぼんやりしてかなり厳しかったけれど、LSR305ならそのあたりはシャープに描写してくれる。ただし、70年代のクラシックな音源だとLSR305はかなり物足りない。LS3/5Aで聞き慣れたMichael Franksの「Sleeping Gypsy」などはあまりの平べったさにかなりガッカリした。ただし、各楽器のポジションや演奏状態を確認するにはLSR305でも十分で、このあたりはモニタースピーカーとしての仕事をしっかりこなしていると評価できる。

 色々な音源を聴いて感じたのは、生楽器の倍音の再現においてLSR305はLS3/5Aに劣るようだということ。人の声や管楽器、生ドラムのシンバル、自然な残響音に含まれる倍音の気持ちよさがLSR305には無い。モニタースピーカー然とした、素っ気ない感じになってしまう。もっとも、LS3/5Aもモニタースピーカーなので、一般的な音楽鑑賞用スピーカーに較べればかなりつまらない音ではあるのだけれど。このあたりの倍音再生の差は単純にスピーカーの性能や性質の違いということになるのだろう。価格差を考えれば仕方ない部分もあるだろうし、この辺りはもしかしたらいわゆる「エージング」が進むと印象が変わるのかもしれないけれど、それほど大きく変わることは期待していない。

 いずれにしろ、LSR305で音楽を聴くという行為は、音楽鑑賞とはちょっと違ってまさにモニターするということ。DAWのミックス作業において音の質感やポジショニングが正確に再生されれば十分であり、そうした役割においてはLSR305は価格以上の性能を発揮しているように思う。試しに昔作った音源をDAWで立ち上げてキックやベースのEQやコンプをいじってみたけれど、LS3/5Aではイマイチよく判らなかったこういう低音の調整が非常に判りやくなったのはとてもうれしい。

 今後は、低音再生が重要なイマドキの音源の再生やDAW作業にはLSR305、生楽器メインの音源再生にはLS3/5Aと使い分けていく予定。

 LSR305をお勧めなのは、DAWで音源をいじる人、楽器演奏を各種音源から聞き取ってコピーしたい人など。単純に音楽鑑賞だけの用途にはちょっと音がシビアすぎて疲れるだろうから向いてないと思う。  

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