March 20, 2005

ピンクフロイド「Wish You Were Here」再考

 たまたま、久しぶりにピンクフロイドのアルバム「Wish You Were Here」を聴いた。

 あまりにも有名な話だけど、タイトルにある「You」は正常な精神世界へは二度と帰らぬ人となってしまったシド・バレットのことであり、曲名に出てくる「Crazy Diamond」は、そのシド・バレットの鬼気迫る才能を比喩したもの。



 初めてこのレコード(当然ながらCDなんてものはこの世の中に存在してなかった)を聞いた当時は、そういうウェットでセンチメンタルな思い入れに共感しつつ、プログレッシブロック(略して「プログレ」)の名盤とはこういうものかと変な感動をしながら聴き込んだものだ。

 オヤジになって、今改めて聴き直してみると、このアルバム、全然プログレしてないことを発見。確かに1曲目の「Shine On You Crazy Diamond (Part One)」なんて、13分を越える大作だし、おまけに「Part One」とか付いていて、いかにもプログレのお約束っぽいけど、その実は、単なるブルースロックだ。

 さらに、「Wish You Were Here」なんて、フロイドを知らない今時の若者に聞かせ、オルタナカントリー系バンドの作品だと教えれば、それを信じて疑わないような出来。そういう意味では、発表されてから30年経った今、再評価されるべき曲なのかもしれない。

 結局、ピンクフロイドのアルバムで一番繰り返し聞いた思い出があるのは、この「Wish You Were Here」なんだけど、その理由は「ブルースロック」だったからなんだなと、今ようやく気がついた次第。昔も今も変わらず、オレはブルースロックが無性に好きだから。

 ピンクフロイドというバンドは「Wish You Were Here」の後、「Animals」と「The Wall」という2つの社会派メッセージアルバムを発表して、アメリカ音楽市場における商業的な成功をさらに拡大し、オレから見れば今のU2並みにつまらない普通のロックバンドになってしまった挙げ句、オリジナルメンバーのロジャー・ウォータースは、後からやって来たデイヴ・ギルモアに追い出されるという、なんだか情けない展開を見せたりするのだけど、そんなこととは関係なく、シド・バレットは今もどこかでCrazy Diamondとして生きているのだろう…。  

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March 11, 2005

RIP: Martin Denny

 マーティン・デニーが亡くなったそうだ。享年93歳。ハワイのHonolulu Star-Bulletin Newsの3月4日付けニュースによれば、穏やかな最期だったとのこと。このWebページに掲載されている写真は味があって良い感じ。



 名盤「Exotica」は、1959年6月22日のビルボード・アルバムチャートでフランク・シナトラを破って1位になったとあるけど、オレもまだ産まれていないような遠い昔の話だなぁ。家には、カットアウトだけどオリジナルのUSアナログ盤(ステレオ)と、東芝EMIのCD(ベスト盤形式だけど確か世界初のCD化だったような)があるはず。

 マーティン・デニーを知ったのは、かなり屈折しているというか歪んだ経緯で、スロッビング・グリッスルのメンバーの誰か(ジェネシスか?)が好きだという話を聞いたから。あの頃は、そんな形でマーティン・デニーに出会った輩も決して数少なくない(?)はずで、今から考えたら不幸な時代だったなぁ(笑)。で、彼らのアルバム「20 Jazz Funk Greats」に収録されている「Exotica」は、そのタイトルが示すとおり、まんまマーティン・デニーへのオマージュだったはず。あとはYMOもそういった曲を残していたような気がするけど、こっちは詳しくない。でも、きっと細野さんの趣味だよね。

 期せずして、沖縄音楽界の重鎮の一人、照屋林助もこの10日に亡くなった。両名のご冥福をお祈りします。  
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March 05, 2005

"On Fire" by Sebadoh from the album "Harmacy"

 昔、スノーボードビデオ「TBシリーズ」のどれか(たぶんJason Brownとかが出てるやつ)で、BGMに使われていた曲。切ない雰囲気がすごく気に入って、収録されているアルバムを探して買った。メローなボーカルと演奏、そして歌詞がすごく良い。

 今日、ネットラジオのParadise Radioを聞いていたらかかったので、久しぶりにアルバムを取り出して聴き直したりしている。



 Sebadohというバンドに関しては全く何も知らず、曲だけ好きでいたのだけど、Paradise Radioのリスナーチャットをのぞいていたら、リーダーのLou BarlowはDinosaur Jrでベースを弾いていた人ということが判った。で、Dinosaur Jrの解散後、SebadohとサイドプロジェクトのFolk Implosionを始めたらしい。

 「Sebadoh」の語源は、4トラック・カセットデッキで「We're the Best」を逆回転で再生させるとそういう風に聞こえたので選んだんだそうな(笑)。

 で、今の予定だとLou BarlowはDinosaur Jrのメンバーとしてフジロックに来るみたいだね。


 PS. Sebadohに関して適当なことを書いていたら、Storemasterさんから間違いがあるというご指摘といっしょに丁寧な説明をコメントでいただきました。以下にまるまる引用しておきます:

Louは「Dinosaur Jrの解散後」にSebadohを始めたのではなく、Dinosaur Jrに在籍中から活動を初めており(1989年に1st「The Freed Man」を出している)、2nd「Weed Forestin」(1990年)をリリースする前にDinosaur Jrを脱退し(クビにされたという話もあり)、今のSebadohやFolk Improsion、更に別ユニットとしてSentridoh、Deluxx Folk Improsion等々にて諸々の作品を出しているという具合です。(因みにDinosaur Jrが解散したのは1997年のことですから、かなり後の話になります)

#SebadohのBiographyはこちら
#また、Sebadohをはじめとする一連のDiscographyはこちら

 Storemasterさん、ありがとうございました。ネットは、こういうやりとりが良いっすね。  
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