May 27, 2012
May 20, 2012
レコードやCDに表記されている「規定文」の変遷をテキトーに追っかけてみた
昨日、「音楽の著作権はいまどうなっているのか?勉強会」に参加して、そこでかなりテキトーな発表をしたのだけど、その発表の中で取り上げたレコードやCDのパッケージ(ジャケットや帯、等々)に記載されている「規定文」の変遷の話について、こちらのブログでもメモしておくことに。
規定文というのは、レコードやCDについて、著作権法上の決まり事から「こういう使い方はしないでください」ということを消費者に伝える注意書き。すごく小さく印刷されていることがほとんどなので、今までCDなど買っても読んだことない人が多いかもしれない。
まずは、1963年のレコードにあった規定文:
よく知らなかったのだけど、この時代の日本の著作権法では、テープレコーダー等の機械を使って複製することは違法行為だったらしい。へー、という感じ。
続いて、1983年のレコードにあった規定文:
レンタルレコードというものが大流行しつつ、そういう行為が合法なのか否かでもめていた時代。この後、1984年に著作権法が改正されてレコード会社等に貸与権と報酬請求権が認められて、レコードの賃貸業は晴れて合法となった。
時代が飛んで、1994年のCDにあった規定文:
「レコード」じゃなくて「CD」になっているのが時代の変わったことを教えてくれる。で、新譜のレンタルは発売後一定期間の禁止期間が設けられていたので、こういう文言が書かれている。そして、どうやらいつの間にか個人的な用途であれば他の媒体に録音できるようになっていることが示唆されているのが興味深い。あとは、1992年にMDが登場しているので、録音できる媒体がテープだけじゃなくディスクも追加されている。
最後は2000年のCDにあった規定文:
注目は「ネットワーク」という言葉が出てきたこと。インターネットでのデータ流通がもはや当たり前の行為になっていることがよく判る。
という訳で、世の中のあり方が変わると、それにつれて著作権もどんどん変わっていくんだけど、その片鱗がレコードやCDのパッケージに記載されている規定文からも判って面白いよねという話でした。
規定文というのは、レコードやCDについて、著作権法上の決まり事から「こういう使い方はしないでください」ということを消費者に伝える注意書き。すごく小さく印刷されていることがほとんどなので、今までCDなど買っても読んだことない人が多いかもしれない。
まずは、1963年のレコードにあった規定文:
レコードから無断でテープその他に録音する事は法律で禁じられております。
よく知らなかったのだけど、この時代の日本の著作権法では、テープレコーダー等の機械を使って複製することは違法行為だったらしい。へー、という感じ。
続いて、1983年のレコードにあった規定文:
このレコードを賃貸業に使用することを禁じます。また無断複製は法律で禁じられています。
レンタルレコードというものが大流行しつつ、そういう行為が合法なのか否かでもめていた時代。この後、1984年に著作権法が改正されてレコード会社等に貸与権と報酬請求権が認められて、レコードの賃貸業は晴れて合法となった。
時代が飛んで、1994年のCDにあった規定文:
このCDは一定期間貸与非許諾商品ですが、この期間経過後も権利者の許諾なく賃貸業に使用することを禁じます。また個人的に使用する等の場合を除き、著作権上弊社に無断でテープ、ディスク等に録音することを禁じます。
「レコード」じゃなくて「CD」になっているのが時代の変わったことを教えてくれる。で、新譜のレンタルは発売後一定期間の禁止期間が設けられていたので、こういう文言が書かれている。そして、どうやらいつの間にか個人的な用途であれば他の媒体に録音できるようになっていることが示唆されているのが興味深い。あとは、1992年にMDが登場しているので、録音できる媒体がテープだけじゃなくディスクも追加されている。
最後は2000年のCDにあった規定文:
このCDを著作権法で認められている権利者の許諾を得ずに、1. 賃貸業に使用すること、2. 個人的な範囲を超える使用目的で複製すること、3. ネットワーク等を通じてこのCDに収録された音を送信できる状態にすることを禁じます。
注目は「ネットワーク」という言葉が出てきたこと。インターネットでのデータ流通がもはや当たり前の行為になっていることがよく判る。
という訳で、世の中のあり方が変わると、それにつれて著作権もどんどん変わっていくんだけど、その片鱗がレコードやCDのパッケージに記載されている規定文からも判って面白いよねという話でした。
May 07, 2012
May 04, 2012
[音楽]
久しぶりにオリジナル曲を作った「irresistible seduction」
(※ ミックスし直したので、曲へのリンクが死んでます。新しくミックスした音源はこちらで聴けます)
なんとなく出来たので録音した。
さて、ジャンルは何になるのだろう?
とりあえず、曲の中盤から変なメロディー流れます(笑)
MP3でアップロードしているので、やや音が薄いというか、ドラやシンバルの音がちょっと残念な感じ。非圧縮音源で公開できると良いのだけど…。
なんとなく出来たので録音した。
さて、ジャンルは何になるのだろう?
とりあえず、曲の中盤から変なメロディー流れます(笑)
MP3でアップロードしているので、やや音が薄いというか、ドラやシンバルの音がちょっと残念な感じ。非圧縮音源で公開できると良いのだけど…。
May 03, 2012
[マンガ・本]
電子書籍について思うこと:ハービー・山口「LONDON 1973」を読んだ
もうずいぶん前になってしまうのだけれど、電子書籍事業に取り組まれている佐々木さんから、2月9日発売のiOS向け電子書籍「LONDON 1973」を献本いただいた(実際には、プロモーションコードというのをいただいて、これを使ってiTSからダウンロードした)。
この「LONDON 1973」は、ハービー・山口著「女王陛下のロンドン」から、著者が渡英したばかりの頃の1973〜1974年当時を振り返る文章を抜粋すると共に、今回初出となる写真を追加して、eBookPro形式で電子書籍化したもの。
で、このeBookPro形式がちょっとしたクセモノで、iPhoneでも読めなくはないけれど、実際のところはiPadでないとちゃんとしたユーザー体験が得られない。なので、なんとかiPadを手に入れてからレビューしたいと考えていたら、いつまでたってもiPadを手に入れられないまま、時間だけがずるずると経っていたという……。
そんな訳で、佐々木さんには本当に申し訳ありませんでしたが、今頃になってようやく、不完全ながらiPhoneだけでの体験を元にレビューを書くことに(汗)。
まず、テキストそのものの内容は、上にも説明したように、写真家ハービー・山口氏が、初めて日本を飛び出して、異国のイギリスに住むことになったばかりの頃に感じたことを記したエッセイ。これが、なんともグッとくる。
自分も昔、単身で海外へ渡航して生活したことがあるので、このエッセイを読んで、あの頃のそういう思いが脳裏に蘇り、しみじみと感傷に浸ってしまった。
インターネットを使えば、ほぼタダ同然な形で、世界中の人々とリアルタイムでコミュニケーションできてしまう現在、著者が当時体験して感じた諸々がどこま理解されるのかはよく判らないけれど、それでも、日本を離れて海外で暮らしてみたいと考えている読者にならば、異文化社会で暮らすとはどういうことなのかというところで、今も何かの参考になるのかもしれない。
それにしても、携帯電話はおろか電子メールさえ無かったあの時代というのは、やはり今日では想像しにくそうだ。ホームシックになっても、せいぜい手紙を書くぐらいだし、その書いた手紙が相手に届いて、さらに返事が戻ってくるのは、早くても半月後とか。国際電話は時差もあるし、料金が高くてそう簡単には使えなかった。あとは、せいぜい同じ日本人在住者同士で話をしたり、日本語の本や雑誌を貸し借りして読んでみたり。
そして、そんな日本人コミュニティーの中だけで終わってしまうと、海外で住み暮らしていても、日本で引きこもりをしているのとあまり変わらない状態な訳で、結果としてそれだけしかせずに日本へ帰っていった人達の姿もよく見たりした。ま、そういうのは今も同じなのかな(笑)。
で、ここからが「電子書籍」というメディアについての感想。
ハッキリ言って、やはりiPhoneで、こういう写真集的な要素も含んだ本を読むのはかなり辛い。
本書は、eBookProというフォーマットを採用しているのだけれど、その仕様上、iPhoneでは収録されている写真の全体をちゃんと見ることができなかったりする。これではガッカリ。だから、iPadユーザーで興味を覚えた人には是非「LONDON 1973」を購入してみて欲しいと思いつつ、iPhoneユーザーにはお薦めできないとしか言えない。
電子書籍というのは、閲覧するための機器に依存する部分が大きい。だから、コンテンツそのものには同じ値段を払っているはずなのに、読書体験は個人によって全く異なってしまうことも普通にある。これはちょっと厳しい。それに比べて旧来の紙の本は、誰が手にしてもスタンドアロンでちゃんと機能していて、ものすごい完成度なんだなと改めて感心してしまう。
「LONDON 1973」を読んで、この元となった「女王陛下のロンドン」を読んでみたくなったのだけれど、こちらはどうも版元で在庫が切れているようだ。絶版にまでなっているのかどうかは不明。本来であればこういうときにこそ、電子書籍でサクッと簡単に読めたりすると良いのかもしれない。ただ、電子書籍も「絶版」から自由な訳じゃない。版元が流通をとりやめれば電子書籍は簡単に絶版となる。そういうとき、紙の本なら古本や図書館という手段が残されているのに、電子書籍でそれはあり得るのだろうか?
電子書籍のメリットとデメリットはそれぞれ色々あるけれど、突き詰めていくと、出版社などの権利者に有利なばかりで、エンドユーザーには不自由なことばかりが多くなりそうに思えてしまうのは杞憂なのかな……。
ちなみに、電子書籍はこれまでも何冊か挑戦したけれど、最後まで読み終えることが出来たのは、この「LONDON 1973」が初めて。まあ、本と呼ぶにはかなりテキストのボリュームが少ないのもあるだろう。どうも、自分はあの小さなiPhoneの画面で長いテキストを読むのは苦手だ。ま、単に歳だからなのかもしれないけれど。
最後に、「LONDON 1973」を読む機会を与えていただいた佐々木さん、本当にどうもありがとうございました。なんだか文句ばかり言って申し訳ない感じですが、それだけ今後の改善には期待していますので、よろしくお願いします。
・佐々木さんご自身による「LONDON 1973」の紹介記事:ジョー・ストラマーからジョニー・ライドン、ボーイ・ジョージにデビット・シルビアンなど音楽好きには堪らない、写真家ハービー・山口さんの電子書籍・写真集を連続リリースしました!
・「LONDON 1973」のiTunes購入用URL:http://itunes.apple.com/jp/app/london-1973/id488057804?mt=8
この「LONDON 1973」は、ハービー・山口著「女王陛下のロンドン」から、著者が渡英したばかりの頃の1973〜1974年当時を振り返る文章を抜粋すると共に、今回初出となる写真を追加して、eBookPro形式で電子書籍化したもの。
で、このeBookPro形式がちょっとしたクセモノで、iPhoneでも読めなくはないけれど、実際のところはiPadでないとちゃんとしたユーザー体験が得られない。なので、なんとかiPadを手に入れてからレビューしたいと考えていたら、いつまでたってもiPadを手に入れられないまま、時間だけがずるずると経っていたという……。
そんな訳で、佐々木さんには本当に申し訳ありませんでしたが、今頃になってようやく、不完全ながらiPhoneだけでの体験を元にレビューを書くことに(汗)。
まず、テキストそのものの内容は、上にも説明したように、写真家ハービー・山口氏が、初めて日本を飛び出して、異国のイギリスに住むことになったばかりの頃に感じたことを記したエッセイ。これが、なんともグッとくる。
自分も昔、単身で海外へ渡航して生活したことがあるので、このエッセイを読んで、あの頃のそういう思いが脳裏に蘇り、しみじみと感傷に浸ってしまった。
インターネットを使えば、ほぼタダ同然な形で、世界中の人々とリアルタイムでコミュニケーションできてしまう現在、著者が当時体験して感じた諸々がどこま理解されるのかはよく判らないけれど、それでも、日本を離れて海外で暮らしてみたいと考えている読者にならば、異文化社会で暮らすとはどういうことなのかというところで、今も何かの参考になるのかもしれない。
それにしても、携帯電話はおろか電子メールさえ無かったあの時代というのは、やはり今日では想像しにくそうだ。ホームシックになっても、せいぜい手紙を書くぐらいだし、その書いた手紙が相手に届いて、さらに返事が戻ってくるのは、早くても半月後とか。国際電話は時差もあるし、料金が高くてそう簡単には使えなかった。あとは、せいぜい同じ日本人在住者同士で話をしたり、日本語の本や雑誌を貸し借りして読んでみたり。
そして、そんな日本人コミュニティーの中だけで終わってしまうと、海外で住み暮らしていても、日本で引きこもりをしているのとあまり変わらない状態な訳で、結果としてそれだけしかせずに日本へ帰っていった人達の姿もよく見たりした。ま、そういうのは今も同じなのかな(笑)。
で、ここからが「電子書籍」というメディアについての感想。
ハッキリ言って、やはりiPhoneで、こういう写真集的な要素も含んだ本を読むのはかなり辛い。
本書は、eBookProというフォーマットを採用しているのだけれど、その仕様上、iPhoneでは収録されている写真の全体をちゃんと見ることができなかったりする。これではガッカリ。だから、iPadユーザーで興味を覚えた人には是非「LONDON 1973」を購入してみて欲しいと思いつつ、iPhoneユーザーにはお薦めできないとしか言えない。
電子書籍というのは、閲覧するための機器に依存する部分が大きい。だから、コンテンツそのものには同じ値段を払っているはずなのに、読書体験は個人によって全く異なってしまうことも普通にある。これはちょっと厳しい。それに比べて旧来の紙の本は、誰が手にしてもスタンドアロンでちゃんと機能していて、ものすごい完成度なんだなと改めて感心してしまう。
「LONDON 1973」を読んで、この元となった「女王陛下のロンドン」を読んでみたくなったのだけれど、こちらはどうも版元で在庫が切れているようだ。絶版にまでなっているのかどうかは不明。本来であればこういうときにこそ、電子書籍でサクッと簡単に読めたりすると良いのかもしれない。ただ、電子書籍も「絶版」から自由な訳じゃない。版元が流通をとりやめれば電子書籍は簡単に絶版となる。そういうとき、紙の本なら古本や図書館という手段が残されているのに、電子書籍でそれはあり得るのだろうか?
電子書籍のメリットとデメリットはそれぞれ色々あるけれど、突き詰めていくと、出版社などの権利者に有利なばかりで、エンドユーザーには不自由なことばかりが多くなりそうに思えてしまうのは杞憂なのかな……。
ちなみに、電子書籍はこれまでも何冊か挑戦したけれど、最後まで読み終えることが出来たのは、この「LONDON 1973」が初めて。まあ、本と呼ぶにはかなりテキストのボリュームが少ないのもあるだろう。どうも、自分はあの小さなiPhoneの画面で長いテキストを読むのは苦手だ。ま、単に歳だからなのかもしれないけれど。
最後に、「LONDON 1973」を読む機会を与えていただいた佐々木さん、本当にどうもありがとうございました。なんだか文句ばかり言って申し訳ない感じですが、それだけ今後の改善には期待していますので、よろしくお願いします。
・佐々木さんご自身による「LONDON 1973」の紹介記事:ジョー・ストラマーからジョニー・ライドン、ボーイ・ジョージにデビット・シルビアンなど音楽好きには堪らない、写真家ハービー・山口さんの電子書籍・写真集を連続リリースしました!
・「LONDON 1973」のiTunes購入用URL:http://itunes.apple.com/jp/app/london-1973/id488057804?mt=8